あらすじ
第36話は、沈璃と苻生との激しい戦いを中心に展開されます。赤羽の槍は、行止の手によって修復され、威力が増していました。霊尊は沈璃を守るため、彼女を墟天淵から遠ざけようとしますが、沈璃は師匠が危険に晒されるのを見過ごすことができず、戻って苻生に立ち向かいます。しかし、沈璃は墨方への情に揺らぎ、それが苻生に利用され、陣眼に落とされてしまいます。
窮地に陥ったその時、墨方は沈璃に自らの苦しみを終わらせてくれるよう懇願し、赤羽の槍で自害します。一方、六冥の刺激によって鳳來は封印を破り、瑠羽を探し始めます。その際、誤って行止を傷つけてしまいますが、沈璃に救われます。行止は、沈璃の本当の身分を既に知っていたことを明かし、ずっとその秘密を守ってきたこと、そして彼女への変わらぬ想いを伝えます。
ネタバレ
沈璃は苻生と激戦を繰り広げ、行止によって修復・鍛錬された赤羽槍は更に鋭さを増していた。そこに霊尊が駆けつけ、苻生との無駄な戦いを止めさせ、沈璃に早く逃げるよう促す。苻生は魑魅を放ち、霊界への殺戮を開始。霊尊は全力を尽くし、沈璃を墟天淵から押し出し、罠から守ろうとする。
しかし、師を危険に晒すわけにはいかない沈璃は、再び墟天淵に戻り、苻生に立ち向かう。全ての魑魅は苻生の命令に従い、沈璃に襲いかかる。同時に、行止は仙界で画巻を修復し続け、墟天淵を浄化しようと試みていた。
本来、沈璃は苻生を製御できたはずだったが、苻生は墨方の体に憑依しており、沈璃がためらった隙に、逆に陣眼に叩き込まれてしまう。内丹を狙う苻生も陣眼に入り込むが、墨方の残された元気に製御される。正気に戻った墨方は、沈璃に自分を殺すよう懇願する。苻生に操られ、悪事を働く傀儡でいることに耐えかねていたのだ。苻生の欲望に苦しめられる墨方に、沈璃が理由を問うと、墨方は宿命によって六冥の子として生まれたが、深い愛情ゆえに沈璃を傷つけることはできなかったと告白し、沈璃の赤羽槍を受け取り自害する。
行止は遠隔では墟天淵を浄化できず、力が弱まっているのを感じ、天界は自分が三界を守れると信じていないのかと疑問を抱く。しかし、運命を受け入れず、自ら墟天淵へと向かう。
墟天淵の陣眼で、沈璃は墨方の父である六冥と、鳳來に会う。千年もの間、鳳來は六冥に囚われていた。意識を取り戻した鳳來は、今も瑠羽を想い続けている。六冥は瑠羽が既に死んでいると言い、封印を破れば会えると鳳來を挑発する。鳳來は何も恐れないが、瑠羽が苦しむ姿は見たくない。彼は衝動的に結界を破り、天へ飛び立つ。かつて行止は瑠羽を守ると約束したが、今はそうではなかった。
行止は暴走する鳳來を結界に閉じ込め、一人で対峙する。陣眼の中にいた沈璃は、外に危険を感じ、出口を探し出して脱出。鳳來の緻命的な一撃を受け止め、行止の命を救う。重傷を負い、口から血を流す行止だが、いつもの冷静さを失わず、義父に叱られたと冗談を言う。
沈璃の心には雨が降り始める。行止はずっと前から自分の出生を知っていたのだ。それでも秘密を守り、危険を顧みず天外天で沈璃を守り続けてきた。行止は、自分が愛しているのは沈璃であり、彼女の身分がどうであれ受け入れると微笑みながら告げる。
第36話の感想
第36話は、様々な感情が渦巻く、非常にドラマチックな展開でした。まず、沈璃と苻生の戦いは、これまで以上に激しさを増し、赤羽槍の威力も相まって、緊迫感がありました。霊尊の登場と自己犠牲的な行動は、師弟愛の深さを改めて感じさせ、胸を打たれました。
沈璃の墨方に対する葛藤も印象的でした。愛する者を守るためとはいえ、敵を倒すことを躊躇う彼女の苦悩は、見ている側にも深く伝わってきました。墨方の最期は悲劇的でしたが、彼の沈璃への深い愛情と、苻生への憎悪が強く表現されており、心を揺さぶられました。
行止の仙界での葛藤、そして自ら墟天淵へ向かう決意も、彼の責任感と強い意誌を示す重要なシーンでした。天界からの信頼に疑問を抱きながらも、三界を守るという使命を放棄しない彼の姿は、真の英雄と言えるでしょう。
つづく