あらすじ

第30話は、柔妃ロウ・ヒが科挙不正事件を処理する様子を中心に、様々な勢力との複雑な関係性を描いています。

まず、蘇容卿スー・ロンチンが明楽宮を訪れ、柔妃ロウ・ヒが陥れられたことを指摘します。侍女の進言もあり、柔妃ロウ・ヒ蘇容卿スー・ロンチンとの協力を継続することにしました。

一方、裴文宣ペイ・ウェンシュエン柔妃ロウ・ヒを補佐し不正事件の調査を命じられます。彼は関係する名家に対して断固とした行動を取り、正義感あふれる姿を見せますが、同時に権力者たちの仮感を買ってしまいます。

柔妃ロウ・ヒは権力の恐ろしさを改めて認識し、事態の収束を図ろうとします。裴文宣ペイ・ウェンシュエンを通して受験生たちに替え玉事件の追及を諦めるよう説得を試みると同時に、吏部尚書である王厚文ワン・ホウウェンを逮捕させ、見せしめとしました。

しかし、これらの行動は予期せぬ事態を招きます。蘇容卿スー・ロンチン裴文宣ペイ・ウェンシュエンを「目上の者に逆らう」という罪で刑部に投獄してしまいます。李蓉リー・ロン裴文宣ペイ・ウェンシュエンを救うため、一途な姫君を装い行動を起こします。そして、名家からの非難と王厚文ワン・ホウウェンの屈しない態度に直面した柔妃ロウ・ヒは、ついに皇帝こうていに全てを報告し、王厚文ワン・ホウウェンの愛鳥を丁重に扱うことを約束しました。

ネタバレ

明楽宮に蘇容卿スー・ロンチンが突然柔妃ロウ・ヒを訪ねた。目的は二つ。一つは柔妃ロウ・ヒの黒幕を探ること、もう一つは、彼女が深みにはまりつつある罠について警告することだった。柔妃ロウ・ヒは寒族を利用して粛王シュク・オウを支えようとしたが、科挙不正事件に巻き込まれ、粛王シュク・オウへの悪影響が懸念されていた。

侍女は不安がる柔妃ロウ・ヒ蘇容卿スー・ロンチンとの協力を勧めた。数日後、裴文宣ペイ・ウェンシュエン皇帝こうていの命で科挙不正事件の調査を柔妃ロウ・ヒと共に行うことになった。上官家をはじめとする各世家を徹底的に調べるよう指示が出され、柔妃ロウ・ヒは遠慮なく裴文宣ペイ・ウェンシュエンに華京の巡視をさせ、民衆の支持を得た。

捜査が進むにつれ、裴文宣ペイ・ウェンシュエンは民衆からの評判を高める一方、世家からの仮感を買っていた。公主府の侍女である静蘭ジン・ラン柔妃ロウ・ヒの変化を目の当たりにし、李蓉リー・ロンは権力の腐敗について警告する。柔妃ロウ・ヒ自身も行き過ぎを自覚し、本来の目的は政敵の排除であったことを再認識する。

柔妃ロウ・ヒ裴文宣ペイ・ウェンシュエンに相談し、金銭で示談を図り、科挙不正の追及をやめさせるよう持ち掛けた。同時に吏部尚書 王厚文ワン・ホウウェンの逮捕を依頼する。裴文宣ペイ・ウェンシュエン王厚文ワン・ホウウェンの屋敷を包囲し、彼を捕らえた。王厚文ワン・ホウウェンはこれを予測しており、蘇容卿スー・ロンチンに知らせを送っていた。

蘇容卿スー・ロンチン裴文宣ペイ・ウェンシュエンを、下級役人が私邸に不法侵入した罪で刑部に拘束した。李蓉リー・ロンは急いで刑部に向かい、蘇容卿スー・ロンチン裴文宣ペイ・ウェンシュエンを傷つければ一生許さないと警告する。刑部で裴文宣ペイ・ウェンシュエン蘇容卿スー・ロンチンは久々の再会を果たし、腹を割って話した。蘇容卿スー・ロンチンは春の宴会の約一月前に目覚めたこと、まるで長い夢を見ていたようだと語った。

李蓉リー・ロンに助け出された裴文宣ペイ・ウェンシュエンは、柔妃ロウ・ヒの企みを李蓉リー・ロンに打ち明けた。李蓉リー・ロン裴文宣ペイ・ウェンシュエンを守るため、自分が嫉妬に駆られて彼を連れ戻したと偽った。

柔妃ロウ・ヒ王厚文ワン・ホウウェンを捕らえることで世家に警告を与えた。当初は彼を釈放するつもりだったが、王厚文ワン・ホウウェンからと思われる、自分の出自を嘲る詩が届けられたため激怒し、再び彼を捕らえた。

翌日の朝議で、上官旭シャン・グアンシューらは柔妃ロウ・ヒの不法行為を皇帝こうていに訴えた。柔妃ロウ・ヒ粛王シュク・オウ王厚文ワン・ホウウェンの収賄の証拠を提示し、世家を黙らせた。しかし、拷問を受けても王厚文ワン・ホウウェンは口を割らず、世家の結束と裏切り者の末路を柔妃ロウ・ヒに告げた。柔妃ロウ・ヒは仕方なく皇帝こうていに事実を報告し、王厚文ワン・ホウウェンの鳥の世話をすることを約束した。

科挙不正事件の調査が終わり、粛王シュク・オウは科挙の再開を皇帝こうていに願い出た。皇帝こうていはこれを許可し、裴文宣ペイ・ウェンシュエンの武挙拡充の提案も受け入れた。最近、皇帝こうていは起床時に一時的に目が見えなくなる症状が出ており、福来フク・ライからこのことを聞かされた裴文宣ペイ・ウェンシュエンは、重大な変化が近づいていることを予感した。

第30話の感想

第30話は、権力争いの渦中における登場人物たちの複雑な思惑と、それぞれの正義がぶつかり合う緊迫感溢れる展開でした。柔妃ロウ・ヒは当初、寒族の支持を得て粛王シュク・オウを擁立しようとしましたが、科挙不正事件への関与という思わぬ落とし穴にはまってしまいます。権力を掌握しようとする野心と、粛王シュク・オウへの忠誠心との間で揺れ動く彼女の苦悩が伝わってきました。

特に印象的だったのは、裴文宣ペイ・ウェンシュエン蘇容卿スー・ロンチンの再会シーンです。かつての親友同士が、今は敵対する立場として相見える場面は、二人の間に流れる複雑な感情がひしひしと伝わってきて、胸が締め付けられました。蘇容卿スー・ロンチンの「長い夢を見ていたよう」という言葉には、彼がこれまで経験してきた苦悩や葛藤が凝縮されているように感じられ、深く考えさせられました。

また、李蓉リー・ロン裴文宣ペイ・ウェンシュエンへの一途な想いが、物語に切なさを添えています。彼女は愛する人を守るため、自ら嘘をつき、危険を顧みずに刑部へ赴くなど、その献身的な姿には心を打たれました。

つづく