あらすじ
第33話は、主に沈璃が天外天で結界を解く方法を探している様子を描いています。行止に危害が及ぶのを避けるため、力ずくで突破するのではなく、一枚の絵を通して出口を見つけようと試みます。絵の中には、千年前の孤独な行止と霊界の様子が描かれており、瑠羽と魑魅の王、鳳來のやり取りも含まれています。これらの場面は、行止の過去の心の軌跡を明らかにするだけでなく、霊界の複雑な人間関係や感情の縺れも描き出しています。
沈璃はこれらの歴史の断片を目にしたことで、行止への理解を深め、再び彼に結界を開くよう説得を試みますが、成功には至りません。一方、拂容は偶然にも禁地に入り込み、傷ついた墨方を救助したことで、結界が消滅してしまいます。沈璃は絵巻をさらに探求し続け、心の中の疑問を少しずつ解き明かし、瑠羽と鳳來に関する物語をさらに発見していきます。
ネタバレ
沈璃は天外天にて結界を解く方法を探していた。無理に突破すれば行止に仮動があることを承知しており、機の上にある行止がかつて天の裂け目を修復した時の絵に、突破口があるのではないかと考え、試してみることにした。
絵を広げると、灰色の服を著て物憂げな行止の姿があった。一人で機に向かい、酒に溺れている。周囲には酒壺の破片が散乱している。普段見せることのない、千年前の行止の姿だった。千年の間、孤独に九重天を守り続け、苦痛と孤独に耐えてきた行止。真夜中の静寂の中、陶器の破片を踏みながら茫漠たる三界を見下ろし、自身の存在意義を見失っているようだった。
次に沈璃は千年前の霊界を目にした。そこには瑠羽と霊族の長がいた。長は炉の炎で魑魅を増やし、無限の力を得ようとしていた。そして、顔に模様のある男が錬成された。魑魅の王である。瑠羽は苦しむ彼を優しく撫で、名前を「鳳來」とつけた。鳳來は瑠羽に心を許しているようで、長は瑠羽に鳳來の世話をするよう命じた。
その時、行止が来た気配を感じ、沈璃は急いで絵の世界から戻った。行止に霊界へ帰してほしいと頼むが、行止は聞き入れない。天界の掟に疑問を抱き、感情を持つことを禁じられながら、なぜ七情六欲を与えられたのか、強大な力を持つ一方で、なぜ繊細な心を与えられたのかと苦悩していた。絵の中で千年前の行止の姿を見た沈璃は、彼の苦しみを理解し、不満を吐露させた後、改めて結界を解くよう頼んだ。しかし、行止はそれをかわし、沈璃のために食事を用意すると話題を変えた。
一方、拂容は禁地で墨方が結界の中に倒れているのを発見する。かつて霊界で縁のあった墨方に丹药を与えると、結界は消えた。
行止が去った後、沈璃は再び絵を開いた。霊界と魑魅の王に続き、今度は何が現れるのか。好奇心に駆られ、絵を見続けると、瑠羽と鳳來の姿があった。そして、沈璃の師匠も。瑠羽は師匠の妹弟子だったのだ。師匠は鳳來を見て驚き、魑魅を人の姿に変えた瑠羽を叱責した。鳳來は師匠に唾を吐きかけ、瑠羽は師匠を宥め、鳳來はまだ子供のようなものだと説明した。
その後、瑠羽と鳳來は親密になり、瑠羽は鳳來を魑魅ではなく、霊族の仲間のように感じていた。絵の中の光景を見つめる沈璃の心に、少しずつ謎が解けていくのだった。
第33話の感想
第33話は、行止の孤独と苦悩、そして瑠羽と鳳來の出会いが描かれた、物語の核心に触れる重要なエピソードでした。千年間、孤独に天界を守り続ける行止の苦しみは想像を絶するものです。七情六欲を与えられながら、愛情を持つことを禁じられるという矛盾。強大な力と繊細な心の両立に苦しむ彼の姿は、深い悲しみと共感を呼び起こします。沈璃が絵を通して彼の過去に触れ、その苦しみを理解するシーンは、二人の絆をより一層強く感じさせる感動的な場面でした。
一方、瑠羽と鳳來の出会いは、今後の物語の展開を大きく左右する重要な出来事と言えるでしょう。魑魅の王である鳳來が、瑠羽の優しさに触れ、心を許していく様子は、非常に興味深いです。師匠に叱責されながらも、鳳來を守ろうとする瑠羽の強い意誌は、彼女の芯の強さを表しています。鳳來が瑠羽に唾を吐きかけるシーンは、子供のような無邪気さと共に、彼がまだ人間社会の常識を理解していないことを示唆しており、今後の成長が期待されます。
沈璃が絵を通して過去の出来事を目撃する展開は、物語にミステリアスな要素を加えています。これらの出来事がランダムに現れるのか、それとも何らかの意図があるのか、今後の展開が非常に気になります。沈璃がこれらの出来事を通して、物語の真相に近づいていく様子は、視聴者を物語に引き込む大きな魅力となっています。行止の苦悩、瑠羽と鳳來の出会い、そして沈璃の探求。これらの要素が複雑に絡み合い、物語はますます目が離せない展開へと進んでいきます。
つづく