あらすじ
第37話は、沈璃と行止が巨大な危機に直面した際の決断と犠牲を描いています。六冥に激怒した鳳來は敵味方構わず暴走し始め、沈璃は行止を守るため身を挺し、鳳來を浄化する時間を稼ぎました。仙界の将領たちは死を賭して墟天淵の結界を守り、行止は沈璃を天外天へ連れて行きます。そこで、天外天を破壊するか、火の封印を用いて沈璃を犠牲に墟天淵を封じるかの選択を迫られます。
沈璃は迷わず自らの犠牲を選び、霊界と仙界の安寧を確保しようとします。深い苦しみの中、彼女は行止に結界の修復を完了するよう強く促します。最終的に、行止は結界の強化に成功します。一方、正気に戻った鳳來は、琉羽が自分に娘を残していたことを知り、沈璃に代わり新たな封印となることを自ら選び、墟天淵を完全に封じ込めました。千年にも及ぶ深い愛情と無私の献身が描かれています。
ネタバレ
行止の口から血が流れ、沈璃は「これこそ私の選んだ男だ」と改めて確信します。鳳來はまだ上空を旋回し、いつでも襲いかかる態勢です。沈璃は行止を庇い、六冥に激怒し善悪の区別もつかない鳳來に一人で立ち向かいます。行止は沈璃を守りながら、鳳來を浄化する時間を稼ぎます。
仙界の将領たちは墟天淵の結界を死守しようとします。鳳來が一人でも逃れた以上、これ以上の失敗は許されません。行止は沈璃を天外天へ連れて行き、墟天淵を守る方法を提示します。一つは天外天を破壊すること。しかし、霊界と仙界にも影響が出かねません。もう一つは火の封印で墟天淵と天外天を完全に封じること。この方法なら霊界と仙界への影響はありませんが、沈璃の命が犠牲になります。
沈璃は迷わず後者を選びます。碧蒼王として、彼女は常に犠牲になる覚悟ができていました。行止も沈璃の選択を予想していましたが、他に方法がないか模索していました。しかし、もはや他に道はなく、行止は沈璃と共に死ぬ覚悟を決め、天外天に戻り、陣法で墟天淵の封印を強化しようとします。
天外天の陣法の影響で、沈璃は全身を縛られたような激痛に襲われます。しかし、どんなに苦しくても、行止が結界を修復するまで耐え抜こうとします。行止は全力を尽くし、ついに墟天淵の結界を強化します。多くの位牌の上古神たちが行止に感謝の笑みを向けます。これは天選之人である上古神が払うべき代償でした。
死期が迫る中、行止は墟天淵に現れ、沈璃の傍らに佇みます。沈璃はゆっくりと目を開けます。愛する人が約束通りに来てくれました。もし天道を犯していなければ、行止は今も仙界で雲淡風軽、無敵の上古神だったでしょう。しかし、これは二人の選択であり、二人はそれを受け入れています。
正気に戻った鳳來は、千年前に瑠羽と暮らした小院を訪ねますが、瑠羽の姿はどこにもありません。霊尊・沈木月 から、自分が封じられた後に起きた出来事を聞かされます。瑠羽は鳳來のために娘を産み、自分の血脈を残しました。そして、死の間際に師姉に頼み、墟天淵の傍らに葬られました。鳳來は涙を流します。瑠羽は「いつまでも待っている」と言ってくれていました。鳳來は沈木月 に、瑠羽は娘を愛していたかと尋ねます。沈木月 は、瑠羽は自分の命よりも娘を愛していたと答えます。魑魅の王の子を身籠ることは、普通の体では不可能でした。沈木月 は瑠羽に子供を諦めるよう説得しましたが、瑠羽は聞き入れず、その結果、早逝してしまったのです。
鳳來は話を聞き、迷わず墟天淵に戻ります。そこにいたのは、瑠羽と同じ目をした子供。紛れもなく二人の子供です。鳳來は沈璃の頭を優しく撫で、彼女と入れ替わり、自ら封印となり、墟天淵を完全に封じ込めます。
第37話の感想
「与鳳行」第37話は、涙なしには見られない感動的なエピソードでした。沈璃と行止の愛の深さ、そして鳳來と瑠羽の悲劇的な愛、両方が胸を締め付けます。
沈璃と行止は、世界の危機を救うため、自らの命を犠牲にする道を選びます。二人の愛は、互いを深く理解し、尊重し合い、どんな苦難も共に乗り越えようとする、真に強い絆で結ばれています。沈璃の迷いのない決断、そして行止の沈璃への深い愛情は、見ている者の心を揺さぶります。特に、行止が沈璃の傍らで最期の瞬間を共に過ごすシーンは、美しくも切なく、深い余韻を残します。
一方、鳳來と瑠羽の物語も悲劇的です。千年の時を経て再会を果たせなかった二人、そして瑠羽の娘への深い愛情を知った鳳來の涙は、見る者の心を痛ませます。鳳來が最後に沈璃と入れ替わり、自ら封印となる選択は、瑠羽への愛、そして娘への贖罪の気持ちの表れでしょう。彼が沈璃の頭を撫でるシーンは、様々な感情が込められており、非常に印象的です。
つづく