あらすじ
第31話は、朝廷内の権力争いを中心に展開します。皇帝は内憂外患の窮地に立たされており、裴文宣は皇帝の病状が悪化していることを深く理解し、粛王を擁立して寒門の出世の糸口としようと画策します。柔妃は裴文宣を利用して名門貴族の子弟たちの動向を探り、懐柔することで、自らの勢力拡大を図ります。科挙試験の実施に伴い、柔妃は朝廷内で着実に勢力を蓄え、寒門と手を組んで新たな勢力を形成していきます。
しかし、七大姓は長公主の擁立に動き出し、李蓉はその意図を見抜き、柔妃の野心が脅威となる可能性を彼らに警告します。その後、李蓉は名門貴族と結託し、朝廷で柔妃を弾劾、数々の罪状を暴露します。皇帝は柔妃を庇おうとしますが、朝臣からの糾弾の声に押され、ついに柔妃を牢獄に閉じ込めるよう命じます。
御書房で皇帝から痛烈な叱責を受けた柔妃は、絶望の淵に沈み、必死に許しを請いますが、聞き入れられません。華楽が見舞いに訪れた際、柔妃は娘に二つの選択肢を与えます。皇室の争いから遠ざかるか、あるいは危険を冒して運命を変えるか。この回は、宮廷闘争の残酷さと非情さ、そして登場人物たちの複雑に絡み合う感情を深く描き出しています。
ネタバレ
大夏は内憂外患に揺れ、皇帝は北伐と治水のため皇家軍創設を計画する。しかし、皇帝の真意は病弱な自身の後継として粛王を擁立することで、寒門の出である粛王を支えるよう世家に働きかけることにあった。裴文宣はこの意図を理解し、柔妃にとって自分が重要な存在であることも自覚していた。
柔妃は裴文宣を呼び出し、王厚文が問題を起こしたことを叱責する。しかし、裴文宣はこれを柔妃が権威を高める好機と捉え、科挙で合格させるべき世家子弟のリストを受け取る。同時に、後宮と政治のバランスに注意するよう柔妃に進言する。
科挙当日、主考官の裴文宣は公正な試験を執り行う。柔妃はこの機会を利用し、寒門と結託して新たな勢力を築き、朝廷での影響力を拡大する。一方、秋の後、七大姓が長公主府を訪れ、長公主による政権奪取を支持しようと画策する。しかし、李蓉はこの企みを見抜き、柔妃を止めなければ将来より大きな脅威に直面すると警告。七大姓は李蓉に従うことを誓う。
李蓉は駙馬に蘇容卿の足止めと、柔妃が受験生を脅迫した証拠の収集を指示。翌日、李蓉は入宮し、柔妃を弾劾する。弁論に長けた柔妃だが、李蓉と世家の連合軍の前に劣勢を強いられる。陳厚照が柔妃の不正を告発し、他の被害者も名乗りを上げる。さらに七大姓が提出した賄賂の証拠もあり、柔妃の罪は確定的なものとなる。
群臣の要求を受け、皇帝は柔妃の拘束と徹底調査を決定する。蘇容卿と裴文宣が最後に柔妃を弁護するも、皇帝はもはや彼女を守ることができない。李蓉は帝王として公正さを保つべきだと主張。皇帝は柔妃を督察司に引き渡し、御書房に連行し、彼女の短慮さを叱責する。
絶望した柔妃は皇帝に助けを求めるが、皇帝は世家と寒門の双方を敵に回した柔妃を見限り、太子に罪をなすりつける遺書を残して自害するよう促す。逆上した柔妃は、皇帝が長年子宝に恵まれないのは安神湯のせいだと暴露する。皇帝は柔妃の首を絞めるが、過去の情から殺すことができない。
柔妃は皇帝の優柔不断さを嘲笑い、その器量を疑う。華楽が見舞いに来ると、柔妃は彼女に二つの選択肢を与える。一つは縁を切って粛王と共に辺境で静かに暮らすこと、もう一つは太子と李蓉を暗殺し、粛王を皇帝にすること。
第31話の感想
第31話は、柔妃の失脚劇を通して、宮廷における権力闘争の残酷さと人間の脆さを鮮烈に描いたエピソードでした。これまで巧みに立ち回り、皇帝の寵愛を盾に権勢を振るってきた柔妃ですが、李蓉の策略と世家の仮撃によって、あっけなくその座から転落します。
特に印象的なのは、皇帝の態度です。柔妃への情が残っている一方で、保身のために彼女を見捨てる冷酷さ。そして、柔妃が最後に皇帝の秘密を暴露する場面は、二人の関係の複雑さを物語っています。子宝に恵まれないという皇帝の弱点を突くことで、柔妃はわずかながらも抵抗を試みますが、結局は敗北を喫します。
李蓉の知略と行動力は、今回も見事に発揮されました。七大姓を味方につけ、柔妃の不正の証拠を掴み、朝堂での議論を有利に進めるなど、彼女の周到な準備と冷静な判断が勝利の鍵となりました。一方、裴文宣は柔妃の失脚を予見しながらも、彼女に協力する道を選びます。これは保身のためか、それとも他の思惑があるのか、今後の展開が気になります。
つづく