寵愛を深める賀蘭敏月は、魏国夫人に封ぜられ、毎晩のように皇上は合璧宮に泊まるように。敏月は媚娘を陥れるため、わざと腕に痣を作り、倒れたふりをします。侍医は皇上に、敏月の病は腕輪の毒によるものだと告げ、皇上がその腕輪は媚娘からの贈り物だと気付くところで、物語は動き出します。
一方、狄仁傑は明道長の死を媚娘に報告し、捜査を開始。皇上は皇太子・李賢に監国を命じ、媚娘は賢に国政に専念するよう諭します。賢は忠誠を誓いますが、去り際に孫無生の名を口にし、媚娘は明道長の死と賢の関与に気付きます。
媚娘は賢の側近・趙道生を捕らえ、拷問にかけます。趙道生は、賢が李弘と明道長を殺害したことを自白し、東宮に武器を隠していることも暴露します。媚娘は東宮を包囲し、賢は観念して罪を認めます。賢は廃太子となり巴州へ流されます。かつての友人は誰も見舞いに来ませんが、ただ一人、賀蘭敏月だけが賢を見送ります。
賢は敏月が探りを入れに来たことを見抜き、李弘毒殺の共犯である敏月が口封じを恐れていることを見透かします。賢は全ての罪を自分が被ると告げ、敏月にこれ以上の悪事を働くのをやめるよう諭します。
二人の有能な息子を失った皇上と媚娘は、李賢を新たな皇太子に選びます。豫王から媚娘に贈られた茶葉に、敏月は毒を盛ります。瑞安が毒入りであることに気付き、媚娘は敏月にその茶を贈り返します。
媚娘と対峙した敏月は、もはや悪事を隠そうともせず、李弘毒殺の真相や皇子たちを争わせ、皇上と媚娘の仲を裂こうとしたことを白状します。そして、敏月は媚娘から賜った毒茶によって、自らの命を落とすのでした。
第94話の感想
第94話は、賀蘭敏月の悪行の終焉と、李賢の悲劇的な結末が描かれた、非常に劇的なエピソードでした。敏月は、権力への渇望と媚娘への嫉妬から、数々の陰謀を企て、皇子同士の争いを煽り、朝廷を混乱に陥れました。彼女の狡猾さと冷酷さは、見ている側もハラハラさせられるほどでしたが、最後は自らの毒によって命を落とすという、因果応報の結末を迎えます。毒茶を飲むシーンは、彼女の悪行の象徴であり、視聴者に強い印象を残しました。
一方、李賢は、聡明でありながら、母である媚娘の権力に翻弄され、悲劇的な運命を辿ります。野心もあったのでしょうが、彼の行動はどこか幼さが残っており、敏月の策略に嵌められてしまう様子は、見ていて痛々しかったです。廃太子となり、巴州へ流されるシーンは、彼の無念さがひしひしと伝わってきました。かつての友人たちが彼を見捨てていく中、賀蘭敏月だけが送りに来たという事実は、皮肉であり、また李賢の人間性を際立たせるものでもありました。
つづく