武如意ぶ・にょい婉言えんげんの死の真相究明を望むだけで、復讐は望んでいませんでした。李世民り・せいみんは、婉言えんげんと会う約束をした日に何か異変がなかったか武如意ぶ・にょいに尋ねました。武如意ぶ・にょいは、部屋に入った途端、婉言えんげんに酒を勧められたこと、そして婉言えんげん文徳ぶんとく皇后の立ち居振る舞いを5年間も真価てきたことを話したのを思い出し、婉言えんげんが自分を殺そうとしていたことに気づきました。

事実が明らかになっても、武如意ぶ・にょい婉言えんげんと姉妹のように仲が良かったため、彼女がそんなことをするはずがないと思っていました。李世民り・せいみんは、婉言えんげん武如意ぶ・にょいは血縁関係はなく、たとえ本当の姉妹であっても、権力のために刃を向けることはあるのだと諭しました。

侍医の診断によると、落馬で馬に蹴られた太子の足の怪我は治らないとのことでした。李世民り・せいみんは侍医の無能さを責め、太子は死んでもいいが、障害者になってはいけないと言いました。大臣たちは、李世民り・せいみんが太子を甘やかしすぎたのが原因であり、落馬は自業自得だと考えました。李世民り・せいみんも大臣たちの言葉に一理あると思い、太子の怪我には名医が必要だが、今は良き師が必要だと考え、魏徴ぎちょうに太子の教育を任せました。

韋大人いだいじん李世民り・せいみんに、太子の落馬は偶然ではなく、玄武門の誰かが意図的にやったことではないかと密かに伝えましたが、李世民り・せいみんは考えすぎだと言いました。太子は称心しょうしんという友人と常に一緒で、称心しょうしんが郊外への狩猟を提案したことがなければ、太子は怪我をすることもなかったのです。太子妃は称心しょうしんを太子の召使いとしか見ていませんでした。太子は称心しょうしんに上著を脱がせ、太子妃に傷を見せるよう命じました。3年前の狩猟で、称心しょうしんが命がけで太子を助けたおかげで、太子は死を免れたのでした。

宮女の盛児せいじは太子妃に、宮中では太子と称心しょうしんの噂が広まっていると伝えました。太子妃は、太子がそのような人ではないと信じ、ただ称心しょうしんの命の恩に感謝しているだけだと考えていました。

武如意ぶ・にょい李世民り・せいみんに、婉言えんげんの死の真相を公表しないでほしいと頼みました。彼女は婉言えんげんが良い評判のままこの世を去ってほしいと願っていたため、武如意ぶ・にょいは容疑者のまま掖庭えきていに閉じ込められました。

韋貴妃い・きひ掖庭えきていの手下に、武如月の顔を傷つけるよう命じました。傷は掖庭えきていでの喧嘩によるもののように見せかけるようにと。武如意ぶ・にょい掖庭えきていで洗濯の仕事をさせられ、毎日8時間も池のほとりで洗濯をしなければなりませんでした。宦官は彼女に、掖庭えきてい獄には近づかないようにと忠告しました。そこには宮廷の規則を破った者たちが閉じ込められていたのです。

第7話の感想

第7話は、宮廷内の権力争い、友情、そして陰謀が複雑に絡み合い、息もつかせぬ展開でした。武如意ぶ・にょいは、親友の死の真相に迫りながらも、その事実を受け入れる苦悩に揺れ動き、彼女の深い悲しみと葛藤が胸を締め付けます。李世民り・せいみんは、皇帝としての威厳を保ちつつも、太子への愛情と将来への不安に苛まれる姿が印象的でした。特に、太子の怪我に対する彼の激しい仮応は、父親としての深い愛情と、皇位継承者としての責任感の板挟みになっている様子を如実に表しています。

一方、太子と称心しょうしんの特別な絆も注目すべき点です。太子妃の冷たい視線とは対照的に、太子は称心しょうしんの献身に心から感謝し、深い信頼を寄せています。二人の関係は、宮廷内の冷酷な現実の中で、一筋の光のように温かく、しかし同時に、今後の波乱を予感させるものでもありました。

韋貴妃い・きひの闇躍も、物語に不穏な影を落としています。武如意ぶ・にょいへの残酷な仕打ちは、彼女の権力欲と冷酷さを改めて浮き彫りにし、今後の展開への不安を煽ります。掖庭えきていでの武如意ぶ・にょいの過酷な生活は、彼女の精神的な強さと忍耐力を試す試練となるでしょう。

つづく