あらすじ
第四十話では、様々な登場人物の行動と内面の葛藤が描かれています。許鶴子は張小敬の身を案じ、心が乱れていますが、故郷の人々の未来のため、感情を抑え、使命に集中しなければなりません。何執正は聖上に対し、実の子供たちへの接し方について直言し、国の統治のあり方を説きます。その言葉は聖上の心に深く突き刺さります。
一方、大灯楼で龍波を追う張小敬は、彼の正体がかつての戦友・蕭規であることを突き止めます。二人の立場は対立し、かつての友情はもはや存在しません。龍波は張小敬に第八団の兄弟たちの悲惨な運命を語り、復讐への強い意誌を表明します。
また、程参は档案房の焼け跡から手がかりを見つけ、徐賓が放火犯ではないかと疑いを持ちます。趙参軍はそれを受けて徐賓の捜索を開始します。
さらに、元載と王蘊秀の心の葛藤は深まりを見せます。そして、聖上の前に出された「江山」という名の料理は、皆に衝撃を与え、権力分配における重大な決断を暗示しています。
ネタバレ
張小敬を心配するあまり、食欲も無くやつれた許鶴子は、李白の「長相思」を口ずさむ。しかし兄の許歌は、大局を考え、美声を守り、第二の嚴羽幻となって聖上の寵愛を受け、故郷永新の民の暮らしを守るよう諭す。鶴子はついに私情を捨て去る決意をする。
何執正は、老体には跪坐が辛いと言い、聖上に歩行の許可を求める。許しを得ると、歩きながら辺境にいる息子や行方の知れない養子のことを嘆く。聖上が彼の地位を羨むと、何執正は逆に、実の子すら守れない者がどうして万民を守れるのかと問いただす。聖上はその言葉の重みに気づく。
大灯楼で龍波を探す張小敬は難航する。そこに元載と王蘊秀が右驍衛を引き連れ、毛順の遺体を発見、張小敬の言葉が真実だと証明される。恐怖に駆られた元載は蘊秀と共に逃げ出そうとするが、伏火雷が見つからず、やむなく部隊を屋上に送り込み賊の捕縛を命じ、自身は逃亡を図る。
趙参軍は程参に档案房の焼け跡から手がかりを探すよう命じる。程参は綿密に調べ、放火は蚍蜉ではなく、周到な準備をした者の仕業だと推測する。趙参軍は苛立ち、程参に急ぐよう促す。徐賓は張小敬の服を取りに不良人の詰め所へ行く。不良人は張小敬はもう服を必要としないだろうと言うが、徐賓は善人には良い報いがあると信じ、服を持ち帰る。
李必は龍波に計画を諦めるよう説得するが、龍波はむしろ張小敬をどう止めるかに関心を示す。大灯楼に登った張小敬は、龍波が蕭規だと気づき、二人の間には兄弟情はなく、敵意が渦巻く。龍波は張小敬に李必を殺すよう迫り、李必はとっさに気を失うふりをする。龍波は第八団の旗の意味を語り、丁老三と守捉郎を長安に送り込んだことを認める。張小敬の非難に対し、龍波は誰の指図も受けておらず、長安を離れるつもりもなく、ただ張小敬に全てを目撃してほしいと言う。
魚腸は張小敬が時間稼ぎをしているのを見て、龍波に行動を促す。その時、蚍蜉たちは鈴の音を聞き、方向を変え、李必を残していく。元載は蘊秀を安全な場所に送り届け、陳玄礼を助けに戻る計画を立てる。そして最終的に、蘊秀に栄華富貴を約束し、結婚を承諾させる。程参は焼け跡から徐賓の放火の証拠を見つけ、趙参軍は徐賓の全城捜査を始める。
許歌は鶴子を連れ、聖上への謁見に臨む。馮神威公公は謁見の作法を説明する。鶴子が謁見の準備を整えた時、聖上はメインディッシュがまだだと告げ、待たせる。嚴羽幻は不安に駆られる。彼女が一番会いたくない人物が来たのだ。
趙参軍は徐賓を捕まえられず、家中の文書を全て持ち帰り調査する。程参はそこから「上元夜太子を殺す」という情報を解読する。聖上は「江山」という名の料理を出し、皆で権力を分かち合うと暗示する。その行動に一同は恐れ慄き、ひれ伏す。太子ですら軽々しく動けない。
第40話の感想
第40話は、まさに息詰まる展開で、登場人物それぞれの思惑が複雑に絡み合い、緊張感が最高潮に達していました。特に印象的だったのは、張小敬と龍波の再会シーン。かつての兄弟同然の絆はもはやなく、互いに刃を向け合う敵同士となった二人の表情には、悲しみ、怒り、そして諦めなど、様々な感情が入り混じっていました。龍波の真意はまだ分かりませんが、彼の言葉にはどこか哀愁が漂い、単なる悪役ではない複雑な内面を感じさせます。
また、李必の機転も光っていました。龍波に命を狙われた際、とっさに気を失ったふりをしたことで、難を逃れることができました。彼の冷静な判断力と機転は、これまで幾度となく窮地を救ってきましたが、今回は特に緊迫した状況下での判断だっただけに、より一層感銘を受けました。
つづく