武則天、ついに高陽公主の悪行を全て暴き、その身勝手な動機を糾弾しました。窮地に追い込まれた高陽公主は武則天に襲いかかりますが、宦官に阻まれ、その場で縊り殺されました。その後、雉奴と共に朝議に臨んだ武則天は、皇后として正式に認められます。
蕭淑妃と王皇后を失脚させ、宮中で絶大な権力を握った武則天。しかし、実母への手紙は送り返され、武則天は表情一つ変えずに受け止めます。宮中の政務に追われ、侍女の忠告にも耳を貸さず、ますます気性が荒くなっていきます。
そんな中、宮中では蕭淑妃の亡霊が黒猫に憑りつき、祟りをなすという噂が広まります。この噂を聞き、武則天は内心動揺します。雉奴は自らの威厳を示すため、出徴することを武則天に告げます。武則天はこれを支持しますが、彼女が去った直後、雉奴は倒れてしまいます。驚き慌てる武則天は、雉奴を介抱し、急いで侍医を呼び寄せます。
雉奴の容態が悪化し、朝議に出席できないため、武則天は代理で政務を執り行います。長孫無忌はこれに不満を抱きますが、抗う術はありません。武則天が垂簾聴政を行う中、唐軍が阿史那に大敗し、撤退を余儀なくされているという知らせが届きます。武則天は討伐軍を派遣することを決断します。武則天の専横により、長孫無忌派の官僚は圧迫され、長孫無忌は武則天に対抗する策を練り始めます。
第86話の感想
第86話は、武則天の権力掌握と孤独、そして新たな試練の始まりを描いた、緊迫感あふれるエピソードでした。高陽公主の最期は、自業自得とはいえ、哀れを誘います。権力闘争の残酷さを改めて感じさせられました。武則天はついに皇后の座に就き、名実ともに宮中の頂点に立ちますが、その表情には喜びよりもむしろ孤独が滲んでいるように見えました。実母からの手紙が拒絶されたシーンは、彼女の心の空虚さを象徴しているかのようです。
権力を握ったことで、武則天の性格はより冷酷さを増し、周囲の人間にも厳しく接するようになります。侍女への叱責や、蕭淑妃の亡霊の噂への動揺は、彼女の精神的な不安定さを示唆しています。雉奴の出徴と突然の崩壊は、武則天にとって新たな試練となるでしょう。彼女は政務を代行し、軍事的にも重要な決断を迫られます。長孫無忌との対立も激化し、今後の展開がますます予測不可能になってきました。
つづく