湖畔で語らう呉王ごおう青玄せいげんに刺客が襲いかかるも、間一髪で難を逃れる。時を同じくして、安州で事件が発生。長安から商売に来た十一人全員が殺害されたのだ。青玄せいげんの調べで、彼らは呉王ごおうより二ヶ月早く安州に入り、表向きは商売をしていたが、密書を書くための明礬や伝書鳩を所持していたことが判明。青玄せいげん長孫無忌ちょうそんむきか、あるいは皇帝の仕業かと疑うが、呉王ごおう雉奴ちぬがそんなことをするはずがないと断言する。

一方、感業寺近くの森で剣の稽古をする皇帝・李治り・ち。相手をする宦官たちに手加減され、苛立ちを覚える。そこへ高陽こうよう公主が現れ、即位から四ヶ月で二度も感業寺近くに来る李治り・ちに、武媚娘びじょうを想うなら宮中に戻せばいいと問いかける。しかし、李治り・ちは武媚娘びじょうの悟ったような瞳を思い出し、首を横に振る。それでも、武媚娘びじょうが戻りたがった時は、長孫無忌ちょうそんむきに逆らっても連れ戻すと誓う。

李治り・ちは密かに静音師太せいおんしだいに武媚娘びじょうの警護と定期的な報告を命じていた。武媚娘びじょうは全財産と引き換えに、感業寺の見取り図と鍵を静音師太せいおんしだいから手に入れる。

感業寺を訪れた高陽こうよう公主と武媚娘びじょうは、長孫無忌ちょうそんむきに掣肘される李治り・ちの現状について語り合う。武媚娘びじょうは突然吐き気を催し、高陽こうよう公主は妊娠に気づく。彼女は先帝の子を宿したと思い込むが、武媚娘びじょう李治り・ちの子だと知りつつも、現状では公表できないため、何も言わない。

高陽こうよう公主は武媚娘びじょうを宮中に連れ戻そうとするが、武媚娘びじょうはそれを拒否。感業寺を出て一人で子供を育て、後宮の争いに巻き込まないようにしたいと考える。もうすぐ大朝会。武媚娘びじょうは前回の美しい花火を思い出し、もう一度見たいと願う。

長孫無忌ちょうそんむきは、呉王ごおうを監視していた十一人全員が殺されたことを李治り・ちに報告し、呉王ごおうの関与を疑う。しかし、李治り・ち呉王ごおうの人柄を信じ、これ以上の詮索を禁じる。

第61話の感想

第61話は、様々な思惑が交錯し、緊張感が高まる回でした。呉王ごおう青玄せいげんへの刺客襲撃、安州での謎の殺人事件、そして武媚娘びじょうの妊娠発覚と、息つく暇もない展開に引き込まれました。

特に印象的なのは、それぞれのキャラクターの苦悩と決断です。皇帝・李治り・ちは、長孫無忌ちょうそんむきの監視下に置かれながらも、武媚娘びじょうへの想いを断ち切ることができません。武媚娘びじょうもまた、李治り・ちの子を身籠りながらも、宮中の争いから我が子を守るため、一人で生きていく決断を下します。二人の愛は、政治的な障壁によって引き裂かれ、切なさを増しています。

つづく