あらすじ
第四十二話では、龍波に率いられた蚍蜉の一味が花萼相輝楼への潜入に成功し、石脂を用いた爆破計画を実行に移そうとしていた。騒動の中で、元載は狼狽し人々の前で恥をかく一方、王蘊秀は靖安司へ救援を求めに向かう。聖上は何執正の行動を理解し寛大な処置を示すとともに、大唐のために尽くすよう激励する。大灯楼に火が灯ると、張小敬は爆発を阻止しようと試み、魚腸と対峙する。結果として爆破装置の一部を破壊することに成功するも、惨事を完全に防ぐことは叶わなかった。
その頃、龍波は自らが安西鉄軍第八団の旗手、蕭規であることを明かし、かつての戦友たちの名誉回復を求める。聖上は第八団の隊員一人ひとりの名前と役割を記憶しているのみならず、過去の過ちを認め、龍波の心を動かす。しかし、聖上が祝いの金箭を放とうとした瞬間、龍波は聖上が彼らを真の英雄として認めていないことに気づく。直後、大灯楼は爆発し、龍波は聖上を人質に取り、事態は緊迫する。
間一髪で駆けつけた張小敬は、檀棋を人質に取り、龍波に長安からの退去を迫る。しかし、永王を巡る意見の相違から対立は深まり、衝突は避けられないものとなる。陳玄礼は聖上を救うべく軍隊の出動を願い出るが、聖上はこれを拒否する。物語は感情の起伏、忠誠心の試練、そして権力闘争が複雑に絡み合い、緊迫した展開を見せる。
ネタバレ
龍波率いる蚍蜉たちは花萼相輝楼へ登頂。殿の者は最下層に石脂を仕掛け、爆破の準備を整えた。一方、元載は王蘊秀と共に人混みの中を移動していたが、大道芸人の噴火の爆音に驚き、土下座して震え上がる醜態を晒し、周囲の嘲笑を買う。王蘊秀は元載を見下しながらも、靖安司へ救援要請に向かうよう促し、元載はこれを機に名を残せると期待する。
聖上は、何執正の大唐と太子への忠誠を理解し、無礼を許した。何執正は聖上の大唐復興への決意を目の当たりにし、自らの行いを恥じ、罰を受け入れようとするが、聖上は彼の功績に感謝し、休息を命じた。
醜正の時刻、聖上の合図で点灯式が始まり、巨大な仙灯が上がり、老子の姿が浮かび上がると、民衆は歓声を上げた。張小敬は麒麟臂の爆破を阻止するため破壊工作に取り掛かる。蘇生した魚腸との格闘の末、ようやく小さな穴を開け石脂を流出させることに成功する。魚腸は再び張小敬を阻もうとするも、深傷により麒麟臂へ倒れ込み、張小敬に助けられる。陳玄礼は麒麟臂での異変に気付き、兵部へ応援を要請した。
聖上は許鶴子と共に屋上で点灯の儀式を見物していた。その時、龍波率いる蚍蜉が乱入し、護衛を襲撃。龍波は自らを安西鉄軍第八団の護旗手、蕭規と名乗り、各国使節の退去を要求する。林九郎は混乱に乗じて逃走した。龍波は聖上に対し第八団の話を持ち出し、聖上は第八団の隊員の名前と役割を正確に言い当て、彼らの犠牲を認め、必ず名誉を回復させると約束する。龍波は聖上の言葉に心を動かされ、これ以上の危害を加えないことを約束し、聖上に謝罪する。しかし、灯楼の太鼓が再び鳴り響くと、龍波は聖上が英雄を表面上は尊重しながらも、実際には蚍蜉のように軽んじていることに気付く。聖上が灯楼へ金色の矢を放とうとした瞬間、魚腸は張小敬を麒麟臂から突き落とし、灯楼は爆発炎上。連鎖仮応を起こし、大灯楼は火の海と化した。
太子は大灯楼の爆発を知り、急ぎ聖上の安否確認を命じた。龍波は聖上を人質に取り、奸臣を重用したことが第八団の悲劇を招いたと責める。龍波は蚍蜉たちに龍虎軍との戦闘を命じるが、張小敬が檀碁に扮している)を人質に取ったため、長安からの脱出を検討せざるを得なくなる。しかし、張小敬を信用できない龍波は、永王を殺すよう要求する。張小敬は永王を傷つけるだけで、聖上は永王を庇おうとする。この時、陳玄礼は更なる兵力動員のためもう一方の兵符の使用を願い出るが、聖上は兵符の力が強大すぎるため、安易に使うべきではないと却下する。
第42話の感想
第42話は、怒涛の展開で息もつかせぬクライマックスに向けて物語が加速する、非常にスリリングなエピソードでした。龍波の悲痛な過去と聖上への復讐心、そして張小敬の機転と覚悟が激しくぶつかり合い、緊張感が最高潮に達します。
特に印象的なのは、龍波と聖上の対峙シーンです。龍波が第八団の護旗手・蕭規としての正体を明かし、聖上を問い詰める場面は、彼の積年の恨みと悲しみがひしひしと伝わってきて、胸が締め付けられるようでした。聖上は第八団の隊員の名前と役割を正確に記憶しており、彼らの犠牲を無駄にはしないと約束しますが、龍波にとってはもはや言葉だけでは足りなかったのでしょう。太鼓の音をきっかけに、聖上の言葉が真実ではないと見抜く龍波の鋭さは、彼の深い絶望と怒りを物語っています。
また、張小敬の活躍も目覚ましいものがありました。麒麟臂の爆破を阻止するために魚腸と死闘を繰り広げ、危機一髪で成功させるシーンは、彼の非凡な能力と強い責任感を感じさせます。檀碁を人質に取り、龍波を牽製する場面も、彼の機転と冷静な判断力が光っていました。
つづく