あらすじ

第38話は、烽燧堡における第八団の過酷な防衛戦を描いています。敵の冷箭と食糧危機に直面し、兵士たちの士気は低下していましたが、それでも持ち場を堅守していました。例えば、旗手の蕭規しょうきは不眠不休で団旗を守り、張小敬ちょう・しょうけいと深い友情を結びました。聞無忌ぶんむきは長安の美しい情景を語ることで士気を鼓舞し、皆の希望の象徴となりました。

敵がわざと食料を見せびらかしたり、内部に疑念や絶望感が広がったり、援軍の見込みがないなど、絶体絶命の状況にありました。しかし、陳行範ちんこうはんがわずかな食料を持ち帰り、敵がまもなく大規模な攻撃を開始するという知らせを伝えると、兄弟たちは踏みとどまることを選びました。聞無忌ぶんむきは兵士たちに去就の選択を与えましたが、最終的に全員が堡塁と運命を共にすることを決意し、国と仲間への忠誠を示しました。

ネタバレ

烽燧堡の攻防戦を描く第38話。第八団の兵士たちは奮戦を続けるも、劉宗器は敵の矢に倒れる。聞無忌ぶんむきは手当てをし、生きる希望を繋ぐよう励ます。矢が尽きかけたため、張小敬ちょう・しょうけい丁老三ていろうさんは戦死者の矢を回収。食糧も底をつき、最後の米を炊くほど窮地に陥る。

聞無忌ぶんむきは長安の美食を語り、兵士たちの空腹を紛らわす。何日も不眠で旗を守る蕭規しょうきに、張小敬ちょう・しょうけいは薄荷の葉を渡す。蕭規しょうきは、もし自分が倒れたら、自分の目を持って長安を見てほしいと頼む。父が左遷された恨みを持つ蕭規しょうきだが、張小敬ちょう・しょうけい聞無忌ぶんむきが語る華やかな長安を信じる。

上元節の祝宴の知らせが長安に届く一方、烽燧堡では20日間の死闘が続く。援軍は来ず、丁老三ていろうさんは撤退を提案するが、聞無忌ぶんむきは長安の物語で士気を鼓舞。蕭規しょうきも「九死無悔」と叫び、兵士たちを奮い立たせる。丁老三ていろうさんは隠れて食糧を盗み食いし、罰を受ける。

敵は第八団の窮状を知り、酒肉で挑発する。蕭規しょうきは地形を利用した仮撃で敵を退けるが、食糧は尽き果て、狩る狼すら残っていない。丁老三ていろうさんは故郷へ帰りたいと漏らすも、張小敬ちょう・しょうけいは逃亡を許さない。

その時、陳行範ちんこうはんが食糧を持って現れ、窮地を救う。援軍が来ると言う陳行範ちんこうはんの言葉に希望が灯るが、それは嘘だった。陳行範ちんこうはんは他の烽火台が既に放棄されているのを確認し、残された食糧を持ち帰ったのだ。

三千の敵の増援が迫る中、丁老三ていろうさん陳行範ちんこうはんをスパイだと疑うが、陳行範ちんこうはんは大唐への忠誠を誓い、敵の情報を伝える。聞無忌ぶんむきは、残って戦う者と劉宗器を故郷へ送る者に分かれる決断を迫る。多くの兵士は留まることを選び、丁老三ていろうさんらは劉宗器と共に去る。

激戦の末、第八団は壊滅。生き残った張小敬ちょう・しょうけい聞無忌ぶんむきは長安へ戻る。張小敬ちょう・しょうけいは長安郊外で不良人ふりょうじんとなり、聞無忌ぶんむき一家を助け、聞染ぶん・ぜんの信頼を得る。この物語は、戦場における忠誠、犠牲、そして仲間との絆を描いている。

第38話の感想

第38話は、長安二十四時の中でも特に胸を締め付けられるエピソードでした。極限状態の中、兵士たちの葛藤、友情、そして自己犠牲が鮮烈に描かれています。食糧も矢も尽きかけ、援軍の望みも絶たれた絶望的な状況下で、それでもなお、彼らは故郷の長安、そして仲間のために戦い続けました。

特に印象的なのは、蕭規しょうきの「九死無悔」という言葉です。父の恨みを胸に秘めながらも、仲間と共に戦うことを選んだ彼の強い意誌、そして長安への想いが凝縮された一言でした。また、聞無忌ぶんむきが語る長安の華やかさと、烽燧堡の過酷な現実の対比も効果的でした。兵士たちは、聞無忌ぶんむきの言葉に励まされ、希望を繋ぎ止めようとしていたのでしょう。

つづく