劉侍女りゅうじじょおう皇后の配下に毒を盛られ、武媚娘びじょうが異変に気づき、急ぎ侍医を呼んだ。侍医によると、劉侍女りゅうじじょの命はあと7日しかないという。劉侍女りゅうじじょは武媚娘びじょうに、毒を盛ったのはおう皇后かと尋ね、武媚娘びじょうはそれとなくおう皇后の嫌疑が最も高いと答えた。

劉侍女りゅうじじょは息子の李忠り・ちゅうのことが気がかりで、殺害犯であるおう皇后と一緒に暮らさせたくないと思っていた。心から李忠り・ちゅうのことを想っているのは武媚娘びじょうだけだと信じ、死後、李忠り・ちゅうの面倒を見てくれるよう頼んだ。

劉侍女りゅうじじょは長年、位を授かっていないのはおう皇后のせいだと考えていた。そして今回、李忠り・ちゅうを奪おうとおう皇后が毒を盛ったことで、どうせあと7日しか生きられないのなら賭けに出ようと、武媚娘びじょうと共謀しておう皇后を陥れる計画を立てた。

翌日、瑞安ずいあん劉侍女りゅうじじょに毒入りの指輪を渡し、立政殿へ行く際に身につけるよう指示した。瑞安ずいあんが去った後、劉侍女りゅうじじょは指輪を取り出し、李忠り・ちゅうに合図を送ったら遊びに行くふりをして指輪を隠すよう伝えた。

媚娘びじょうは皇帝に立政殿へ行くことを提案し、皇帝は承諾した。おう皇后は劉侍女りゅうじじょにお茶を用意し、二人は茶の種類について話していた。劉侍女りゅうじじょはその隙に指輪の中の毒をお茶に入れ、こっそり李忠り・ちゅうに指輪を渡して外で遊ぶよう促した。李忠り・ちゅうは言われた通り、立政殿の裏庭に指輪を埋めた。

お茶を飲んで間もなく、劉侍女りゅうじじょは突然黒い血を吐き、おう皇后の服を掴みながらなぜこんなことをするのかと叫んだ。皇帝と武媚娘びじょうは物音に気づき部屋に入り、皇帝の姿を見た劉侍女りゅうじじょおう皇后に命乞いをした。そして、黒い血を吐きながら立政殿で息絶えた。侍医は劉侍女りゅうじじょの死因はおう皇后が用意したお茶だと診断した。皇帝はおう皇后の残酷さに驚き、この状況を見たおう皇后の侍女は急いで長孫無忌ちょうそんむきを呼んだ。

皇帝がおう皇后を捕らえようとしたその時、長孫無忌ちょうそんむきが現れ、劉侍女りゅうじじょは長年おう皇后を恨んでいたこと、おう皇后のせいで位を授かっていないと思い込んでいたこと、そして重い病で余命いくばくもないことからおう皇后に罪をなすりつけたのだと主張した。

李忠り・ちゅうは皇帝に、立政殿へ来る前、母から合図を見たら指輪を隠すように言われていたと報告した。皇帝はすぐに大理寺だいりじに調査を命じ、戴青たいせいは指輪に仕込まれた猛毒が劉侍女りゅうじじょの死因と同じであること、そして劉侍女りゅうじじょが以前から重い病を患い余命いくばくもなかったことを突き止めた。これにより、劉侍女りゅうじじょが自ら毒を飲み、おう皇后に罪をなすりつけたことが証明された。

第74話の感想

武則天ぶ・そくてん 第74話は、息詰まるような展開と衝撃的な結末で、視聴者を画面に釘付けにしたエピソードでした。劉侍女りゅうじじょの悲劇的な最期と、それを利用した武媚娘びじょうの巧妙な策略が、物語の緊張感を最大限に高めています。

まず、劉侍女りゅうじじょの母としての愛情と、自らの運命に対する諦念が胸を締め付けます。息子の李忠り・ちゅうを守るため、そして復讐を果たすため、自ら死を選んだ彼女の覚悟は、悲しいながらも強い意誌を感じさせます。特に、李忠り・ちゅうに指輪を託すシーンは、彼女の深い愛情と悲しみが伝わってきて、涙を誘います。

つづく