媚娘びじょうはついに李世民り・せいみんに謁見するが、李世民り・せいみん李牧りぼくを既に殺したと告げる。深い悲しみに暮れた武媚娘びじょうは自害しようとするが、李世民り・せいみんに阻まれる。疑念を抱く李世民り・せいみんは、武媚娘びじょうに毒酒を差し出す。覚悟を決めた武媚娘びじょうは迷わず飲み幹す。

しかし、それは李世民り・せいみんの策略だった。毒酒は偽物で、二人は無事だった。解放された武媚娘びじょう李牧りぼくと再会し、喜びに震える。全ては李世民り・せいみんの計らいだと知り、感動した武媚娘びじょうは宮廷に戻ることを決意する。帰路、戦場を通りかかり、逃亡兵に襲われそうになるが、李牧りぼくに守られ、唐の陣営に辿り著く。

二人が戻ると、李恪り・かくと遭遇する。宮廷にいるはずの二人を見て、李恪り・かくは驚きを隠せない。李世民り・せいみんが二人を密かに逃がしたことは、他に知られていなかったからだ。一方、雉奴ちぬは妃たちと会い、蕭淑妃しょう・しゅくひの微笑みに戸惑う。蕭淑妃しょう・しゅくひ雉奴ちぬの容姿に感嘆し、花を贈る。

ライバルたちが次々と排除され、徐慧じょ・けいは宮廷で権勢を振るう。妃たちは皆、徐慧じょ・けいに従うしかない。入宮当初を思い出し、徐慧じょ・けいは今の立場に満足げだ。威厳を示すため、徐慧じょ・けいは美しい扇子を最も従順な者に与えると宣言する。妃たちは扇子を手に入れようと、徐慧じょ・けいに媚び諂う。徐慧じょ・けいは得意げに微笑んだ。

第50話の感想

第50話は、武媚娘びじょう李世民り・せいみんの関係、そして徐慧じょ・けいの台頭という二つの大きな展開が描かれた、非常にドラマチックなエピソードでした。武媚娘びじょう李牧りぼくの死を偽装されて試されるシーンは、彼女の強い覚悟と李世民り・せいみんの冷酷さを際立たせていました。毒酒を飲むことを躊躇しない武媚娘びじょうの姿は、愛する者を守るためなら死をも厭わない彼女の強い意誌を感じさせ、胸を打たれました。しかし、それが李世民り・せいみんの策略であったと判明し、安堵すると同時に、彼の真意がどこにあるのか、より一層謎が深まりました。二人の関係は、愛憎入り混じった複雑なもので、今後の展開がますます気になります。

一方、宮廷では徐慧じょ・けいが権力を掌握し、他の妃たちを支配下に置いていく様子が描かれていました。入宮当初はおとなしく控えめだった彼女が、冷酷で計算高い女性へと変貌していく様は、見ていてゾッとするほどでした。扇子を使って妃たちを操るシーンは、彼女のしたたかさと権力への執著を象徴的に表しており、今後の宮廷内の争いが激化していくことを予感させます。

つづく