あらすじ
第七話では、沈璃が人間の行雲を助けたことで母から霊力の消耗を咎められる場面から始まります。しかし、彼女は自分の選択に後悔していません。行雲は人間界で沈璃を想い続け、老齢に至ります。三十年後、禁製が解け帰還した沈璃は、行雲が既にこの世にいない可能性に気づき、落胆します。
一方、行止神君は劫を終え帰還しますが、以前とは打って変わり寡黙になり、命を落とした友を弔います。碧蒼王との結婚を恐れる拂容は、行止に婚約の破棄を願い出ます。実はこの縁談、行止が何気なく決めたものでした。行止は婚儀を延期することに同意します。
霊界は墟天淵との衝突に直面し、沈璃は瘴気を駆散させることに成功します。しかし、恒久的な平和のため、師は碧蒼王との政略結婚の重要性を説きます。沈璃はこの安排に納得していません。あまりにも性急だと感じていますが、大局のためであることは理解しています。
ネタバレ
沈璃は飛昇する際、行雲に自らの霊力を分け与え、無事に母后の元へ戻れるよう祈った。しかし、母后は、たった一人の人間のために五百年分の功力を消費したことを叱責し、十年後には行雲が沈璃のことを覚えているかどうかも分からないと諭した。それでも沈璃は「構わない」と、たった二文字に五百年分の功力など安いものだと断言した。
残された日々、行雲は小さな庭で沈璃との思い出に浸りながら暮らした。春風や夏雨の中も、庭に立ち沈璃を想い続け、ついには老衰を迎える。死期が迫っても、沈璃が好きだった小川にたどり著き、そこで沈璃の存在を感じていた。
ついに母后は沈璃の禁製を解いた。三十日間も閉じ込められていたことを知った沈璃は、行雲が既にこの世にいないのではないかと悟り、墨方からその事実を告げられる。
墨倉王府では、王爷の帰還に沸き立ち、王府は飾り付けられていた。小仙侍は沈璃のために料理を用意したが、下界にいた時とは違い、好物を見ても食欲が湧かなかった。
仙界では、多くの天神が帰還した行止神君を出迎えた。今回の下界での試練は公表されておらず、皆は行止が気晴らしに出かけたと思っていたが、帰ってきた彼は以前より沈黙していた。行止は従者たちと別れ、一人で千機台へ向かい、かつて命を落とした友を弔った。
拂容は、武勲赫々たる碧蒼王との結婚を聞き、恐れおののいた。碧蒼王の霊力は仙界で知らぬ者はなく、遊び慣れた拂容には手に負えない相手だった。すぐに神君の邸宅へ行き、行止に結婚を取り消してくれるよう懇願した。
行止は、天命星君が婚姻簿を持ってきて、結婚相手を指定するように言った時のことを思い出した。そのようなことに興味のなかった行止は、適当な番号を言ったのだが、それが拂容の番号だったのだ。行止は跪く拂容を起こし、もう少し時間を置いて、お互いをよく知ってから決めようと提案した。
霊界では、結婚延期の一報に皆が困惑する中、沈璃は密かに喜んでいた。少なくとも、まだ自由な時間が残されているからだ。師匠は沈璃を呼び出し、この結婚の重要性を説いた。沈璃は、拂容がどうしようもない神君であること、自分が武勲を立てたのに、なぜあんな好色漢と結婚させられなければならないのかと訴えた。師匠は沈璃の気持ちを理解していた。政略結婚は不本意だろうが、戦争になれば多くの犠牲者が出て、霊界にも大きな被害が出ると諭した。先日、墟天淵で瘴気が発生し、民が苦しんでいたが、沈璃が派遣され、すぐに瘴気を退散させた。しかし、永続的な平和のためには仙界の力が必要であり、霊界の民を守るためには、この結婚が重要なのだ。師匠は大局を考えており、沈璃もそれは理解していた。ただ、行止が適当に結婚相手を決めたことが腑に落ちなかった。
第七話感想
第七話は、沈璃と行雲の切ない再会が葉わなかったことが明らかになり、胸が締め付けられる思いでした。沈璃の行雲への深い愛情と、行雲が最期まで沈璃を想い続けていたことが描かれ、二人の強い絆を感じました。しかし、運命のいたずらにより、永遠の別れとなってしまったことが非常に悲しいです。五百年の功力を費やしても構わないという沈璃の強い決意、そして老衰まで沈璃を想い続けた行雲の姿は、真の愛の形と言えるでしょう。
一方、仙界では行止神君が帰還し、拂容との政略結婚話が進められています。行止の無責任な行動により、拂容との結婚が決まってしまったという展開は、少しコミカルな要素も含まれていました。しかし、この結婚が霊界の平和に関わる重要な出来事であることが明らかになり、物語はより複雑な様相を呈してきました。沈璃は自由を奪われることに不満を感じながらも、師匠の言葉から事態の深刻さを理解し始めます。今後の展開が非常に気になるところです。
沈璃の心の変化、そして行止の無自覚な行動が、物語に波乱を巻き起こしていく予感がします。それぞれのキャラクターの思惑が交錯し、どのように物語が進んでいくのか、今後の展開に期待が高まります。
つづく