あらすじ
第35話は、仙界と霊界に迫る危機、そして主人公たちの勇敢な戦いぶりを描いています。
行止を助けるため、鳳來は自らを犠牲にしました。鳳來の死は、無数の魑魅の消滅を招くと同時に、娘の沈璃を残しました。瑠羽は沈璃の体内に自身の内丹を注入し、魑魅の気を隠蔽した後、息絶えました。
墨方は拂容の助けで意識を取り戻しますが、苻生の支配下に置かれてしまいます。拂容は辛くも逃れ、天尊に墟天淵が攻撃されようとしていることを知らせました。霊尊と拂容は危機に対処するため霊界へ戻り、幽蘭は天外天へ赴き沈璃を救出します。
苻生の圧倒的な力 trước、霊尊は敗北し、多くの兵士が傷を負いました。拂容は大きく成長し、負傷兵の救護にあたり、自ら墟天淵へ向かい魑魅と戦うことを決意します。
そして、苻生との激戦の最中、沈璃が駆けつけます。彼女は赤羽槍で鳳凰涅槃の光を放ち、魑魅を撃退、拂容を守り、苻生の真意を問いただしました。
ネタバレ
鳳來は行止のために仙界を去り、魔界へと向かった。行止が初めて鳳來に会った時、燃え盛る鳳凰の姿を目撃したことから、魑魅の王の力は侮れないものであった。鳳來の放つ光は眩しく、霊界の兵士たちは行止への攻撃かと疑うが、霊尊は首を横に振る。これは鳳來が行止への合図であり、彼自身を陣法に利用することを示唆していたのだ。鳳來は壁に激突し命を落とすが、それと同時に無数の魑魅も消滅した。
一方、拂容は墨方に浄化の力を注ぎ込み、ついに墨方は目を覚ます。しかし、目覚めた墨方は墟天淵への攻撃、そして霊界に迫る大災害を拂容に告げ、自らの命を絶つよう促す。女好きで知られる拂容だが、人殺しをした経験はなく、墨方を救おうと浄化の力を使い続ける。しかし、墨方は既に苻生に操られており、拂容は間一髪で逃げ出し、天尊に事態を報告するため仙界へと急いだ。
霊尊はこの知らせを受け、すぐに霊界へ戻る。拂容もまた、霊尊と共に霊界へ戻り、微力ながら貢献することを決意する。幽蘭は霊界の危機を知り、行止の身を案じて霊殿へ。多くの先神に行止の加護を祈願する中、天外天の結界が開き、幽蘭は沈璃の赤羽の槍を見つけ出し、沈璃と共に仙界を脱出する。
鳳來の死後、瑠羽は女児を出産する。それが沈璃であった。瑠羽は自らの内丹を沈璃に注入し、魑魅の気を抑え込もうとする。そして、赤子を師姉に託し、この世を去った。自らの出生の秘密を知った沈璃は、自らの使命を理解し、幽蘭と共に仙界を後にする。
苻生は既に墟天淵の陣眼に到達し、無数の魑魅を解き放っていた。霊尊は墟天淵へ向かうも、苻生には敵わず、霊界の兵士たちは次々と重傷を負う。拂容は昼夜を問わず負傷兵の治療にあたり、かつての遊び好きの仙人ではなく、成熟した姿を見せる。多くの兵士の生死を目の当たりにし、墟天淵の脅威を改めて認識した拂容は、自ら墟天淵へ向かうことを決意する。弟の成長に、幽蘭は喜びを感じるのだった。沈璃は霊界の将兵に陣眼の守護を命じ、霊尊が魑魅退治に向かったと聞き、自らも現場へと向かう。
仙界の将兵を率いて墟天淵に到著した拂容。かつて見たことのない凄惨な光景が広がっていた。瘴気が蔓延し、多くの霊界の兵士が窒息死する。夥しい数の傀儡が蟻のように群がり、とても殲滅できる数ではない。拂容の号令一下、天兵天将と魑魅の激戦が始まる。拂容は苻生と対峙するも敵わず、幽蘭に助けられる。
苻生が拂容にとどめを刺そうとしたその時、沈璃が現れる。赤羽の槍を携え、鳳凰の如く輝く沈璃。彼女の行く先々で魑魅魍魎は砕け散る。拂容の前に立ち、苻生の目的を問いただす沈璃。苻生は沈璃の到来を待ち望んでいた。今こそ妖丹を取り戻し、封印を解く時だと。
第35話の感想
第35話は、様々な登場人物の運命が大きく動き出す、非常にドラマチックな展開でした。鳳來の自己犠牲、墨方の悲痛な最期、そして沈璃の登場と、息つく暇もない怒涛の展開に心を揺さぶられました。
特に印象的だったのは、鳳來の行止への深い愛情です。自らの命を犠牲にしてまで行止を守ろうとする姿は、涙を誘います。彼の最期は悲劇的ですが、その行動は行止の心に深く刻まれることでしょう。また、墨方の苦悩も胸を締め付けます。苻生に操られながらも、拂容に警告を発する彼の姿は、真に救いようのない悲劇を感じさせます。
一方、沈璃の登場は希望の光を感じさせます。赤羽の槍を携え、鳳凰の如く輝く彼女の姿は、まさに救世主の風格です。今後の活躍に大きな期待が持てます。また、拂容の成長も注目すべき点です。これまで遊び好きの仙人として描かれてきた彼が、戦場の過酷さを目の当たりにし、責任感に目覚めていく様子は、彼の内面の変化を強く印象付けます。
つづく