徐慧じょ・けいは宮中で侍女たちにちやほやされ、扇子を一番おとなしい妃にと、陳美人ちん びじんに贈った。そして、わざと馮才人さいじんの父の汚職の話を持ち出し、帳簿の隠し場所を知っていると告げた。馮父の行為は違法だが、徐慧じょ・けいは人心掌握のため、皆の前で不問にすると宣言し、馮才人さいじんの感謝を勝ち取った。

次々と入宮してくる若く美しい妃たちに脅威を感じた徐慧じょ・けいは、今後の宮中での立場を固める策を練り始めた。

一方、戦場で自ら指揮を執る李世民り・せいみんは、勝利を確信していた。しかし敵軍は毒煙を用いる奇策に出る。武媚娘びじょう李牧りぼくは、唐軍が劣勢に追い込まれ、危機に陥るのを見た。李世民り・せいみんも毒煙を吸い込み、体調を崩したところに矢を受けてしまう。

李世民り・せいみんを救うため、武媚娘びじょうは顔をベールで覆い戦場へ駆けつけ、彼を連れて逃走した。李牧りぼくは二人を逃がすために殿を務めたが、多勢に無勢で敵軍に討たれ、命を落とした。武媚娘びじょうは涙ながらに李世民り・せいみんを連れ、唐軍へ戻った。戦場で武媚娘びじょうの姿を見た王徳おうとくは驚きを隠せない。

李世民り・せいみんの矢傷には毒が塗られていたため、武媚娘びじょうは自ら毒を吸い出し、李世民り・せいみんは意識を取り戻した。

媚娘びじょう李牧りぼくの墓を訪れた。かつて武媚娘びじょう李牧りぼくに贈った指輪、二人の愛の証が、そこにはあった。李世民り・せいみんも墓前にやって来た。かつて李牧りぼく李世民り・せいみんを闇殺しようとしたことを思い出し、武媚娘びじょう李世民り・せいみん李牧りぼくの墓を許さないのではないかと恐れた。彼女は李牧りぼくが既に亡くなっていることを伝え、死後の安寧を願って李世民り・せいみんに許しを請うた。

第51話の感想

第51話は、徐慧じょ・けいの狡猾さと武媚娘びじょうの勇敢さが際立つエピソードでした。徐慧じょ・けいは馮才人さいじんの父親の汚職を利用し、巧みに人心掌握を行う様子は、彼女の冷酷さと計算高さを見せつけます。一見親切に見える行為の裏に隠された策略は、今後の宮廷での権力争いを予感させ、緊張感を高めます。

一方、戦場での武媚娘びじょうの行動は、まさに勇敢そのもの。愛する李世民り・せいみんを救うため、危険を顧みず戦場に飛び込む姿は、彼女の深い愛情と強い意誌を示しています。李牧りぼくの犠牲もまた、物語に重みを与えました。武媚娘びじょうとの過去の愛、そして李世民り・せいみんへの忠誠心の間で揺れ動く彼の心情は、切なくも感動的です。李世民り・せいみんを逃がすために命を落とす最期は、彼の男らしさを際立たせる名シーンでした。

つづく