武媚娘は徐慧の無邪気な振る舞いを見ながらも、彼女の心の変化、入宮当初の純粋さが失われたことに気づいていた。文娘の死の真相を追う瑞安に、武媚娘は捜査をやめるよう諭す。既に時が経ち、犯人を見つけ出すのは困難で、時間の無駄だと告げる。
しかし瑞安は諦めず、文娘の名前が刻まれた燭台を見つければ犯人に辿り著けると信じていた。武媚娘は宮中に無数にある燭台から一つを見つけ出すのは至難の業だと考える。一方、長孫無忌とその息子は、武媚娘が宮中に戻れたことが理解できない。なぜ李世民が宮廷を勝手に離れた妃を許したのかと不思議がる。
李世民は徐慧と武媚娘に宮中の権力を共同で管理させることを提案する。徐慧は表面上は承諾するが、内心では仮発し、武媚娘への敵意をさらに深める。李世民が鋳銭の型を見ていると、武媚娘が何かわからず触れてしまい、印に傷をつけてしまう。しかし、李世民は怒ることはなかった。
李世民が高陽公主の結婚を進める中、高陽公主は雉奴に会い、結婚したくないと訴える。瑞安は武媚娘に、宮女の阿離が拷問で殺されたこと、そして最近徐慧が宮女たちに冷酷な仕打ちをしていることを伝える。結婚を拒むため、高陽公主は自殺を装うが、武媚娘は見破り、脅すことで高陽公主を静める。
長孫無忌は他の大臣たちと政務を話し合い、武媚娘が軍営に現れたこと、そして李世民が政務について武媚娘と相談するようになったことに触れる。大臣たちは武媚娘を君主を惑わす脅威とみなし、排除しようと画策する。
第54話の感想
第54話では、権力争いと人間関係の複雑さが描かれ、物語の緊張感が高まりました。特に印象的なのは、徐慧の豹変ぶりです。かつての純粋で優しい彼女はどこへやら、冷酷で計算高い女性へと変貌を遂げ、武媚娘への敵意をむき出しにしています。権力の座に近づくにつれ、徐慧の人間性が歪んでいく様子は、人間の弱さや恐ろしさを改めて感じさせます。
対照的に、武媚娘は冷静さを保ち、宮中の権力争いにも巧みに対応しています。高陽公主の偽りの自殺劇を見破る場面では、彼女の洞察力の鋭さが際立っていました。しかし、瑞安から聞かされた阿離の死や徐慧の冷酷な仕打ちには、心を痛めている様子が伺えます。武媚娘の優しさや正義感は、残酷な宮廷の中で一層輝きを増し、視聴者の共感を誘います。
つづく