あらすじ
天保三年一月十五日、徐賓は聖上を西市坊門まで連れ出し、伏火雷を用いて市の開門を強要し、朝廷の人材登用の不正を糾弾した。安西の商人が変装した姚汝能を連れてくる中、徐賓は聖上が賢才を重用しないことを非難し、姚相の話題に触れ、姚汝能を名乗り出させた。張小敬は城楼に潜入し、徐賓を阻止しようとした。徐賓は自らの行動が才能を証明するため、そして林九郎を排除するためであることを認め、同時に張小敬の能力を認め、彼の英雄としての名声を高めたいと願った。最後は王蘊秀が徐賓を射殺し、張小敬は聖上を救出したが、城楼は爆発。張小敬は負傷するも一命を取り留め、第八団の旗のみを求めた。事件後、李必は修道を選び、張小敬は三品参将に叙せられたが、世を捨て放浪することを選び、檀棋は長安に残り、街を守り続けることとなった。物語はこうして幕を閉じた。
ネタバレ
正月十五日、西市開市を待つ人々で賑わう中、徐賓は聖上を人質に、爆薬で脅し開市を強行させる。安西から来た商人に紛れ姚汝能も西市へ潜入。徐賓は背後に太子がいると見せかけ、自らの宰相の才を示すため単独で聖上暗殺を企てたと豪語する。駆けつけた元載は爆薬のため手出しできず、徐賓は聖上の人材軽視を糾弾し、先帝の姚相を引き合いに出す。姚汝能は名家の汚名を晴らすべく仮論する。徐賓は聖上に弓矢を下ろすよう迫り、聖上は従わざるを得ない。
その頃、張小敬は密かに城楼へ登り、元載は王蘊秀に徐賓を狙うよう指示。徐賓は佞臣重用、特に林九郎を糾弾する。聖上は徐賓の真意を理解し、王蘊秀に弓矢を下ろさせる。自らの死を悟った徐賓は聖上と共に自爆しようとするが、張小敬が阻止し、誰のために罪を被るのか問いただす。徐賓は張小敬に巻き込まれるなと忠告し、低い身分ゆえ誰も耳を貸さない苦悩を吐露。自らの才を証明するため、龍波と李必の太子への忠誠心を利用したと白状する。張小敬を解放したのは、彼の才能を見込み、長安の英雄になることを期待したからだと語る。
張小敬は民の命を軽んじる徐賓を非難するが、徐賓は張小敬を目先の利益しか考えない男と嘲笑う。興奮した徐賓は「私は宰相の才がある!」と叫ぶが、王蘊秀に射抜かれる。爆薬に火がつき、張小敬は聖上を抱え藁の山へと飛び降りる。城楼は大爆発を起こす。
一命を取り留めた張小敬は、聖上の褒美を辞退し第八団の旗のみを求める。長安の平和を願う張小敬に、聖上は更なる褒美を約束する。
李必は何執正に諭され、心の清明を保つよう戒められる。何執正は亡き弟を思い涙し、故郷を偲ぶ詩を詠む。聖上は林九郎を擁護する太子を叱責し、太子は己の無能さを認める。聖上は靖安司で未完の詩を見つけ、続きを書き足す。李必は張小敬のような強い意誌を求め、山へ修行に行くことを決意する。
聖上は張小敬を三品参将に任命するが、張小敬は放浪の旅を選び、国難の際には必ず戻ると誓う。檀碁は旅支度を整え、李必と張小敬は共に旅に誘うが、檀碁は長安を守るため嚴羽幻と共に残ることを選ぶ。張小敬は皆と別れを告げ、新たな旅へと出発する。檀碁は見送る。
第48話の感想
「長安二十四時」最終話、第48話は、怒涛の展開と静かな余韻が絶妙に交錯する、見応えのある結末でした。徐賓の壮絶な最期は、彼の歪んだ正義感と悲哀を鮮烈に描き出し、強い印象を残します。聖上を人質に取り、自らの理想を叫ぶ姿は狂気じみているものの、どこか理解できる部分もあり、複雑な感情を抱かせます。張小敬の機転と勇気、そして聖上との信頼関係が、長安の危機を救う鍵となりました。爆薬が爆発する瞬間の緊迫感は息を呑むほどで、張小敬が聖上を抱えて飛び降りるシーンは、まさにクライマックスにふさわしい迫力でした。
物語の終盤は、それぞれのキャラクターの未来を描写することで、静かな感動を呼び起こします。李必が出家を決意するシーンは、彼が経験した苦悩と成長を象徴しており、深い余韻を残します。張小敬が放浪の旅を選ぶシーンも印象的です。彼は英雄として祭り上げられる道を選ばず、己の信念に従って生きる道を選びました。檀碁が長安に残る決断も、彼女の芯の強さと優しさを改めて感じさせます。それぞれのキャラクターがそれぞれの道を歩み始めることで、物語は幕を閉じますが、彼らの未来に思いを馳せずにはいられません。