蕭淑妃と王皇后は後廷で権勢を争い、傲慢な蕭淑妃に対抗するため、王皇后は皇帝の寵愛を受ける妃を味方につけようと画策する。そこで、皇帝が最も気に掛けている武媚娘に目を付ける。文徳皇后の祭典がひと月後に迫り、王皇后はこの機会に武媚娘に会おうと考える。
祭典当日、武媚娘は隙を見て感業寺を脱走する。この報告を受けた皇帝は、こっそり感業寺を抜け出し武媚娘を探しに行く。そのため、王皇后は武媚娘に会うことができなかった。
逃亡中、武媚娘は官兵に遭遇する。お腹の子を守るため、彼女は必死に逃げるが、皇帝に見つかり止められる。その時、刺客たちが現れ二人を襲撃し、皇帝は矢に倒れる。皇帝は武媚娘に馬で逃げるよう促すが、武媚娘は皇帝の剣を抜いて刺客に立ち向かう。
間一髪、呉王が到著し刺客を捕らえる。呉王はこの機に、長孫無忌が送り込んだスパイ、李恭を殺害する。皇帝と武媚娘は命拾いするが、負傷した刺客の一人が、呉王と皇帝が話している隙に矢を拾い、皇帝を狙う。武媚娘はこれに気づき、身を挺して皇帝を庇い矢を弾き飛ばすが、自身も負傷する。
数人の寒門出身の役人たちは、許敬宗の左遷後、朝廷に寒門の出世の道がなくなったことを嘆いていた。その時、皇帝が武媚娘と呉王を連れて宮殿へ戻る一行に遭遇する。皇帝は武媚娘にゆっくり休むよう声を掛け、馬車の中の武媚娘を見た李義府は、再び出世の機会が訪れたことを確信し、ほくそ笑む。
長孫衝は呉王に謀仮の心はないと考えるが、側近の青玄は不穏な動きを見せている。長孫無忌は検視官に李恭の遺体を詳しく調べるよう指示する。検視官は李恭の鎧に小さな穴、そして背中に鋭利な刃物による傷跡を発見する。傷は小さく、肉眼では見つけにくいものだった。
このことから、李恭は非常に鋭い刃物で殺害されたことが判明し、呉王が李恭の正体を知り、この機会に殺害したと長孫無忌は結論付ける。呉王には謀仮の心があると確信した長孫無忌は、呉王を長安から遠ざけるべきだと考える。
第63話の感想
緊迫感あふれる展開に息を呑む第63話。武媚娘の機転と勇敢さが際立つエピソードでした。感業寺からの脱出、刺客からの襲撃、そして皇帝を庇っての負傷…息つく暇もない怒涛の展開に、ハラハラドキドキさせられっぱなしでした。特に、皇帝を庇うシーンは武媚娘の深い愛情と強い意誌を感じさせ、感動的でした。
一方、宮廷内では権力争いが水面下で進行しています。蕭淑妃と王皇后の対立、そして李義府の闇躍。それぞれの思惑が複雑に絡み合い、今後の展開がますます読めなくなってきました。李義府の不気味な笑みは、今後の波乱を予感させます。
つづく