長孫無忌ちょうそんむきが自ら皇帝に、武媚娘びじょうに封禅の儀を執り行わせるよう進言した。これまで武媚娘びじょうを敵視し、事あるごとに妨害してきた長孫無忌ちょうそんむきの突然の提案に、雉奴ちぬと武媚娘びじょうは共に疑念を抱く。一体何が狙いなのか、封禅の儀で武媚娘びじょうを闇殺しようとする者がいるのではないかと、雉奴ちぬは案じた。

媚娘びじょうも危険を察知していたが、もし辞退すれば朝廷の者たちに臆病者と蔑まれ、威信を失うと考えた。雉奴ちぬは心配するものの、武媚娘びじょうの決意を覆すことはできなかった。こうして封禅の儀が始まり、武媚娘びじょうが儀式を執り行う。

儀式の最中、案の定刺客が現れた。役人の一人から武媚娘びじょうを非難する声が上がり、弓矢を手に彼女に襲いかかる。しかし、武媚娘びじょうは怯むことなく両手を広げ、刺客に立ち向かう。すぐさま護衛たちが駆けつけ、刺客を取り押さえ、武媚娘びじょうは無事だった。

李忠り・ちゅうはこの封禅の儀で武媚娘びじょうが命を落とすと確信していたが、部下から闇殺失敗の報を受け、激怒する。雉奴ちぬも武媚娘びじょうが襲われたことを知り、激昂し、事件の調査を命じる。雉奴ちぬ長孫無忌ちょうそんむきが黒幕ではないかと疑っていた。李義府り・ぎふ長孫無忌ちょうそんむきの屋敷へ調査に向かうが、そこで長孫無忌ちょうそんむきが何かを燃やしている場面に遭遇する。

長孫無忌ちょうそんむきが屋敷の重要書類を燃やしてしまったことを知った李義府り・ぎふは憤慨するが、証拠がない以上、捜査を進める術はない。その後、武媚娘びじょう長孫無忌ちょうそんむきは会談し、長孫無忌ちょうそんむきは闇殺を企てたのは自分ではないと主張する。武媚娘びじょう長孫無忌ちょうそんむきの犯行ではないと感じ、真犯人は別にいると考える。これは誰かが長孫無忌ちょうそんむきに罪を著せ、武媚娘びじょうに誤解させようとした陰謀だったのだ。

第90話の感想

武則天ぶ・そくてん 90話は、ハラハラドキドキの展開で、一瞬たりとも目が離せませんでした。長孫無忌ちょうそんむきの突然の提案、そして封禅の儀での闇殺未遂。一体誰が武媚娘びじょうの命を狙っているのか、真の黒幕は誰なのか、謎が深まるばかりです。

特に印象的だったのは、武媚娘びじょうの毅然とした態度です。闇殺の危険を承知の上で、自らの威信を守るために封禅の儀に臨む姿は、まさに女帝の風格を感じさせました。刺客に襲われた際も、怯むことなく堂々と立ち向かう姿は、彼女の強さと覚悟を改めて示すものだったと言えるでしょう。

つづく