あらすじ

天保三年一月十四日、正午。新豊県丞の吉温きつ・おんは右相の林九郎りん・きゅうろうに太子李玙り・よの新たな罪状を報告した。林九郎りん・きゅうろうはこれを機に太子を廃そうと画策する。

一方その頃、張小敬ちょう・しょうけいは逃亡する突厥のトルグルを懐遠坊の市街地まで追いつめていた。トルグルは人質を取り、長安の地図を所持していると叫ぶ。民衆はトルグルの逃亡を阻み、袋叩きにして殺してしまう。しかし、騒動の最中に地図は何者かに持ち去られてしまった。息絶える間際、トルグルは「黒い骨」と「闕勒霍多」という謎めいた言葉を口にし、狼衛ろうえいのより大きな陰謀を示唆する。

事態の悪化を受け、張小敬ちょう・しょうけいは職を解かれ捕らえられた。焦遂しょうすいの遺体も発見され、李必り・ひつ狼衛ろうえいの仕業ではないかと疑う。親友の訃報に接した何執正か・しゅうせいは深い悲しみに暮れ、張小敬ちょう・しょうけいの問題で大司儀と対立するが、最終的には何執正か・しゅうせいが仲裁に入った。

牢獄で程参てい・しんと同室になった張小敬ちょう・しょうけいは、トルグルの遺言を分析し、狼衛ろうえいの計画が長安を焼き尽くす大惨事に関わっているのではないかと推測する。

ネタバレ

天保三載元月十四日、正午。新豊県丞の吉温きつ・おんは靖安司の密偵から太子李玙り・よの新たな罪の証拠を掴み、すぐさま右相林九郎りん・きゅうろうに報告した。林九郎りん・きゅうろうはこれを太子廃立の好機と捉え、自身の権力維持のため他の皇子を擁立しようと画策する。

一方、張小敬ちょう・しょうけいは逃亡するトルグルを追跡していた。追跡劇の末、二人は懐遠坊の市場に辿り著く。人混みに紛れ逃げ場を失ったトルグルは、幼い子供を人質に取り、長安城の地図を持っていると脅迫し、群衆に張小敬ちょう・しょうけいを追い払うよう要求する。望楼の武侯は事態を李必り・ひつに報告。李必り・ひつ姚汝能よう・じょのう不良人ふりょうじんを率いて張小敬ちょう・しょうけいの保護を命じるが、高官が多く住む懐遠坊に兵を勝手に投入することはできず、危険を承知で行動を起こす。

程参てい・しんは愛馬の緑眉を殺された恨みからトルグルに襲いかかり、それに市民も加勢したため、張小敬ちょう・しょうけいは近づくことができない。混乱の中、銅銭を身につけた男がトルグルから地図を盗み出す。張小敬ちょう・しょうけいはトルグルを問い詰めるが、「闕勒霍多」という謎の言葉を残し、トルグルは息絶える。

狼衛ろうえいが殺され、地図が奪われ、裏正も死んだことを知った李必り・ひつは事態の深刻さを悟る。何執正か・しゅうせい張小敬ちょう・しょうけいを重用した李必り・ひつを責める。李必り・ひつ姚汝能よう・じょのうに懐遠坊の門を封鎖させ、住民の名簿を入手するよう指示する。免職の上、捕縛される張小敬ちょう・しょうけいも、姚汝能よう・じょのうに名簿の確保を念押しする。

焦遂しょうすいの遺体が発見され、林九郎りん・きゅうろうは靖安司に送るよう指示するが、李必り・ひつは拒否し焦家へ送り返すよう求める。友の死を知った何執正か・しゅうせいは悲しみに暮れ、昨夜、聖上と安禄山あんろくざんに会った時のことを思い出し、心を乱す。

大司儀が靖安司に現れ、民衆の怒りを鎮めるため張小敬ちょう・しょうけいを引き渡し、火刑に処すよう要求する。李必り・ひつは拒否し、両者は対峙する。最終的に何執正か・しゅうせいが、張小敬ちょう・しょうけいの任務は長安を脅かす狼衛ろうえいの捕縛であると説明し、大司儀を説得する。

牢に入れられた張小敬ちょう・しょうけい程参てい・しんは、トルグルの言葉から狼衛ろうえいが長安に火を放つ計画を立てているのではないかと推測する。その可能性に張小敬ちょう・しょうけいは恐怖を覚え、一刻も早く狼衛ろうえいの陰謀を阻止しなければならないと強く感じる。

第3話 感想

第3話は、息もつかせぬ展開で、まさに手に汗握るエピソードでした。特に懐遠坊でのトルグル追跡劇は圧巻。人混みの中での攻防、幼い人質、そして盗まれる地図…手に汗握るシーンの連続で、画面に釘付けになりました。トルグルの最期の言葉「闕勒霍多」は何を意味するのか? 謎が深まり、今後の展開がますます気になります。

張小敬ちょう・しょうけいの焦燥感、李必り・ひつの冷静な判断、そして何執正か・しゅうせいの苦悩。それぞれのキャラクターの心情が丁寧に描かれており、感情移入せずにはいられません。特に、愛馬を失った程参てい・しんのトルグルへの復讐心は、彼の荒々しい性格をよく表していました。

また、このエピソードでは、登場人物たちの思惑が複雑に絡み合い、物語に深みを与えています。右相林九郎りん・きゅうろうの太子廃立の企み、李必り・ひつの靖安司における苦闘、そして何執正か・しゅうせいの聖上との関係など、それぞれの思惑が交錯し、緊張感が高まります。

つづく