一ヶ月後、瑞安ずいあん緑芙りょくふは武媚娘びじょう承慶殿しょうけいでんから竹林雅軒へ迎えに行く。道中、他の妃嬪たちは武媚娘びじょうに冷たい視線を送り、訝しむ武媚娘びじょう瑞安ずいあんに理由を尋ねる。瑞安ずいあんは、武媚娘びじょうが懐妊したという噂が宮中に広まり、子供は先帝・李世民り・せいみんではなく、今の皇帝・李治り・ちの子ではないかという話が流れていると伝える。

蕭淑妃しょう・しゅくひは武媚娘びじょうを陥れて流産させようと企む。しかし、蕭淑妃しょう・しゅくひの侍女・憐芝れんしは実はおう皇后の父が送り込んだスパイで、蕭淑妃しょう・しゅくひの行動を逐一おう皇后に報告する。憐芝れんし蕭淑妃しょう・しゅくひの悪事を握っており、皇帝に報告すれば蕭淑妃しょう・しゅくひを失脚させられるとおう皇后に提案するが、おう皇后はそれを止めさせる。蕭淑妃しょう・しゅくひは寵愛を受けているとはいえ、油断ならないのは武媚娘びじょうだと考えているのだ。

媚娘びじょうは突然倒れ、瑞安ずいあんしゅう侍医を呼ぶ。高陽こうよう公主と呉王ごおうも見舞いに訪れ、しゅう侍医は二人に、武媚娘びじょうの胎児の状態が不安定あんていで、誰かが流産させようとしているようだと告げる。堕胎薬を服用したのではなく、皮膚に触れたことで作用する薬物によるものだと推測し、犯人は武媚娘びじょうの側近だろうと話す。

高陽こうよう公主と呉王ごおう緑芙りょくふを問い詰め、緑芙りょくふは必死に否定するが、突然血を吐いて倒れる。呉王ごおう緑芙りょくふの歯に毒が仕込まれており、唇を噛んで自害したことを知る。

緑芙りょくふは以前蕭淑妃しょう・しゅくひに仕えていたため、疑いの目は蕭淑妃しょう・しゅくひに向けられる。皇帝は蕭淑妃しょう・しゅくひに問い詰めるが、彼女は毒々しく身の潔白を誓う。

夜、武媚娘びじょう甘露殿かんろでんを訪れ、皇帝に宮中を出たいと懇願する。皇帝は引き留めようとするが、宮中で武媚娘びじょうを守り切れないことを悟り、彼女の願いを聞き入れる。高陽こうよう公主の誕生日の宴で密かに武媚娘びじょうを送り出す手配をすることにする。

高陽こうよう公主の誕生日の宴で、蕭淑妃しょう・しゅくひは武媚娘びじょうに辛辣な言葉を浴びせる。おう皇后は蕭淑妃しょう・しゅくひが酔っていると言い訳をする。皇帝は武媚娘びじょうに茶を勧め、武媚娘びじょうがそれを飲むと、突然腹部に激痛が走り、しゃがみこむ。駆けつけた侍医は武媚娘びじょうが流産したことを確認する。

第68話の感想

第68話は、宮廷内の権力争いと陰謀が渦巻く、息詰まる展開でした。武媚娘びじょうに対する流産謀略を中心に、登場人物それぞれの思惑が複雑に絡み合い、緊張感が持続しました。

特に印象的だったのは、蕭淑妃しょう・しゅくひの浅はかな悪巧みと、おう皇后の冷徹な計算高さです。蕭淑妃しょう・しゅくひは武媚娘びじょうを陥れようと躍起になりますが、その行動はあまりにも短絡的で、かえって自身の立場を危うくしています。一方、おう皇后は蕭淑妃しょう・しゅくひの動きを冷静に見極め、利用しようと目論む様子が描かれており、彼女の底知れない恐ろしさを感じました。

つづく