弁機の処刑を止めようとする高陽公主に対し、皇帝は聞く耳を持たず、ついに弁機は斬首されてしまう。怒りに震える高陽公主は、父である皇帝との縁を断つと宣言し、弁機の後を追って死ぬとまで言い放つ。一方、宮殿に戻った皇帝は再び倒れ、頭を強く打ってしまう。以前からの病もあり、容態は深刻となる。
弁機の死後、高陽公主付きの侍女や使用人たちは「謀仮の事実を知りながら報告しなかった」という罪で捕らえられ、牢に閉じ込められる。
皇帝は褚遂良を呼び、李勣、長孫無忌と共に雉奴を支えるよう命じる。そして、北伐後の功績が不十分だとして李勣を疊州都督に左遷し、長安からの追放を命じる。さらに長孫無忌にも雉奴への協力を求める。
武媚娘は雉奴を通じて皇帝との面会を願い出る。雉奴と高陽公主は、これが最後の機会と考え、武媚娘を助けることにする。
長孫無忌は皇帝に、雉奴の即位後、呉王をどうするのか尋ねる。皇帝は後々の禍根を断つため、呉王を地方の刺史に任命し、長安から遠ざけることを決める。また、長孫無忌は37人の老臣と共に、高陽公主付きの侍女たち全員の処刑を求める上奏文を提出する。皇帝は、長孫無忌が未だに武媚娘を許していないことを悟り、嘆息する。
皇帝は雉奴を呼び、既に優秀な臣下たちに彼の補佐を命じてあると告げる。李勣を疊州に左遷したのも、雉奴が即位後に彼を呼び戻せば、李勣は恩義を感じて忠誠を誓うだろうという深慮遠謀であった。
雉奴は、自分のために全てを考えてくれる父に感謝の言葉を述べる。皇帝は「天下の父母は皆同じだ」と優しく答える。そして、誰にも、たとえ長孫無忌にも見せてはならないと念を押した上で、雉奴に遺詔を託す。雉奴は武媚娘を助けるため、裏道を使って甘露殿へ案内させる。
死の間際、皇帝は長孫無忌を呼び、武媚娘の命を助け、感業寺に入れるよう命じる。武媚娘が朝廷を去れば国に害を及ぼすことはないと説得し、長孫無忌はやむなく同意する。武媚娘が甘露殿に到著した時には、既に皇帝は崩御していた。
第59話の感想
第59話は、まさに怒涛の展開でした。弁機の処刑、高陽公主の絶望、皇帝の倒れるシーン、そして武媚娘の運命を左右する様々な策略…。息つく暇もなく、それぞれの登場人物の感情が激しくぶつかり合う、非常にドラマチックな回でした。
特に印象的だったのは、高陽公主の悲痛な叫びです。愛する人を失った彼女の悲しみと怒りは、画面越しにもひしひしと伝わってきました。皇帝に対する「恩断義絶」の言葉は、彼女の覚悟と絶望の深さを物語っています。これまで奔放に生きてきた彼女が、ここまで追い詰められる姿は、見ていて胸が締め付けられるようでした。
つづく