おう皇后は安定あんてい公主を絞殺した罪で廃后となり、掖庭えきてい獄に送られた。武媚娘びじょう蕭淑妃しょう・しゅくひの言葉を思い出し、皇帝に帝女花刺繍図の真相を知りながら黙っていた理由を問いただす。皇帝は武媚娘びじょうを守れなかった自分の不徳を詫び、愛を疑わないでほしいと願う。

呉王ごおうは5000の精鋭騎兵を率いて先帝の祭礼に参加するため長安へ戻ろうとしていた。長孫無忌ちょうそんむきはこれに不安を抱き、皇帝に騎兵の数を1000人に製限するよう進言する。しかし皇帝は、かつて命を救われた呉王ごおうの忠誠を疑うのは酷だと考える。

媚娘びじょうは密かに李義府り・ぎふ高陽こうよう公主の動向を探らせる。皇后が廃された日、高陽こうよう公主は男娼たちと酒宴を開いていた。普段の交友関係も乱れている。だが、奇妙な点がある。呉王ごおうと親しかった高陽こうよう公主が、呉王ごおうが宋州に赴任してからの1年間、全く文通していないのだ。まるで意図的に距離を置いているかのようだ。

長孫無忌ちょうそんむきは安亭公主の霊前に弔問に訪れる。武媚娘びじょうは彼の来訪に驚く。おう皇后が廃された今、長孫無忌ちょうそんむきらは李忠り・ちゅうの太子位が危うくなると懸念している。武媚娘びじょうは、ある疑問を解明してくれたら李忠り・ちゅうの太子位を守ると約束する。

皇帝と呉王ごおうが剣術の試合をしようとした時、乾州で李承乾り・しょうけんが病死したという知らせが届く。皇帝は李承乾り・しょうけんの遺体を長安へ運び、霊堂れいどうを設けて弔う。

媚娘びじょう呉王ごおうに謀仮の疑いがあるのか確信が持てずにいた。長孫無忌ちょうそんむきは、呉王ごおうが安州にいた頃、李恭りきょうという密偵を呉王ごおう府に送り込んでいたことを明かす。数年間、李恭りきょう呉王ごおうの忠誠を証明する報告をしていたが、感業寺での戦いで不可解な死を遂げた。表向きは斬殺されたとされているが、実際は背後から極めて薄く鋭い刃物で刺殺されていた。そしてその刃物は、呉王ごおうが愛用するものだった。

媚娘びじょう掖庭えきてい獄に幽閉された王氏を訪ねる。獄吏によると、王氏は非常に落ち著いているという。武媚娘びじょう安定あんてい公主をどのように殺害したのか尋ねると、王氏は安定あんてい公主の首は細く、軽く絞めるだけで折れてしまうと挑発的に答える。しかし、安定あんてい公主が突然自分に微笑みかけたので、結局は手を下していないと続ける。そして、王氏は武媚娘びじょうが自分の地位を守るために、愛する者たちを次々と失っていくであろうと嘲笑する。

第82話の感想

第82話は、先の読めない展開に息を呑む回でした。おう皇后の廃位、呉王ごおうの動向、そして高陽こうよう公主の不可解な行動。それぞれの思惑が複雑に絡み合い、物語はますます混沌としていきます。

特に印象的だったのは、おう皇后の掖庭えきてい獄での武媚娘びじょうとの対峙です。廃后となり、全てを失ったおう皇后は、それでもなお武媚娘びじょうを挑発し、彼女の未来を呪うかのような言葉を投げかけます。その姿は、哀れでありながらも、どこか恐ろしいものを感じさせました。安定あんてい公主の死の真相も未だ不明瞭で、おう皇后の言葉が真実なのか、それとも更なる陰謀が隠されているのか、今後の展開が気になります。

つづく