武媚娘は李義府に協力を持ちかけるが、李義府は武媚娘の実力を見極めてからでないと態度を保留する。落胆した武媚娘は甘露殿へ行き、門前で跪く人々を見て心を痛める。彼女は李世民に高陽公主の屋敷へ送ってほしいと懇願する。李世民が昏君と謗られるのを恐れたのだ。
その後、庭園で徐慧と出会った武媚娘は、文娘殺害の真相を問いただす。徐慧はついに犯行を認め、武媚娘は悲しみに暮れる。
その夜、李世民は錦楽宮を訪れ、徐慧と武媚娘の会話を盗み聞きしていたことを告げる。徐慧は弁明を試みるも、李世民の怒りを買い、平手打ちを食らい、錦楽宮に軟禁される。そして、自害すれば一族もろとも滅ぼすと警告される。
権力闘争の渦中で、それぞれの思惑が交錯し、運命の歯車が大きく動き出す。
第56話の感想
第56話は、それぞれの登場人物の苦悩と決断が深く描かれた、非常に重みのあるエピソードでした。武媚娘は、権力闘争の渦中で孤立感を深め、李義府に協力を求めるも拒絶され、失意のどん底に突き落とされます。李世民への懇願は、彼女自身の保身のためだけではなく、皇帝の立場を守るための苦渋の決断でもありました。
一方、徐慧は、ついに文娘殺害の真相を武媚娘に告白します。これまで積み重ねてきた嘘が崩れ去る瞬間は、彼女の精神的な崩壊を象徴しているようでした。そして、李世民の怒りと罰は、彼女の狡猾さが招いた当然の報いと言えるでしょう。
つづく