あらすじ
第十六話では、マガルとその一味が樹脂燃料を満載した荷馬車で賑わう西市を横断する様子が描かれています。彼らは一刻も早く通り抜けようとするあまり、民衆と衝突し、暴力を振るって混乱を引き起こしてしまいます。この事態を知った李必は張小敬に迎撃を命じますが、うまくいかず、最終的には旅賁軍に張小敬の指揮下に入るよう命令します。
張小敬はマガルを追跡し、狼衛が樹脂に火を放ち火壁を作った際も、その火の中を突破します。しかし、狼衛に人質を取られてしまい、マガルを取り逃がしてしまいます。李必は張小敬を信頼し、官軍に独断専行を禁じ、狼煙を上げて彼に方向を示します。張小敬は人質の許歌を無事に救出し、その後も追跡を続け、荷馬車の一台を制圧しますが、不運にも火災が発生。彼はすぐさま群衆を避難させます。
皇城に近づくと、李必自ら迎撃に参加し、あえて樹脂に火を放ってマガルの注意をそらし、張小敬がもう一人の狼衛を制圧する機会を作ります。そしてついに、張小敬は最後の荷馬車を川に追い込み、伏火雷を爆発させます。
一方、靖安司に戻った陸三は、内部に狼衛の入城を手助けした者がいることを報告します。徐賓が不審な文書を発見しますが、陸三に殺害されてしまいます。さらに、姚汝能は聞染と出会い、彼女を張小敬のもとへ連れていくことを約束し、元載は王蘊秀への気遣いを見せます。
ネタバレ
長安二十四時、十六話は緊迫の展開を迎えます。まず、マガルとその仲間が、石脂を満載した三台の馬車で西市を横断しようとします。賑やかな西市の人混みの中、マガルは苛立ち、群衆と衝突、暴力を振るい混乱を引き起こします。この事態はすぐに李必に報告されます。李必は張小敬に狼衛と馬車の阻止を命じますが、張小敬は見つかりません。崔器に命じて旅賁軍を昌明坊から向かわせますが間に合わず、李必は靖安司配下の旅賁軍を総動員し、張小敬の指揮下に入れるよう指示します。
追いついた張小敬に対し、マガルは最後尾の馬車から石脂に火をつけ、火壁を作り阻止しようとします。張小敬は防火布で身を包み突破しますが、狼衛は舞台で芸を披露していた許歌を人質に取り、追撃を阻みます。張小敬は目の前でマガルを取り逃がしてしまいます。
望楼の武侯はすぐさま靖安司に報告。周囲の不安をよそに、李必は張小敬への信頼を表明し、伏火雷の危険があるため官軍の独断専行を禁じます。同時に、望楼で狼衛の動向を監視させ、狼煙で張小敬に指示を送ります。張小敬は追跡を続けます。
張小敬は最後の馬車に飛び乗り許歌を救出しますが、マガルたちは逃走を続けます。馬車を奪った張小敬は、子供を避けようとして石脂をこぼし、火事を起こしてしまいますが、素早く周囲の民衆を避難させます。
狼衛が皇城に近づくと、李必は自ら出向き、マガルを挑発して注意を逸らそうとします。しかし、マガルは動じず、李必が馬車の石脂に火をつけたことでようやく進路を変えます。その後、張小敬は別の狼衛を捕らえ、二台目の馬車を確保します。
マガルは単身皇城を目指しますが、李必と張小敬の連携により再び進路を阻まれます。一方、靖安司に戻った陸三は報告をしますが、李必不在のため他の官吏は責任を取りたがりません。最終的に張小敬は最後の馬車を西市へ運び、靖安司への被害を防ぐため河に落とし、伏火雷を爆破させます。
その後、檀碁と李必は水侯からの張小敬の消息を待ちます。徐賓は狼衛の馬車が延州蘇記車行のものだと気づき、靖安司内部に偽造文書で狼衛を手引きした者がいると疑います。そして、陸三が持っていた不審な文書から、狼衛が三百桶もの伏火雷を運び込んだことを突き止めます。陸三は罪を認め、徐賓を殺害し死体を隠蔽します。
また、姚汝能は偶然聞染と出会い、彼女が聞無忌の娘だと知って張小敬のもとへ連れて行くことを約束します。元載は王蘊秀を連れ戻り、様々な贈り物で彼女への想いを示します。
第16話の感想
第16話は、息詰まるような緊張感と、怒涛の展開で、一瞬たりとも目が離せないエピソードでした。特に印象的なのは、西市での騒乱と、張小敬の機転と勇気です。
人々が祭りを楽しむ賑やかな西市で、突如として巻き起こる混乱。マガルの冷酷さと、群衆の恐怖が鮮やかに描かれており、平和な日常が一瞬で崩れ去る様は、見ていて胸が締め付けられました。
そんな中、張小敬は持ち前の機転と度胸で、危機に立ち向かいます。火壁を突破し、人質を救出し、更には火災から民衆を避難させるなど、まさに八面六臂の大活躍。しかし、それでもなお、マガルを完全に阻止することはできず、苦悩する姿も印象的でした。
李必もまた、冷静な判断力と、張小敬への揺るぎない信頼で、事態の収拾に尽力します。官吏たちの動揺を鎮め、的確な指示を出し続ける姿は、若き宰相としての成長を感じさせます。
つづく