青玄せいげんは酒に毒を入れ、皇帝と呉王ごおうに差し出した。長孫無忌ちょうそんむきは落雲荘の本当の主人が呉王ごおうであることを突き止め、長孫衝ちょうそんちゅう呉王ごおう府へ行き皇帝に報告するように命じた。

呉王ごおうが皇帝に酒を勧めた時、青玄せいげん呉王ごおうが持っていた毒入りの杯を叩き落とした。そして皇帝に斬りかかろうとしたが、呉王ごおうは身を挺して皇帝を守った。羽林衛は青玄せいげんを取り押さえた。

呉王ごおうは跪いて青玄せいげんの許しを乞うたが、青玄せいげん呉王ごおうに立つように言った。自分のために皇帝に跪く必要はない、皇帝は呉王ごおうを疑っているだけなのに、呉王ごおうは愚かにも忠誠を尽くしている、呉王ごおうこそ天子になるべきだと叫んだ。謀仮を企て、暴言を吐いた青玄せいげんは羽林衛に斬り殺された。皇帝は呉王ごおう府を後にした。長孫衝ちょうそんちゅう呉王ごおう府に謀仮の報告に来たが、皇帝は呉王ごおうに命を救われたと告げた。

夜、武媚娘びじょう許敬宗きょけいそう李義府り・ぎふを呼び、氏族を抑えるための寒門の出の者たちの名簿を作るよう命じた。さらに風疾を治せる賢者と、霊媒師のような詐欺師を連れてくるように命じた。

高陽こうよう公主は青玄せいげんの霊前にて、青玄せいげんは死をもって呉王ごおうの忠誠を証明した、さもなければ長孫無忌ちょうそんむきらに陥れられていたであろうと呉王ごおうに告げた。呉王ごおう高陽こうよう公主の首を絞め、余計なことをするなと叱責した。青玄せいげん高陽こうよう公主は親しく、二人で呉王ごおうに謀仮を唆していたのだ。

高陽こうよう公主は呉王ごおうに、皇帝が今は信じていても、長孫無忌ちょうそんむきが必ず讒言すると告げ、長安を離れることを提案した。一年後、父の命日に兵を率いて戻れば、大唐は呉王ごおうのものになるだろうと。呉王ごおうはその夜、皇帝に手紙を書いた。

皇帝は一晩考え、李勣り・せきを朝廷に戻す策を思いついた。長孫無忌ちょうそんむき李勣り・せきの逆鱗に触れさせるのだ。長孫無忌ちょうそんむきが兵権に過剰に幹渉すれば、李勣り・せきは必ず出てくると考えた。

朝議で宋州都督が高齢を理由に辞任を申し出た。皇帝はこれを認め、呉王ごおうを宋州都督に任命した。廷臣たちは、呉王ごおうは皇帝の命を救ったのに、逆に左遷されたと噂した。

高陽こうよう公主は武媚娘びじょうを訪ねた。李弘り・こうを出産して以来、武媚娘びじょうは以前より穏やかになっていた。高陽こうよう公主が復讐を忘れたのかと尋ねると、武媚娘びじょうは心中に別の計画があると答えた。

第78話の感想

第78話は、青玄せいげんの壮絶な最期と呉王ごおうの苦悩、そして武媚娘びじょうの静かな闘誌が印象的な回でした。青玄せいげん呉王ごおうへの深い忠誠心から、命を懸けて皇帝を守り、自らの信念を貫きました。その姿は悲劇的ながらも、ある種の美しさを感じさせます。呉王ごおう青玄せいげんの死によって、皇帝への忠誠と自らの野心との間で激しく揺れ動きます。高陽こうよう公主の言葉は、彼の心に新たな火種を植え付けたことでしょう。

一方、武媚娘びじょうは出産後もなお、復讐の炎を燃やし続けています。表面的には穏やかさを装いながらも、密かに策を練る彼女の姿は、底知れぬ恐ろしさを感じさせます。許敬宗きょけいそう李義府り・ぎふに下した命令は、今後の権力闘争における重要な布石となるはずです。

つづく