あらすじ
第十五話は、青崖洞に囚われた地仙たちを沈璃と行止が救出する物語を中心に展開します。二人は、地仙たちが組織的な妖族に霊力を吸い取られているのを発見し、行止が陣を張り、沈璃を助けて無事に彼らを救出しました。しかし、救われた地仙たちは霊界に対して失礼な発言をし、沈璃を怒らせますが、行止の説得により事なきを得ました。
その後、沈璃と行止は拂容を探しに行くことに決め、途中で行止は沈璃のために料理を作ります。二人は蛇の妖怪が営むあやしげな宿屋に迷い込んでしまいますが、錦月府へ妖怪退治に向かう沈璃たちに同行したいと、小さな蛇の妖怪は申し出ます。
錦繡城に到著すると、瘴気が蔓延し、人々が困窮している悲惨な状況を目の当たりにします。行止は毒に侵された母親を救います。沈璃は、やつれた姿ながらも人々を救おうとする拂容と再会し、さらに顧成錦が毒に侵された女性を介抱する場面を目撃します。
ネタバレ
青崖洞で、脱出した地仙の案内で沈璃と行止は行方不明の仲間を探しに向かった。妖気が満ちているのを感じた行止は、地仙に法器を渡し帰らせ、自身と沈璃で囚われた地仙の救出に向かう。
牢獄に近づくにつれ、囚らわれた地仙たちの苦しむ声が聞こえてきた。妖が地仙たちの霊力を吸い取っているようで、組織的な悪行であることが窺える。行止は沈璃に囚われた地仙の救出を任せ、自身は周囲に法陣を展開して援護することにした。沈璃は勇敢に戦い、敵をなぎ倒していく。そして、肝心なところで、行止が軽く袖を振るうと、全ての牢獄の扉が開き、囚われていた地仙たちは解放された。
解放された地仙たちは、自分たちを捕らえたのは霊界の人間だと訴え、霊界を侮辱し、霊尊の人格までも冒涜する言葉を吐いた。沈璃は怒り、暴言を吐く男の喉を掴んだが、行止は沈璃を宥めた。ここで感情的に処罰すれば、かえって霊界の印象を悪くすると。沈璃は仕方なく手を離した。
地仙たちを救出した後、沈璃は行止に別れを告げ、拂容を探しに行こうとした。しかし、先ほどの戦闘で空腹だったため、行止は沈璃に食事を作ってあげると申し出た。沈璃は行止の手料理を久しぶりに食べることになった。
行止は沈璃を連れてある屋敷を見つけた。最初は台所を借りるつもりだったが、そこは実は黒店であり、女将は蛇妖だった。さらに、もう一匹の小さな蛇も隠れていた。沈璃は蛇妖に警告を与えた。小さな蛇の姿は、沈璃が人間界で出会った小荷にそっくりだった。この小蛇は彼らが錦月府へ妖怪退治に向かうと聞き、同行を申し出た。
錦繡城は深夜にもかかわらず、妖気に満ちていた。瘴気の毒に侵された人々の遺体が放置され、誰も気に留めていない。行止は毒に侵された母親を助け、しばらくすると、一行の足音が聞こえてきた。顔中が汚れた男が他の人々を安全な場所に避難させていた。沈璃が良く見ると、それは拂容だった!
仙界では瀟洒だった拂容が、こんなにも窶れているとは。拂容は、既に何人もの怪我人や毒に侵された罪のない人々を救助したと説明し、沈璃と行止を自分の住処に案内した。そこには、拂容に助けられた多くの人々がいた。拂容にも良心があるようだ。沈璃は頷き、その時、小妖が興奮した様子で誰かの名前を呼ぶのが聞こえた。声のする方を見ると、見覚えのある顔がそこにあった。顧成錦だった!
小蛇妖が「兄様、景言(顧成錦)」と呼び、再会を喜ぶ様子は、沈璃にとって既視感があった。小荷が顧成錦の想い人のために命を犠牲にしたことを思い出した。名前は変わっても、まるで同じことが繰り返されているかのようだった。顧成錦は毒に侵された女性を懸命に看病していた。その女性は葉氏に良く価ていた。行止は沈璃に、顧成錦は城主になってから、屋敷の池にたくさんの蓮の花を植えていることを教えた。それは、自分のために命を落とした小荷を偲んでのことだった。
第15話の感想
第15話は、沈璃と行止の絆の深まりを感じさせると同時に、運命の残酷さを改めて突きつけるエピソードでした。前半は、囚われた地仙たちの救出劇を通して、二人の息の合った共闘が見られました。沈璃の武勇と行止の知略が組み合わさり、鮮やかに敵を倒していく様は爽快です。しかし、解放された地仙たちの霊界への侮辱は、今後の波乱を予感させます。沈璃の怒りはもっともですが、行止の冷静な判断によって事態の悪化は避けられました。この場面は、二人の対照的な性格を際立たせながらも、互いを尊重し理解している関係性がよく描かれていました。
行止が沈璃のために料理を作るシーンは、二人の穏やかな時間を演出しています。久しぶりの行止の手料理に喜ぶ沈璃の姿は、見ているこちらも温かい気持ちになります。しかし、この穏やかな時間も束の間、黒店の蛇妖との遭遇、そして錦繡城での瘴気被害、拂容との再会、さらに顧成錦と小蛇妖の再会と、物語は急展開を迎えます。
つづく