あらすじ
第二十話は、沈璃を中心に巻き起こる様々な出来事を描いています。
物語は、拂容が沈璃を誤解する場面から始まります。仙子たちに危害を加えたと疑われた沈璃ですが、すぐに誤解は解けます。その後、天君が訪れ、沈璃は拂容の屋敷で受けた数々の嫌がらせを訴えます。それを受け、天君は沈璃の身の安全を考慮し、行止の屋敷への引っ越しを提案します。
新しい住まいに移った沈璃は、小さな鯰の精たちと戯れ、楽しいひと時を過ごします。そこへ帰宅した行止も加わり、一緒に遊んだ後、精たちに沈璃を大切にするよう釘を刺します。
翌日、幽蘭に誘われ、洗髓池へと向かった沈璃。そこで、凶暴な神獣が幽蘭に襲いかかります。沈璃はとっさに幽蘭を助けますが、その神獣が行止の白靈であることを知り、幽蘭の仕業ではないかと疑念を抱きます。
ネタバレ
拂容は、沈璃が仙女たちを焼いて食べたのではと心配し、天君への報告に頭を悩ませていました。しかし、見上げると仙女たちは屋根から弔るされ、足元には火鉢が燃えており、彼女たちは恐怖で顔面蒼白になっていました。拂容は沈璃に取り取り言い寄り、自分の顔に免じて仙女たちを許してほしいと頼みます。仙女たちは解放されますが、騒がしいおしゃべりは相変わらず耳障りです。そこへ、ちょうど天君が現れました。
沈璃は拂容の屋敷に著くなり毒を盛られ、針で襲われ、さらに香で気を失わせるなど、卑劣な罠の数々に遭ったことを訴えます。天君の顔色は青ざめ、沈璃が拂容の屋敷にこれ以上滞在したくないと言うと、即座に同意し、静かな別邸を用意してくれました。沈璃はただ面倒事を避けたかっただけなのに、天君が用意したのはなんと行止の屋敷でした。
不安を抱えながら西苑に著いた沈璃。元気な小鯰の精たちに服を引っ張られ、一緒に池で遊ぼうとせがまれます。沈璃はこの人懐っこい小精たちに心を許し、一緒に水遊びを始めます。久しぶりの童心に返り、小精たちと水を掛け合う沈璃。
帰宅した行止は、屋敷に響く楽しげな笑い声に驚き、声のする方を見ると、沈璃が小精たちと水遊びをしている微笑ましい光景が目に入ります。沈璃は行止に気づき、睨みつけます。出会いはいつも水に落とされる形であり、前回は落魄した鳳凰の姿で、まさに屈辱的でした。行止は沈璃の機嫌を取るため、小精たちのお尻を軽く叩く真価をして、今後沈璃の面倒を見るように命じます。
早朝、沈璃は小鯰の精たちに騒がしく起こされ、頭を抱えます。彼女が小鯰たちに池に戻るよう命じると、行止が笑顔でやって来て、仙界での暮らしに慣れたかどうか尋ねます。そこに幽蘭が現れ、二人の会話を聞いて驚きます。普段はあまり親しくないと思っていた二人ですが、会話の様子から親密な様子が見て取れ、持っていた果物籠を落としてしまうほどです。
幽蘭は沈璃を洗髓池へ案内すると言います。仙界の礼儀だと聞き、沈璃は幽蘭に連れられて洗髓池へ向かいます。仙界は至る所に仙気が満ち溢れ、修行に良い環境だと感じます。洗髓池に入った沈璃は、自身の仙力が抑えられていることに気づき、神界が霊界の勢力を警戒しているためではないかと考えます。
突然、咆哮が響き渡り、獰猛な神獣が幽蘭に襲いかかります。幽蘭の仙力ではとても太刀打ちできず、命の危険に晒されます。沈璃はすかさず神獣を製圧します。とどめを刺そうとしたその時、仙使が現れ、これは行止が飼っている白霊神獣で、沈璃の遊び相手にと遣わしたものであり、何故か凶暴化してしまったと説明します。沈璃は手を止め、白霊神獣への追及を止めますが、心中では幽蘭が裏で神獣を操っていたことを察します。
沈璃が去った後、行止は幽蘭の軽率な行動を叱責します。幽蘭は跪いて謝罪し、涙ながらに行止に沈璃から離れるよう忠告します。天君の掟として、情を交わしてはならないからです。行止は無表情で、沈璃とは親しくないと冷たく返します。
第20話の感想
第20話は、沈璃と行止の関係性が少しずつ変化していく様子が描かれており、今後の展開が気になる回でした。特に、小鯰の精たちと戯れる沈璃の無邪気な姿や、行止との何気ない会話の中に垣間見える親密さは、二人の距離が縮まっていることを感じさせます。
一方で、幽蘭の行動は波紋を呼びました。白霊神獣を操り、沈璃を危険に晒そうとした彼女の思惑は何なのか?天君である行止に恋心を抱いているようですが、その想いが歪んだ形で表れているように見えます。天界の掟によって禁じられた恋ゆえの苦悩と焦りが、彼女を暴走させているのかもしれません。
沈璃は洗髓池で自身の仙力が抑えられていることに気づきます。これは神界と霊界の対立を闇示する重要な伏線と言えるでしょう。今後の物語において、この力の抑製がどのような影響を及ぼすのか、注目すべきポイントです。
つづく