あらすじ
第23話は、李必と魚腸の対峙、そして龍波率いる蚍蜉軍による靖安司襲撃という緊迫した展開を描いています。
李必は魚腸から黒幕に関する情報を引き出そうと試み、龍波のために命を落とすのは愚かだと説得しますが、魚腸は心を動かされることはありません。
一方、長安の街は賑わい、人々は許鶴子の芸を堪能しています。そんな中、張小敬と檀碁は平康坊で起こった事件に対処するため、現場へと急ぎます。
また、靖安司では、甘守誠の脅しにも屈せず、崔器が仲間を守るため留まることを決意します。
そしてついに、龍波は靖安司への潜入に成功し、役人たちに襲いかかります。李必は仲間を守るため、身を挺して立ち向かいます。
その危機的状況の中、崔器が蚍蜉軍との激戦に身を投じます。重傷を負いながらも、彼は戦い続け、最後は自らを犠牲にして靖安司の役人たちを守り抜きます。
ネタバレ
第23話、怒涛の展開だった。李必は魚腸を尋問し、龍波の背後に黒幕がいることを掴むが、何執正との関係からか、魚腸は口を割らない。李必は大唐の民の安全を訴え、龍波に従うことの無意味さを説くも、魚腸は耳を貸さず、隙を見て逃亡を図る。徐賓の機転で事なきを得るが、依然、情報は得られないままだった。
一方、長安の民は祭りの喧騒に沸き、許鶴子の芸を堪能していた。張小敬と檀碁は平康坊の劉記書肆へ向かう途中、伊斯と合流。当初は渋っていた張小敬も、最終的には同行を許可する。靖安司に戻った安主事は、右驍衛の軍服を著た崔器の姿を見つける。甘守誠の命令で軍へ戻るよう迫られるも、崔器は靖安司を守ると一歩も引かない。
道中、檀碁は張小敬の心を和らげようと李白の詩を歌い、第八団の仲間たちの話になる。聞無忌らの悲劇を語る張小敬だが、蕭規の話題になると口を閉ざし、先を急ぐ。
程参は目を覚ますと、龍波とその一味が旅賁軍に扮して靖安司を襲撃する計画を察知し、元載に報告。二人は阻止しようと奔走するが、間に合わない。靖安司の危機を悟った崔器は、旅賁軍の軍服を身につけ、姚汝能を説得して共に迎撃の態勢を整える。
偽旅賁軍に扮した蚍蜉を率いる龍波は靖安司に侵入、守備隊を瞬く間に製圧し、李必の捜索を開始する。李必は自ら姿を現し、他の官吏たちを守るが、龍波は全員の殺害を命じる。崔器は果敢に蚍蜉に立ち向かい、傷を負いながらも奮戦するが、力尽きて倒れる。その勇姿に心を打たれた龍波は、鼓を打ち鳴らし、崔器の最期を弔う。
龍波が去った後、姚汝能は瀕死の崔器を救助する。崔器は最後の力を振り絞り、名札に「長安」の二文字を書き記し、息を引き取る。靖安司の大殿は惨状を呈し、ただ一人、龐霊だけが時を告げ続ける。重くのしかかる犠牲と複雑に絡み合う人間模様、深い余韻を残す第23話であった。
第23話の感想
第23話は、まさに息詰まる展開でした。長安の民が祭りの喧騒に酔いしれる中、靖安司では陰謀が渦巻き、緊張感が最高潮に達します。特に印象的なのは、崔器の壮絶な最期でしょう。右驍衛に戻るか、靖安司に残るか、葛藤しながらも、最終的に彼は己の信念に従い、命を懸けて靖安司を守り抜きました。偽旅賁軍に立ち向かう彼の姿は、まさに「義」を体現しており、胸を打たれました。龍波が崔器の死に敬意を表し、鼓を打つシーンは、敵味方を超えた武士の魂を感じさせ、深く心に刻まれました。
また、李必と魚腸の駆け引き、張小敬と檀碁の会話、程参と元載の奔走など、それぞれのキャラクターの行動が複雑に絡み合い、物語に深みを与えています。檀碁が歌う李白の詩は、緊迫した状況の中で、一瞬の安らぎを与え、張小敬の心情をより深く理解する鍵となっています。
つづく