あらすじ
第三話では、李蓉と裴文宣が転生後の関係をどのように築いていくかが描かれています。前世では、二人の間には争いと猜疑心が渦巻き、不幸な結末を迎えてしまいました。今世で同じ過ちを繰り返したくない李蓉は、裴文宣に別れを切り出すか、それとも名ばかりの夫婦でいるかの二択を迫ります。裴文宣は後者を選び、忠誠を誓います。
皇帝からの猜疑の目や、弟である皇太子・李川の地位を守る重圧に晒される裴文宣は、李蓉に寧国侯府の愚鈍な世子との政略結婚を提案し、身の安全を図ろうとします。同時に、李川も姉の婚姻と自身の立場との板挟みに苦悩する姉の心情を理解します。
物語は、李泉による李蓉の誘拐未遂、楊婉が皇后と秘密を守るための取引、そして李蓉が機転を利かせて危機を回避する様子なども描かれています。
最後に、李蓉と裴文宣は偶然にも再会を果たします。逃亡する中で、二人は過去の出来事を振り返り、蘇家の謀反の真相を明らかにし、運命の無常さに思いを馳せます。
ネタバレ
前世での不幸な結末、互いの不信と争いから、転生後の李蓉は裴文宣からの求婚を断固拒否した。二度と同じ過ちを繰り返したくない彼女は、裴文宣に二つの選択肢を提示する。一つは、円満な別れを公に宣言し、一切の関係を断つこと。もう一つは、表向きは夫婦を装いながらも、互いに幹渉せず、政治的な同盟関係を維持すること。裴文宣は後者を選び、決して裏切らないと誓った。
激しい雷雨の夜、裴文宣は李蓉の愛の純粋さ、妥協を許さない強い意誌を改めて認識する。彼女が自分を受け入れることはないと悟った彼は、彼女の将来を守るために策を練り始める。皇帝からの猜疑、そして弟である太子・李川の地位を守るという李蓉の苦境を案じ、裴文宣は寧国侯府の痴呆の世子との縁談を勧める。かつて皇帝の学友であった寧国侯は、李蓉の後ろ盾となり得ると考えたのだ。
一方、太子・李川は父帝が姉のために選んだ婿に不満を抱き、皇后・上官玥に訴える。皇后は、皇帝が貴族の勢力を警戒し、李蓉と貴族の婚姻を認めないと説明する。太子は皇后の言葉から、長公主の幸福と自身の地位は両立しないことを理解する。
夜が更け、李蓉は裴文宣に、転生の機会を得た今、これ以上会う必要はないと告げる。裴文宣は強がって同意し、枸櫞を無理やり口にして立ち去る。彼の後ろ姿を見送りながら、李蓉は複雑な思いを抱き、侍女の静蘭に、最後の贈り物として裴文宣への手土産を用意させる。
その夜、李泉は李蓉を誘拐し、駙馬の座を狙う計画を企てる。楊婉は計画の発覚を恐れ、皇后と取引し、今夜の出来事を秘密にする約束を取り付ける。李蓉は密かにこの計画が楊家と関係していることを知り、静蘭に自分の身代わりをさせることで李泉を欺く。しかし、逃走中に裴文宣が仕掛けた縄に足を取られ、李蓉は気を失ってしまう。裴文宣は急いで彼女を背負い森の中へ逃げ込み、名前を呼び続けながら意識を取り戻させようとする。
水を探しに行く途中、二人は過去の出来事を巡り口論となり、互いを責め合う。その後、烤魚を食べながら、少しだけ雰囲気が和らぐ。李蓉は裴文宣が香囊を身に著けていたのは公主府に侵入するためだったと知り、裴文宣は公主府に密偵を配置したのは蘇容卿への警戒のためであり、李蓉に危害を加える意図はなかったと明かす。かつて蘇家は三皇子を擁立しようと謀仮を起こし、一族が処罰され、蘇容卿は宮刑に処せられたのだった。李蓉はその歴史を思い出し、運命の無常さを痛感する。
第3話 感想
「度華年 The Princess Royal」第3話は、李蓉と裴文宣の複雑な関係性とそれぞれの苦悩が深く描かれた、見応えのあるエピソードでした。前世の辛い経験から、李蓉は裴文宣への愛を完全に拒絶し、彼との関係を断ち切ろうとします。彼女の毅然とした態度は、愛への純粋さと、決して妥協を許さない強い意誌を感じさせ、視聴者の共感を誘います。
一方、裴文宣は李蓉の決意を理解しつつも、彼女への想いを完全に断ち切ることができず、陰ながら彼女を守ろうと尽力します。雷雨の夜、彼が李蓉の将来を案じ、寧国侯府の世子との縁談を勧めるシーンは、彼の深い愛情と苦悩がひしひしと伝わってきました。枸櫞を無理やり食べるシーンも、彼の切ない心情を象徴的に表しており、印象的でした。
また、李蓉と裴文宣の会話劇も魅力的でした。互いに素直になれず、過去の出来事を責め合うシーンは、二人の間の深い溝を感じさせながらも、どこか愛おしさも感じさせます。特に、烤魚を食べながら少しだけ心が通じ合うシーンは、二人の関係性の変化を予感させ、今後の展開への期待を高めます。
李泉の誘拐計画や楊家の陰謀など、サスペンス要素も巧みに盛り込まれており、最後まで目が離せない展開でした。静蘭の機転や裴文宣の活躍により、李蓉は危機を脱しますが、同時に二人の距離も縮まります。
つづく