李世民は李承乾を軽く罰しただけで、李泰は不満を抱いた。しかし、李世民は李泰に寛容の美徳を説いた。李泰は話題を皇太子選びに移し、李世民に意見を求められると、なんとその場で跪き、自ら皇太子に相応しいと主張した。そして、即位すれば自分の子を皆殺しにし、皇位を弟に継がせるとまで誓った。
李泰の言動に李世民は驚きを隠せない。平静を装い、李泰を退出させた。李泰は得意満面で、皇太子は自分のものだと確信していた。しかし、李世民は側近と相談し、自分の子さえ殺せる李泰の冷酷さに慄然とした。その後、李世民は勅命を下した。李泰は当初、皇位が自分のものになったと喜び勇んだが、勅命の内容はなんと一ヶ月間の朝議出席禁止だった。李泰は深く失望した。
一方、李牧は武媚娘と駆け落ちを企ていた。そこへ数人の宦官が現れ、李牧の駆け落ちを手助けすると申し出た。李牧は不審に思った。
皇位への執著から錯乱した李泰は、息子を殺せば皇帝に信用され、皇位が手に入ると考え、剣を手に息子を殺そうとした。杜大人は驚き、慌てて李泰を止めようとしたが、既に半狂乱の李泰は剣を振りかざし、飛び出していった。杜大人は家来に李泰を止めるよう命じたが、凶暴化した李泰は抵抗する家来を殺害してしまった。
李泰が息子を殺そうとしていると聞いた雉奴は、急いで現場に駆けつけた。李泰は雉奴を見て喜び、二人の息子を殺した事実を皇帝に示せば、後継ぎの心配がなくなり、安心して皇位を自分に譲り、自分は弟に皇位を継がせられると考えた。
第46話の感想
第46話は、李泰の狂気に満ちた野望と、その恐ろしい行動が描かれた衝撃的なエピソードでした。皇位への執著が、彼を常軌を逸した行動へと駆り立て、ついには我が子を手にかけようとするまでに至ります。この異常なまでの野心は、権力というものの恐ろしさを改めて私たちに突きつけます。
特に印象的だったのは、李泰が雉奴に語りかけるシーンです。彼は息子を殺めたことで、皇帝の信頼を得て皇位を手に入れ、そして弟にその座を譲るという、歪んだ論理を展開します。この場面は、彼の精神状態がいかに危ういものであるかを如実に表しており、見ている側も息を呑むような緊張感に包まれました。
つづく