あらすじ
第六話では、沈璃が蓮の花の精の情念に揺れ動き、行雲を守るために犠牲を払う姿が描かれています。蓮の花の精は顧成錦への深い愛情ゆえに、利用されていると知りながらも最後の面会を願い、姿を隠して顧成錦の落胆ぶりを耳にした後、絶望の淵に突き落とされます。そして最後は詩音を救うために自らの命を犠牲にします。
一方、行雲は毒に侵され傷を負い、沈璃は彼を錦月府へ連れ帰り治療を施します。霊界からの追手が迫ると、行雲が捕らえられるのを防ぐため、自らの血で結界を張ります。その最中、沈璃の母后が現れ、霊界へ戻り結婚するよう迫ります。沈璃は不満を抱きながらも抗うことができず、行雲に別れを告げ、熱い口づけを残して去っていきます。迫り来る結婚に、もう二度と会えないかもしれないという無念さを露わにします。
ネタバレ
沈璃は、顧成錦のために薬材として利用されていると知りながら、彼に一目会いたいと懇願する蓮の花の精を、仕方なく顧成錦と会わせることにした。精は姿を隠され、沈璃は顧成錦に精が死んだと告げた。しかし、顧成錦は既に生きる望みを失っており、愛する女性と共にこの地で死ぬつもりだと答えた。それを聞いた精は絶望し、衝動的に顧成錦の首を絞めるも、愛する彼を殺すことができず、最後は自らの命を犠牲にして顧成錦の愛する女性を救った。顧成錦は精の犠牲に気づき、消えていく光点を見つめながら、茫然自失となった。
一方、瘴気の毒に侵された行雲は、沈璃によって錦月府に連れ戻され、治療を受けた。行雲の容態が少し落ち著いたのを見届けると、沈璃は自分のせいで行雲が危険に晒されることを恐れ、その場を離れようとした。案の定、霊界からの追手が迫ってきていた。墨方が時間稼ぎをする間に、沈璃は土地神に命じて行雲を救うよう指示した。土地神は、一刻半以内に毒を抜き取ると約束し、亭の下にいる青い服の男の元へ向かった。しかし、途中で青顔と赤容という二人の魔物に阻まれ、沈璃への伝言を託された。それは、沈璃が来なければ行雲の安全は保障できないというものだった。
天界の異変を知り、墨方と追手の戦闘が始まったことを察した沈璃は、行雲を救うため、再び錦月府に戻った。そこで、青顔と赤容から母上の命令として、すぐに霊界へ戻って結婚しなければ、たとえ手足を切り落とされても連れ戻すと伝えられた。無数の追手が空を埋め尽くす中、沈璃は自らの血で結界を作り、行雲を守った。
母上は、沈璃が同族を傷つけたことを責め、罪を認めるよう迫った。沈璃は、霊界が仙界に何万年もの間従属し、結婚相手すら自由に選べない現状、そして仙界の魑魅魍魎の監視を強いられている不公平を訴えた。しかし、母上は耳を貸さず、二人の天兵に命じて行雲を連れ去ろうとした。
そこで初めて、行雲は沈璃が王族の身分であることを知った。沈璃は行雲に歩み寄り、彼を抱きしめ、別れを惜しむキスをした。結婚を強要されていること、そしておそらく二度と会うことはできないだろうと告げ、行雲に生き延びるよう言い残し、悲痛な表情でその場を去った。行雲は、沈璃の去っていく後ろ姿を見つめ、深い悲しみに暮れた。
第6話の感想
『与鳳行』第6話は、沈璃と行雲の切ない愛と、霊界の理不尽な仕打ちが胸を締め付けるエピソードでした。特に、蓮の花の精の自己犠牲は涙を誘います。愛する人のため、自分の命を投げ出すその姿は、儚くも美しいものでした。顧成錦のために尽くす姿は、葉わぬ恋の切なさを際立たせています。
沈璃の強さと優しさも印象的です。行雲を救うため、危険を顧みず奔走し、自らの血で結界を張る姿は、彼女の深い愛情と責任感を物語っています。一方で、母上との対峙では、霊界の抑圧された現状に真っ向から立ち向かう彼女の芯の強さが見て取れます。理不尽な結婚を強いられながらも、行雲を守るため、そして自らの信念を貫くため、彼女は苦渋の決断を下します。
行雲は、沈璃の真実の姿を知り、驚きと戸惑いを隠せない様子でした。しかし、沈璃の深い愛情に触れ、彼女の苦悩を理解しようと努める姿は、彼の誠実さを表しています。沈璃との別れはあまりにも突然で、悲劇的でした。二人の未来が閉ざされていく様は、見ている側も胸が張り裂けそうになります。
つづく