あらすじ

第二十九話は、張小敬ちょう・しょうけい丁老三ていろうさん殺害の真相を追う一方、李必り・ひつが朝廷内の権力争いの中を奔走する様子を描いています。

張小敬ちょう・しょうけい丁老三ていろうさんとの過去の出来事を思い返し、代理火師だいりかしに対し烽燧堡の戦いの顛末を語り、自身の潔白を証明します。そして、契りが魚腸ぎょちょうによって持ち去られ、既に焼却されたことを知ります。

一方、李必り・ひつは禁軍に阻まれた後、郭力士の助けを借りて重要な証人である毛順もうじゅんを探そうとします。その過程で、自雨亭うていの主に関する手がかりが浮上します。

林九郎りん・きゅうろう何執正か・しゅうせいを利用して太子を陥れようと画策し、甘守誠かんしゅせいは右驍衛を率いて何執正か・しゅうせいの逮捕を試みますが、翰林院かんりんいんの学生と寧王孫ねいおうそんの介入により一旦は断念します。

最終的に、何執正か・しゅうせい甘守誠かんしゅせいと共に林九郎りん・きゅうろうの元へ向かうことを決意します。また、張小敬ちょう・しょうけい不良人ふりょうじんの追跡を逃れる中で許鶴子きょかくしの助けを得て、亡き者を偲び、徐賓じょ・ひんの名を灯籠に書いてもらうよう頼みます。

ネタバレ

張小敬ちょう・しょうけいは殺された丁老三ていろうさんを思い出し、烽燧堡の戦いを回想する。飢えに苦しむ九人の生き残りの中で、蕭規しょうきが狼の子を狩り、丁老三ていろうさんがそれを丁寧に串焼きにして分け与えてくれた。ふと、丁老三ていろうさんの幻が現れ、真犯人探しをやめるよう忠告する。何孚か・ふと龍波はグルだと告げ、深入りすれば他人を巻き込むと警告する。

張小敬ちょう・しょうけいは劉記書肆で代理火師だいりかし葛老くずろうの信物を見せ、右刹ゆうさつ殺害の黒幕を尋ねる。代理火師だいりかしは223番の箱の鍵を渡すが、契約書は既に無くなっていた。張小敬ちょう・しょうけい代理火師だいりかしを取り押さえる。代理火師だいりかし守捉郎しゅそくろうの信条に従い、丁老三ていろうさん殺害犯と決めつける張小敬ちょう・しょうけいに対し、彼は丁老三ていろうさんを殺していないと仮論する。

張小敬ちょう・しょうけいは烽燧堡の戦いの中、丁老三ていろうさんが敵の奇襲から身を挺して自分を守ってくれた過去を語り、命の恩人を殺すはずがないと訴え、契約書の行方を追及する。代理火師だいりかし魚腸ぎょちょうが持ち去り、焼却したと白状し、石脂の付いた竹片を渡す。伊斯いすは契約書の破片を見つけるも、判読は不可能だった。

李必り・ひつは禁軍に連れられ郭利仕かく・りしの元へ。靖安司丞の令牌を渡すよう迫られ、狼衛ろうえいによる林九郎りん・きゅうろう襲撃を話す。李必り・ひつ毛順もうじゅんの捜索と雨亭うていの主人の調査を依頼するが、郭利仕かく・りしは黒幕は李必り・ひつの最も信頼する人物だと告げ、深入りを止めるよう忠告する。

宦官かんがん何執正か・しゅうせいの居場所を郭利仕かく・りしに報告するが、李必り・ひつの同行は許されない。林九郎りん・きゅうろう李四方りしほうを送り、郭利仕かく・りしより先に何執正か・しゅうせいを見つけ出し、何孚か・ふと父子対面させる。何執正か・しゅうせいは白驢を連れ、何孚か・ふの名を呼びながら街を彷徨っていた。郭利仕かく・りしは聖上に事実を説明させようと何執正か・しゅうせいを連れ出そうとするが、甘守誠かんしゅせい率いる右驍衛が現れ、何執正か・しゅうせいを捕らえようとする。郭利仕かく・りし甘守誠かんしゅせいを叱責し、聖上の怒りを買わないよう忠告し、何執正か・しゅうせいには太子を巻き込まないよう諭す。何執正か・しゅうせいは聖上の信頼を失ったのではないかと疑い、甘守誠かんしゅせいは逮捕を命じる。

その時、檀碁たんき寧王孫ねいおうそんを筆頭とする翰林院かんりんいんの学士たちを連れて現れる。寧王孫ねいおうそん甘守誠かんしゅせい何執正か・しゅうせいを審問する権限がないと指摘し、李必り・ひつが靖安司丞としてこの件を裁くべきだと主張する。何執正か・しゅうせいは熟慮の末、甘守誠かんしゅせいと共に林九郎りん・きゅうろうの元へ行くことを決める。寧王孫ねいおうそん郭利仕かく・りしは為す術がなく、李必り・ひつ何執正か・しゅうせいの潔白を証明しようと同行する。

伊斯いすは竹片の意味が分からず、張小敬ちょう・しょうけいは龍波からの挑戦だと理解する。飯をかき込み、伊斯いすを待たせ、望楼へ急ぐ。武侯を倒し中へ入ると、吉温きつ・おんが靖安司丞に就任し、崔器さい・きが戦死、档案房が焼失、徐賓じょ・ひんが死亡したことを知る。望楼を出た張小敬ちょう・しょうけい不良人ふりょうじんに追われ、許鶴子きょかくしの馬車に逃げ込む。許鶴子きょかくし張小敬ちょう・しょうけいを助け、どこにでも送り届けると申し出る。張小敬ちょう・しょうけいは丁重に断り、徐賓じょ・ひんの名を書いた灯籠を目立つ場所に弔るすよう頼む。

甘守誠かんしゅせい何執正か・しゅうせい李必り・ひつを連れて林九郎りん・きゅうろうの元へ。林九郎りん・きゅうろう何孚か・ふに太子が黒幕で、典薬官が太子の内通者だと証言させようと脅迫する。

第29話の感想

第29話は、緊迫感と悲壮感が入り混じる、息詰まる展開でした。張小敬ちょう・しょうけいは、亡き友丁老三ていろうさんの幻影に苛まれながらも、真相究明の手を緩めません。代理火師だいりかしとの対峙では、守捉郎しゅそくろうの鉄の掟と張小敬ちょう・しょうけいの正義感がぶつかり合い、緊迫した空気が画面越しにも伝わってきました。魚腸ぎょちょうが鍵を握る存在として暗躍し、事件はさらに混迷を深めます。

一方、李必り・ひつは権力争いの渦中に巻き込まれ、窮地に立たされます。郭利仕かく・りしの言葉から、黒幕が意外な人物であることが示唆され、今後の展開への期待が高まります。何執正か・しゅうせいの登場は、物語に新たな波乱を予感させます。父子の再会シーンは、何執正か・しゅうせいの無邪気さと、状況の深刻さとの対比が印象的でした。

つづく