皇帝は武媚娘を残すため、大臣たち、特に長孫無忌らと対峙したが、最終的に彼らは仮対を諦めた。皇后は武媚娘が自分の地位を脅かす存在になると確信していた。入宮以来、懐妊できない皇后にとって、武媚娘が先に皇子を産めば、間違いなく皇太子となるだろう。そこで、父の王仁祐と長孫無忌は皇后に皇子を養子にする策を提案した。大臣たちの推挙でその子を皇太子にするというのだ。皇后は地位を守るため、この提案を受け入れた。
ある日、武媚娘は宮中を散歩中に、池に落ちそうになった李忠を助けた。李忠は内侍監での嘘を思い出し、武媚娘に謝罪した。武媚娘は寛大にも、あれは蕭淑妃とのことであり、子供には関係ないと許した。
李忠は武媚娘を自分の部屋に招いた。そこに李忠の母、劉侍女が戻ってきて武媚娘と顔を合わせた。身分の低い劉侍女は非常に緊張していた。彼女は武媚娘に、かつて三日だけ贅沢な暮らしを味わったが、その後皇帝に呼ばれることはなく、再び卑しい侍女に戻ったこと、今は李忠だけが自分の頼りだと語った。武媚娘は貧しく虐げられる母子を見て、困ったことがあれば力になると申し出た。
その後、武媚娘は皇子たちに剣術を教えている呉王を訪ねた。呉王は武媚娘がなぜ雉奴の昭儀として宮中に残るのか理解できなかった。彼は朝議で皇帝を支持したのは兄弟愛からであり、皇帝と武媚娘の愛情は理解できないと告げた。武媚娘は皇后を失脚させるために呉王の協力を求めたが、呉王は後宮の争いに加担することを拒否した。
呉王は武媚娘に、なぜ父である先帝を裏切ったのかと問いただした。武媚娘は「愛は永遠ではない。権力こそ永遠だ」と答えた。呉王はこの言葉に驚きを隠せない。
武媚娘は腹中の子供を殺した犯人への復讐を心に誓っていた。呉王は渋々小さな協力をすることに同意し、武媚娘は長孫無忌がどの皇子を皇后の養子に選ぶつもりか尋ねた。呉王は身分が低く、おとなしい李忠が選ばれるだろうと考えた。しかし、武媚娘は劉侍女にとって李忠は命よりも大切な存在であり、簡単に養子に出すとは思えないと推測した。
第72話の感想
第72話では、武媚娘のしたたかさと権力への執著が改めて浮き彫りになりました。皇帝の寵愛を確かなものにするため、そして自らの地位を盤石にするため、彼女は周到に策を巡らせます。皇后の養子戦略の裏をかくその洞察力と、呉王を利用しようとする狡猾さは、彼女の並外れた政治的手腕を物語っています。
特に印象的なのは、呉王との会話です。「愛は永遠ではない。権力こそ永遠だ」という彼女の言葉は、彼女の冷酷さと野心を象徴しています。先帝への忠誠を捨て、権力に執著する姿は、視聴者に複雑な感情を抱かせます。果たして彼女の選択は正しかったのか、今後の展開に目が離せません。
つづく