おう皇后は武媚娘びじょう高陽こうよう公主を菊見に闕楼へ招いた。しかし、そこに菊の花はなく、おう皇后は金蚕糸で刺繍された菊の絵を披露した。武媚娘びじょうが菊を好むことを知り、入宮以来、夜を徹して刺繍させていたという。

一方、蕭淑妃しょう・しゅくひは息子・素節そせつの具合が悪いため、菊見の宴を欠席した。皇上は賢霊宮へ駆けつけ、蕭淑妃しょう・しゅくひから素節そせつが武媚娘びじょうに殴られたと聞かされる。

内侍監ないじかんに呼ばれた武媚娘びじょう蕭淑妃しょう・しゅくひは問い詰めるが、高陽こうよう公主は仮論する。素節そせつ李忠り・ちゅうをいじめて武媚娘びじょうにぶつかり、逆に武媚娘びじょうを陥れているのだと。

しかし、李忠り・ちゅう素節そせつが武媚娘びじょうにぶつかった後、武媚娘びじょうが木剣で素節そせつを叩いたと証言する。高陽こうよう公主は李忠り・ちゅうの臆病さに失望する。武媚娘びじょうは弁明せず、皇上は武媚娘びじょう承慶殿しょうけいでんで1ヶ月間の謹慎を命じる。

侍医は素節そせつの傷が本当に殴打によるものか、淤血膏を塗ったものかは判断できないと報告する。

蕭淑妃しょう・しゅくひ甘露殿かんろでんへ押しかけ、皇上が武媚娘びじょうを贔屓していると訴える。皇上は武媚娘びじょうに何かあれば蕭淑妃しょう・しゅくひを問い詰めると警告する。蕭淑妃しょう・しゅくひは、自分が武媚娘びじょうに価ているから好かれているのかと問うが、皇上はかつての素直だった蕭良娣とは変わってしまったと嘆く。

おう皇后は蕭淑妃しょう・しゅくひと御花園を散歩中に、下女たちの陰口を耳にする。そこへ皇上が現れ、下女たちの言葉を聞いてしまう。おう皇后はわざと足をくじき、皇上に抱き留められる。皇上は優しくおう皇后を支え、鳳簪を取ってくるように促す。

二人きりになると、皇上の態度は冷たくなる。おう皇后の尊厳を守ることは自分の責任だと告げる。呉王ごおう薛万徹せつばんてつ柴令武さいれいぶを官吏に推薦し、皇上は長孫無忌ちょうそんむきとの賭けに負けたことを悟り、呉王ごおうを監視させる。

第67話の感想

第67話は、後宮の権力争いが複雑に絡み合い、それぞれの思惑が交錯する緊迫したエピソードでした。特に印象的なのは、武媚娘びじょう蕭淑妃しょう・しゅくひおう皇后、そして皇上の四者の関係性です。

媚娘びじょうは、李忠り・ちゅうを守るために素節そせつを叱責したにも関わらず、濡れ衣を著せられ、理不尽な罰を受けます。それでもなお、自らの潔白を主張せず、静かに受け入れる姿は、彼女の芯の強さと忍耐力を示しています。

つづく