あらすじ
第二十二話は、沈璃が霊族が五日前に襲撃を受け、多くの民と兵士が死傷し、霊尊も重傷を負い昏睡状態にあることを知るところから始まります。彼女は、今回の攻撃が仙界への陽動作戦ではなく、霊族そのものを狙ったものだと悟ります。霊族に戻った沈璃は、目の前に広がる惨状と未だ癒えぬ傷跡を前に、犠牲となった将士たちを弔い、復讐を誓います。
一方、闇黒森林では、碧海蒼珠を見つけられなかった苻生が再び攻撃を企て、より多くの傀儡兵士を作り出す計画を立てていました。墟天淵で霊族が奇襲を受けた際、沈璃は間一髪で駆けつけ、村人たちを救います。そして、苻生と直接対決し、敵を撃退、霊族の安全を守り抜きました。
ネタバレ
幽蘭の報告を受け、沈璃と行止は凌霄殿へ。そこで神君から、五日前、霊族が襲撃され、多くの兵士、十名の将軍が命を落とし、霊尊も重傷を負い昏睡状態にあると知らされる。五日間も知らされずにいたことに沈璃は憤慨するも、状況から火攻めは陽動で、真の標的は霊族だと推測。急ぎ仙界を後にする。行止は見送るも、沈璃への想いを断ち切れないでいた。
霊族に戻った沈璃が目にしたのは、目を覆うばかりの惨状。生き残った兵士は傷だらけで、霊尊は瘴毒により意識不明。首には紫に変色した傷跡があった。報告によると、襲撃したのは三百人ほどの怪異な集団。常人と同じ姿ながら、桁外れの怪力と、刀剣を通さない強靭な肉体を持っていたという。一部の道士の法術が僅かに効果があったのみ。沈璃は以前遭遇した謎の黒衣の集団を思い出す。
既に五日が経過していたが、霊族の慣習により、兵士の埋葬が優先され、将軍たちの葬儀はまだ執り行われていなかった。沈璃は一人一人に弔いの言葉を捧げ、かつての彼らの姿を思い涙する。墨方までもが敵に飲み込まれたと聞き、怒りに震え、生死を問わず捜索を命じる。そして盛大な葬儀を執り行い、必ず仇を討つと誓った。
闇黒森林では、苻生が碧海倉珠の捜索が難航しているとの報告を受ける。霊尊は解毒剤を手に入れ、回復しつつあるため、霊族への攻撃は困難になりつつあった。苻生は部下を叱責するも、失ったのは操り人形の傀儡に過ぎないと気に留めず、更なる傀儡の製造と大規模攻撃を企てる。力を増すため、生きた人間を要求する。
苻生は碧海倉珠が霊尊から沈璃に渡ったと睨み、大規模な攻撃は主の怒りを買うと懸念し、密かに事を進めるよう指示する。
間もなく、先の黒衣の集団が墟天淵へ向かい、殺戮と略奪を繰り返しているとの報告が入る。復讐に燃える将軍たちは出陣を望むが、沈璃は軽挙妄動を戒め、自ら軍を率いると宣言する。
墟天淵の住民たちは出陣する沈璃たちのために祈りの儀式を行う。しかし、沈璃が出陣した直後、墟天淵は魑魅の襲撃を受ける。住民たちは逃げ惑い、平和な空は闇雲に覆われる。絶体絶命のその時、沈璃率いる霊族の軍勢が到著。沈璃の矛が薙ぎ払うごとに魑魅は肉塊と化す。赤い雲を踏みしめ戦う沈璃の姿に、恐怖に怯えていた少年は希望を見出す。
遂に沈璃と対峙した苻生。しかし、今回は沈璃に手傷を負わされ、優位に立てない。沈璃は、霊界で暴れるなら、まずは彼女の武器に聞いてみろと警告する。
第22話の感想
第22話は、沈璃の故郷である霊族への愛と責任、そして彼女の強さが際立つエピソードでした。冒頭、仙界で霊族の惨状を知った沈璃の怒りと焦燥感は、彼女の故郷への深い愛情を物語っています。五日間も情報が遅れたことに対する憤りも、彼女の責任感の強さの表れでしょう。行止との別れ際に見せる沈璃の複雑な表情は、彼女が背負うものの大きさを改めて感じさせます。
故郷に戻った沈璃は、想像を絶する悲劇を目の当たりにします。愛する人々、尊敬する将軍たちの無残な姿は、彼女の心を深く傷つけたことでしょう。しかし、沈璃は悲しみに暮れるだけでなく、指導者としての責任を果たそうとします。兵士たちの葬儀を執り行い、墨方の捜索を命じ、そして復讐を誓う彼女の姿は、まさに霊族の希望の光です。
つづく