李義府は武媚娘に、昨日皇帝が呉王を長安から出すことを考えたと伝えた。劉侍女の死後、皇后は李忠の養育を願い出て、皇帝は皇后の慈悲深さに感心した。
長孫無忌は息子・長孫衝に、おとなしい性格の劉侍女が死に際に皇后と心中しようとしたのは、背後に黒幕がいる証拠だと話した。最近劉侍女と親しかったのは武媚娘で、皇帝を立政殿に連れて行ったのも武媚娘だ。一刻も早く武媚娘を除かねばならない。
青玄は、皇帝が武媚娘に夢中で国政を担えないと呉王に訴え、兵権を握り、皇帝や長孫無忌らと争うのをやめるよう進言した。そこへ王徳が訪れ、李忠の母が亡くなり、宮中で一人で暮らす李忠が寂しいだろうからと、呉王を宮中に招いた。
夜、武媚娘は李忠を見舞った。瑞安は、劉侍女の皇后陥害計画が失敗したのは李忠のせいだと考え、実の母を裏切るような子は信用できないと言った。武媚娘は、李忠はまだ子供で、皇帝の前で真実を話しただけだと庇った。
李忠の居所に著いた武媚娘は、皇后が先に来ていたことに気づき、一人で散歩したいと言って瑞安を帰した。夜、皇后は李忠を抱きしめ、なぜ昼間自分のために話してくれたのか尋ねた。李忠は皇后が悪人ではないと思ったからだと答え、皇后は子供が出来たと喜んだ。
皇帝は瑞安に武媚娘の居場所を尋ね、承慶殿の方へ散歩に出かけたと聞き、彼女を探しに出かけた。承慶殿で、武媚娘は剣舞をする呉王の姿を先帝・李世民と重ね見て、思わず一緒に踊り始めた。承慶殿に著いた皇帝は、呉王と武媚娘の親密な様子を目撃し、怒りをこらえた。
呉王は体調不良を理由に朝議を欠席し、李勣を訪ねた。李勣は呉王が長安に戻るべきではなかったと語り、戦は得意だが政治には向かないと言った。呉王は、李勣が政務に関わらないのは長孫無忌と距離を置くためだと考え、長孫無忌が朝廷の均衡を崩そうとしている今、李勣に助力を求めた。
第75話の感想
第75話は、様々な思惑が交錯する緊迫した展開でした。武媚娘と呉王の予期せぬ再会と、それによって引き起こされる皇帝の嫉妬は、今後の波乱を予感させます。特に、承慶殿での二人の舞は美しくも危険なシーンで、見ているこちらも息を呑みました。武媚娘が呉王を先帝と重ねて見ている描写は、彼女の心の奥底にある未練や葛藤を表しているようで、切なくなりました。
一方、長孫無忌は武媚娘排除に動き出し、策略をめぐらせています。劉侍女の死を武媚娘の仕業と決めつけ、息子にもその考えを共有する様子からは、彼の冷酷さと狡猾さが見て取れます。そして、皇后は李忠を養子に迎え、母としての温かさを見せる一方で、武媚娘への対抗心も垣間見えます。それぞれのキャラクターの思惑が複雑に絡み合い、物語はますます目が離せなくなってきました。
つづく