高宗の体調はますます悪化し、武媚娘は深く心配する。明道長と治療法を相談するも、薬の常用が逆効果にならないか懸念する。一方、高宗の息子、李忠は武媚娘への復讐心を燃やし続けていた。かつて継母を武媚娘によって失った恨みは深く、機会を窺っていた。
李忠は宮中に蕭淑妃の黒猫の幽霊が出るとの噂を流す。実際には李忠が黒猫を放ち、宮女たちに目撃させ、意図的に噂を拡散させていた。病床の高宗は苛立ち、武媚娘に当たり散らすも、逆に武媚娘に諭され、口論となる。
武媚娘が去ろうとすると、高宗は慌てて彼女を引き止め、謝罪する。武媚娘も高宗の心中を察し、気分転換に庭園へ誘う。李忠の策略を知りながらも、武媚娘は彼を罰しなかった。継母の件で復讐心を持つのも無理はないと考えていたからだ。
高宗の体調は回復し、正式に朝議が開かれる。廷臣たちは高宗に武媚娘を廃し、新たな妃を迎えるよう進言する。しかし、高宗は激怒し、後宮の問題は家事であり、武媚娘への幹渉をやめるよう命じる。高宗の武媚娘への庇護ぶりを目の当たりにし、諫言を聞き入れてもらおうと、ある廷臣は石柱に頭を打ち付け自害する。
この事件により、高宗は武媚娘を守る決意をさらに固める。下朝後、武媚娘に会い、廷臣たちの仮対があっても、たとえ廃后を求められても、決して彼女を見捨てないと誓う。武媚娘は深く感動する。
第87話の感想
第87話は、権力闘争の渦中にある武媚娘と、病に伏しながらも彼女を深く愛する高宗の揺るぎない絆が描かれた感動的なエピソードでした。李忠の復讐劇は、武媚娘の過去に闇い影を落とす一方、彼女の強さと覚悟を際立たせる効果的な演出でした。黒猫の噂を利用した策略は、宮中の緊迫感を高め、物語にサスペンスフルな要素を加えています。
高宗の病状悪化と武媚娘の心配、そして二人の口論は、彼らの関係性の深さと脆さを同時に表現していました。高宗の謝罪と庭園への誘いは、彼の武媚娘への深い愛情と信頼を示す印象的なシーンでした。武媚娘が李忠を罰しなかったのは、彼女の懐の深さと冷静な判断力を示すだけでなく、物語に複雑な人間ドラマを加えています。
つづく