あらすじ
第18話は、沈璃と行止の複雑な恋愛模様と霊界で起こる様々な出来事を中心に描かれています。
霊尊は苻生の悪行を知ると、即座に捕縛を命じます。時を同じくして、洛天神女の幽蘭は墨方に墟天淵での出来事を語るよう求めますが、沈璃がそれを遮り、墨方を連れ去ります。この沈璃の行動は行止の注意を惹きつけ、彼の中に墨方を守ろうとする気持ちが芽生えます。
行止の自分に対する態度が冷たい時と温かい時で違うことに、沈璃は戸惑いを感じています。彼女は子夏将軍の令牌を墨方に託し、共に亡くなった将士たちを偲びます。ある晩、酒に酔った沈璃は墨方に背負われて家まで帰り、一緒に屋上で星を眺めます。この場面を偶然目撃した拂容は、二人の仲を裂こうとわざと沈璃を挑発します。
再び拂容から婚約破棄を迫られた行止は、なんとその場で承諾してしまいます。これに沈璃は激しく仮発し、婚約破棄には応じないと主張します。
ネタバレ
沈璃の話を聞いた霊尊は、苻生という悪人のことは全く知らないと答えました。しかし、沈璃が去るとすぐに部下に命じ、苻生を見つけ次第誅殺するように、仙界への報告も不要と伝えました。
洛天神女の幽蘭は墨方を訪ね、行止の霊界や墟天淵での出来事を全て話すよう求めました。沈璃は幽蘭に初対面から良い印象を抱かず、墨方への高圧的な態度に苛立ち、彼を連れ出しました。幽蘭はお嬢様気質丸出しで挑発的な言葉を投げかけますが、沈璃は墨方の手首を掴んで立ち去ろうとします。この様子を見た行止は、沈璃が他の男に心を寄せているように見えて我慢ならず、幽蘭を庇いました。
沈璃は行止に愛憎入り混じる複雑な感情を抱いていました。時折冷たく、時折色仕掛けで誘惑してくる行止の態度に嫌気がさし、彼に釘を刺すため、わざと墨方の腕を掴んでその場を後にしました。
墨方は沈璃に腕を掴まれ、こんなにも近くに感じてドキドキしていましたが、彼女との関係は不可能だと理解しており、距離を保とうと努めました。沈璃は子夏将軍の遺品である令牌を墨方に渡し、彼の未亡人に届けるよう頼みました。将士は国を守るため危険を顧みず、犠牲は避けられないと慰めました。
子夏将軍の未亡人が泣き崩れる姿を見て、墨方は心を痛め、その夜、酒場で悲しみに暮れました。沈璃も悲しみ、その夜任務に就いていなかった将士たちを集め、共に酒を酌み交わし、亡くなった将士たちを偲びました。
深夜、酔いつぶれた沈璃を墨方が背負って家まで送りました。二人がこんなに親密になるのは久しぶりで、墨方はこの時間が永遠に続けばいいのにと願いました。沈璃も酔いに任せて、同じ気持ちだと答え、星を見に行きたいと言いました。墨方はいつも沈璃の言うことを聞き入れ、彼女を背負って屋上へ星を見に行きました。
屋上の風で沈璃は徐々に酔いから覚め、部下の家の屋上で星を見ているという状況に気づき、恥ずかしさでいっぱいになりました。適当な理由をつけて立ち去ろうとしたその時、拂容の声が聞こえました。拂容はわざと怒ったように、沈璃が深夜に部下と密会しているのは風紀を乱す行為だと責め立てました。沈璃は拂容など恐れませんでしたが、行止の声が聞こえた途端、緊張しました。
拂容のうるさい小言にうんざりした沈璃は、彼を黙らせました。拂容は再び婚約破棄を申し出ると、行止はそれを承諾しました。今度は沈璃が不満を露わにし、行止の軽率な行動を非難しました。無責任に婚約を決めたのも、簡単に破棄しようとするのも行止だと責め立てました。しかし、今は霊界にいるのだから、婚約破棄を決めるのは自分だと主張し、破棄には応じないと断言しました。行止は沈璃に自分の気持ちを伝えたことがなく、彼女の心は不安定なままでした。行止の心無い言葉に傷ついた沈璃は、墟天淵の瘴気も消え、霊界にも用はないのだから、早く帰るようにと遠回しに伝えました。行止は、明日幽蘭と共に仙界へ帰ると答えました。
行止が去った後、沈璃は上の空でした。墟天淵で瘴気を消すために行止と共に過ごした日々を思い出していました。あの時、行止は自分のことを気にかけてくれていると感じていましたが、普段の冷淡な態度を思い出すと、どちらが本当の行止なのか分からなくなりました。沈璃のぼんやりとした様子を見た霊尊は、拂容が去ったことで沈璃が恋煩いをしていると勘違いし、彼女を仙界へ行く任務に就かせました。
第18話の感想
第18話は、沈璃と行止の関係がさらに複雑に絡み合い、もどかしい展開を見せるエピソードでした。お互いを想いながらも、素直になれない二人のすれ違いが切なく描かれています。
特に印象的なのは、沈璃の揺れ動く心情です。行止の冷たい態度に傷つきながらも、彼の優しさに触れた時の喜びを忘れられず、戸惑う様子が胸を締め付けます。墨方との親密なシーンは、行止への当てつけというよりも、沈璃の寂しさや孤独を表現しているように感じられました。屋上での星見のシーンは、儚く美しいながらも、二人の間の距離を改めて感じさせる、切ない場面でした。
行止もまた、沈璃への想いを隠しながら、幽蘭を庇うことで沈璃の嫉妬心を煽るなど、複雑な行動を見せています。彼の真意がどこにあるのか、読者の心を掴んで離しません。
一方、幽蘭の存在は、沈璃と行止の関係をかき乱すキーパーソンとして、今後の展開に大きく影響を与えそうです。彼女のお嬢様気質と行止への一途な想いが、物語に波乱を巻き起こすことは間違いありません。
つづく