あらすじ
第七話では、刻限迫る中、林九郎はやむなく李必を屋敷に招き入れ、上元節の警備について協議した。校尉と羽林軍の将から責め立てられても、李必は弁明せず、陳参軍と趙参軍の撤退を願い出たが却下され、逆に罪に問われる危機に直面する。更に、何執正の見回りも禁じられ、李必は不満を漏らしながらも、死囚の張小敬を登用した責任を負う覚悟を決めた。
一方、張小敬は龍波の行方を探るため、丁瞳児と駆け引きをしていた。彼女は自身と秦郎の解放を要求するが、張小敬の計らいで秦郎は去ることを選ぶ。丁瞳児は葛老への忠誠を誓い、龍波が修政坊の廃屋に潜んでいることを明かした。
この情報を得た張小敬はすぐさま武侯に連絡し、行動を開始させた。それと時を同じくして、陳参軍らは靖安司を占拠し、略奪を始める。李必は林九郎から狼衛捕縛の命を受け、靖安司に戻るのだが、失敗すれば重い罰が待っていた。不良人たちは小乙の死で張小敬に敵意を剥き出しにしており、姚汝能は自ら靖安司へ戻る決意をする。李必は檀棋に退路を用意するが、彼女は李必と共に残ると言い、聞染に関する重要な手がかりを提示した。
ネタバレ
刻限が迫る中、林九郎はようやく李必を室内へ通した。そこで李必が目にしたのは、上元灯会の警備体製を整える林九郎の姿だった。校尉や羽林軍の将は責任を李必に押し付けようとするが、李必は弁明せず、ただ林九郎に靖安司を守るため陳参軍と趙参軍の撤退を願い出た。しかし、林九郎はこれを拒否し、靖安司の失態を追及、李必を法で裁こうとする。李必は林九郎の軍隊指揮権の無さを指摘し、上元節後に三司会審を受けることを表明。さらに、何執正の観灯の権利を奪うべきではないと批判した。林九郎は名簿に何執正の名前は無いと認めつつも、観灯を禁じてはいないと仮論。議論は平行線を辿り、李必は立ち去ろうとするが、林九郎は死囚である張小敬を起用したことを違法行為だと咎める。李必は全ての責任を負う覚悟を示した。
一方、張小敬は丁瞳児に龍波の居場所を問い詰めていた。丁瞳児は葛老に自分と秦郎の解放を要求するが、葛老は一人だけしか解放しないと言う。窮地に立たされた張小敬は機転を利かせ、秦郎が自分の命を選んだと偽り、彼を解放した。秦郎は一人では行こうとしないが、張小敬は強引に彼を檻の外へ押し出した。秦郎との別れに悲嘆に暮れる丁瞳児は、葛老の説得に応じ、ついに龍波の情報を開示する。龍波は丁瞳児の語る刺客の物語を好んで聞き、彼女を修政坊十字街の荒屋に連れて行ったという。そこには50~60人が一、二ヶ月は食べていけるだけの塞外の食料が備蓄されていた。
張小敬は荒屋が龍波の隠れ家だと確信し、姚汝能に武侯への連絡と龍波の潜伏場所の通達を指示。時を同じくして、陳参軍、馮神威、趙参軍は靖安司を占拠し、略奪を始める。駆けつけた李必は林九郎の命令書を示すが、趙参軍は李必にそれを大声で読み上げさせた。命令書の内容は、狼衛捕縛の許可と引き換えに、失敗すれば李必は失察の罪を負い、靖安司全体にも累が及ぶというものだった。もし聖上に不安を与えれば、李必は処刑される。この命令に趙参軍は冷笑し、靖安司の面々は落胆する。李必は皆に累を及ぼしたくないと、去る自由を与える。
平康坊を出た張小敬は、不良人たちに囲まれていた。彼らは小乙殺害の責任を追及しに来たのだ。説明のしようもない張小敬を助け、姚汝能は望楼からの情報漏洩を懸念し、自ら靖安司へ戻り崔器に修政坊への出動を要請することを決意。張小敬は先に現地へ向かうことにした。
李必は檀碁に逃げるよう促すが、檀碁は李必を家族同然と思い、最後まで付き従う決意を伝える。そして、香屋の聞染が醜正に長安を離れるための馬車を予約し、二人の寝具を用意させているという重要な情報を李必に報告した。
第7話 感想
第七話は、李必と張小敬、それぞれの窮地が描かれた緊迫感溢れるエピソードでした。刻一刻と迫るタイムリミットの中、林九郎の狡猾さが際立ち、李必は追い詰められていきます。靖安司の責任者として、仲間を守るために奔走する姿は悲壮感さえ漂います。林九郎との対峙シーンでは、一歩も引かない李必の強い意誌が感じられましたが、同時に彼の無力感も痛感させられました。権力争いの渦中に巻き込まれ、理想と現実の狭間で葛藤する李必の姿は、観る者の心を強く揺さぶります。
一方、張小敬は龍波を追う中で、丁瞳児との複雑な関係に決著をつけます。秦郎を解放する際の機転と、丁瞳児の心情を察する優しさは、彼の複雑な人間性を垣間見せてくれます。葛老との駆け引き、そして情報を得るための苦渋の決断は、まさに命懸けの捜査の厳しさを物語っています。
つづく