あらすじ
第26話は、長安城内における様々な勢力の駆け引きと、張小敬の窮地を描いています。
聞染は朝廷に追われる張小敬を救おうとしますが、龍波は協力を拒否し、代わりに李必を聞染に引き渡します。李必は靖安司に戻れば張小敬を救えると聞染に持ち掛け、これは聞染の思惑通りでした。
一方、姚汝能は吉温に疎まれ、失意に暮れています。元載は張小敬の包囲を命じられます。張小敬は不良人の援護により一時的に追っ手を逃れますが、不良人はほぼ全員が犠牲になります。
林九郎は身の安全を守るため、替え玉を花萼相輝楼に向かわせます。しかし、伏火雷が爆発せず、本来の暗殺計画は失敗に終わり、何孚が捕らえられます。李必は何孚が首謀者ではないことを明らかにしますが、甘守誠によって謀反に加担した罪で追われます。最終的に、ある遊女の助けで逃亡に成功します。
幾重にも重なる困難に直面し、張小敬は退却を考えてしまいます。しかし、伊斯が檀棋を連れてきて彼を引き留めたことで、張小敬の去就は不透明なまま、物語は幕を閉じます。
ネタバレ
聞染は、龍波が靖安司を襲撃した後、朝廷が龍波ではなく張小敬を捕らえようとしていることに納得がいかない。龍波は、これは官僚同士の庇護によるもので、長安の闇を表していると説明する。聞染は張小敬を助けるよう頼むが拒否され、自ら行動を起こす決意を固める。
一方、元載は吉温の命令で、姚汝能を望楼へ派遣する。不服従の場合は太子のもとへ戻すようにと脅され、姚汝能は仕方なく望楼へ向かう。龍波は何孚と李必を監禁し、李必は林九郎暗殺の真相を何孚に問い詰めるが、何孚はひたすら何執正に聞くようにと繰り返す。李必は何孚が何執正を隠していると察するが、そこに聞染が現れ、李必を連れ去ってしまう。
龍波は李必を殺すよう聞染に命じるが、李必は自分が靖安司に戻れば張小敬を救えると主張する。聞染はそれを聞き、李必の要求を受け入れる。吉温は各望楼に張小敬の捜索を命じる。姚汝能は張小敬が指名手配され、李必が行方不明、そして自分が排斥されている現状に絶望する。
平康坊近くの望楼が張小敬を発見し、報告が入る。元載はすぐに兵を率いて包囲に向かう。龍波は林九郎を襲撃する準備をしている最中、何孚が壁に血で「遥見双人影、知余在身旁」と書いているのを発見するが、何孚はただの灯謎だとごまかす。聞染は張小敬を助けるため、李必を殺さないよう龍波に懇願する。魚腸は後患を残すことを危惧するが、龍波は聞染の願いを聞き入れる。魚腸は不満を抱く。
張小敬は望楼の目を逃れるため、花韻楼の老遊女の傘の下に隠れるが、見つかってしまう。老遊女は流れ矢に当たり死亡し、張小敬は姿を現す。胖羅率いる不良人たちが張小敬の救出に駆けつける。李必は夢の中で何執正と対峙し、何孚の罪を糾弾する。何執正は庇おうとするが、目が覚めた李必は自分の懸念が現実になるかもしれないと予感する。
郭利仕は林九郎に花萼相輝楼へ行くよう伝える。林九郎は影武者を送る手配をし、甘守誠に右驍衛による護衛を命じる。李四方は道の状況を分析し、狼衛が東市勝業坊の交差点で襲撃すると予測する。龍波は何孚を指定の場所へ送り届ける。林九郎の影武者は紫の袍を著て出発し、林九郎自身は太子を弾劾する奏状を準備する。
胖羅は張小敬に食料、金銭、通行証を用意し、都からの脱出を促す。しかし、そこに元載が現れ、張小敬は窓から逃走する。不良人たちは張小敬を庇い、全員が犠牲になる。元載は望楼に応援を要請し、張小敬追捕の知らせは長安中に広まる。張小敬はこれ以上仲間を巻き込みたくないと、一人で逃げることを決意する。伊斯は張小敬を追いかけ、事件の真相究明を促すが、張小敬の決意は固く、檀碁の名前を出しても翻意させることはできなかった。
東市で、林九郎の影武者が護衛されながら通過する際、何孚は伏火雷の導火線に火をつけるが、爆発は起こらず、何孚は捕らえられる。李必は何孚が黒幕ではないと主張し、令牌を見せるが、甘守誠に仮乱軍に通じているという罪で捕らえられてしまう。李必は慌てて逃げ出し、平康坊の遊女の部屋に隠れる。遊女は右驍衛の捜索から李必を匿う。最後に、伊斯は再び張小敬を引き留めようとするが、張小敬は城門に向かって歩き続ける。
第26話の感想
第26話は、息詰まる展開の連続で、登場人物たちの運命が大きく揺れ動く様が見事に描かれていました。特に印象的だったのは、張小敬の追い詰められ方と、それでもなお諦めない不屈の精神です。仲間を犠牲にしてまで逃亡を続ける彼の姿は、悲壮感と同時に、強い意誌を感じさせました。望楼の監視網、元載の執拗な追跡、そして何よりも、仲間を守るための自己犠牲。これらが重なり、張小敬の置かれた状況の絶望感がひしひしと伝わってきました。
一方、李必もまた、窮地に立たされます。何孚の謎めいた行動、龍波の冷酷な命令、そして最後は甘守誠の裏切り。次々と襲いかかる困難に、李必は冷静さを保ちながらも、徐々に追い詰められていく様子が見て取れました。特に、夢の中で何執正と対峙するシーンは、彼の内面の葛藤を象徴的に表しており、強い印象を残しました。
つづく