あらすじ
第六話では、張小敬、姚汝能、小乙の三人が龍波を追って長安の地下世界へと足を踏み入れる様子が描かれます。一行は環境の劣悪な平康坊の裏手に辿り着き、葛老が支配する地下街へ潜入します。葛老は朝廷に敵意を抱いていましたが、張小敬が恩客令を用いて協力を求めると、彼はそれを承諾し、代わりに自分の配下に潜む密偵を暴くよう要求します。これが小乙の自害という悲劇を招きます。この出来事は、小乙の任務への忠誠心を示すと同時に、張小敬が大きな目的のために苦渋の決断を下したことを物語っています。
一方、龍波は蘇記車行で重要な荷を受け取り、荷の抜き打ち検査が通ったことで事態の切迫性を改めて認識します。丁瞳児は歌を通して張小敬に龍波に関する情報を伝えようとしますが、龍波は異変に気付き、荷を運んできた男を始末します。
最後に、張小敬は丁瞳児から陰謀を阻止するための重要な手がかりを得ますが、同時に仲間の小乙を失ってしまいます。この喪失は、彼に陰謀を阻止するという決意をより強く抱かせます。
ネタバレ
張小敬、姚汝能は小乙に連れられ、平康坊の裏手にあるいかがわしい場所に足を踏み入れる。そこは表の華やかさとは裏腹に、薄汚く、荒廃していた。地下へと進むと、賭博に興じる人々がおり、役人の姿を見た途端、蜘蛛の子を散らすように逃げ去った。現れた賭場の主人の案内で、一行は「囊家」と呼ばれる組織の拠点へと向かう。
地下深く進むにつれ、姚汝能は長安にこんな場所があるとはと驚きを隠せない。張小敬は葛老と呼ばれる人物への接触に緊張感を募らせ、彼が情報網を張り巡らせ、金銭ではなく依頼人の大切なものを対価に情報提供を行うことを説明する。やがて姿を現した葛老は冷淡な態度で、張小敬との交渉に応じようとしない。しかし、張小敬が龍波の捜索を依頼し、客の証である「恩客令」を見せると、葛老は調査を開始し、一行に待機を命じる。
一方、蘇記車行では、龍波が延州からの荷を受け取っていた。「伏火雷」製造に不可欠な材料の検品が無事終わったことに安堵する。程なくして葛老は「恩客令」の持ち主が丁瞳児であることを突き止め、彼女が長安からの脱出を図ったものの捕らえられたことを知る。
葛老は張小敬と姚汝能を牢へと案内する。そこには丁瞳児や阿枝を含む複数の人物が捕らえられていた。葛老は朝廷への敵意を露にするが、詳しい説明は避ける。そして、丁瞳児への尋問を許可する条件として、張小敬に自身に潜入させている密偵の名前を明かすよう要求する。姚汝能の忠告にも関わらず、張小敬は大局のため、小乙が密偵であることを告白する。この事実に葛老は激怒する。小乙は葛老にとって息子同然の存在だったのだ。小乙は自らの忠誠を証明するために自害を選び、張小敬は悲痛に耐えながら、小乙に止めを刺し、さらに自らの指を切り落とし、小乙の亡骸の尊厳を守った。
張小敬の行動に衝撃を受けた葛老は、彼の要求全てに応じることを約束する。しかし、丁瞳児は時間稼ぎのため、歌を歌い始める。それは龍波に関する情報を伝えるための暗号だった。一方、龍波は荷を運んだ男たちの様子に不審を抱き、口封じのため全員の抹殺を命じる。
回想シーンでは、小乙が不良人に入ったばかりの頃が描かれる。彼の聡明さ、優しさ、そして人助けを厭わない性格は皆から好かれていた。その後、葛老の内情を探るため、張小敬は自ら潜入工作を計画するが、小乙が自らその任務を誌願し、決意の証として指を切り落とす。
最後に、張小敬は丁瞳児から龍波に関する重要な手がかりを得るが、同時に大切な仲間を失ってしまう。この出来事は、龍波の陰謀を阻止する決意をより一層強固なものにした。
第6話の感想
第6話は、息詰まる展開と衝撃的な結末で、視聴者を画面に釘付けにした。張小敬と葛老の駆け引き、そして小乙の悲劇的な最期は、まさにこのドラマのクライマックスと言えるだろう。特に、小乙の自己犠牲は、張小敬の葛藤と苦悩を際立たせ、物語に深みを与えている。
張小敬は、龍波を追うという大義のために、友であり部下でもある小乙を犠牲にするという、究極の選択を迫られる。葛老の非情な要求に屈し、小乙を密偵だと明かすシーンは、見ているこちらも胸が締め付けられる思いだった。そして、小乙が自らの潔白を証明するために自害を選ぶ場面は、あまりにも残酷で、涙を禁じ得ない。張小敬が苦渋の表情で小乙に止めを刺すシーンは、まさに鬼気迫るものがあり、彼の心の葛藤が痛いほど伝わってきた。
一方、葛老というキャラクターも非常に興味深い。彼は冷酷で非情な人物として描かれているが、小乙に対しては特別な愛情を抱いていたことがわかる。小乙の死によって、彼の心の奥底に隠された人間味や弱さが垣間見え、単なる悪役ではない複雑な人物像が浮かび上がる。
つづく