あらすじ
第十二話では、連続殺人事件の真相が、盧凌風と蘇無名の捜査によって徐々に明らかになっていきます。
当初、盧凌風は馬槐が娄青苔を殺害したと疑っていましたが、後に牛大名が金銭欲しさに犯行に及んだ真犯人であることが判明します。春山を守るため、魯二を誤って殺めてしまった独孤羊は、皮肉にも春山に裏切られてしまいます。牛大名はさらに独孤羊を殺害し、その妻を奪おうと企みますが、赴任してきたばかりの新県令によって計画は阻止されます。
捜査が進むにつれ、蘇無名の追及を受けた鍾伯が真実を語ります。春山は牛大名に濡れ衣を着せられ、義弟を救うために独孤羊は誤って魯二を殺めてしまい、最後は自らの命を絶って全てに決着をつけようとしたのでした。真実を知った曹惠は深い悲しみに暮れ、息子の死の真相に疑問を抱き始めます。
そしてついに、蘇無名が事件を解決に導きます。夢の中で独孤羊の魂と対話した蘇無名は、目を覚ますと桜桃に叱責されます。独孤遐叔と盧凌風は遺品を整理している際に、独孤羊が妻に宛てた手紙を見つけ、そこには深い後悔の念が綴られていました。
春条は仵作の役目を担うことを決意し、印章の受け取りを辞退します。そして、独孤羊を偲ぶ餅を皆に振る舞い、亡き者への追慕と敬意を表しました。
ネタバレ
第12話、西への旅路、ついに核心へ。盧凌風は馬槐を問い詰め、娄青苔殺害の真相に迫る。馬槐は落ち著きなく、牛大名の様子を窺う。牛大名は独孤羊の留守に盗みに入ったことは認めるも、殺しには関与していないと主張。しかし、盧凌風の鋭い指摘に動揺し、やましい様子を隠しきれない。
真実は徐々に明らかになる。牛大名は己の欲望に駆られ娄青苔を殺害。その後、帰宅した独孤羊は魯二と遭遇、春山を守るため魯二を殺してしまう。だが、春山は恩を仇で返し、全ての罪を独孤羊に押し付ける。盧凌風は春山の卑劣さに憤慨する。
曹恵は動揺を隠せない。老費は彼女を慰め、これはあくまで盧凌風の推理だと釘を刺す。その時、牛大名が現れ、独孤羊を殺害、さらにその妻にまで手を出す。牛大名は役所に顔が利くと高を括っていたが、新県令の赴任で計画は狂う。殺人を重ねても逃げられないと悟り、凶行はエスカレートしていく。
独孤遐叔は牛大名を必ず法で裁くと誓う。盧凌風が事件解決に近づくなか、蘇無名は証人・鍾伯を呼ぶ。鍾伯は牛大名が罰せられるのを見て満足げだが、蘇無名は彼の真意を見抜く。それは荀伯の仇を討ち、牛大名の悪事を暴くことだった。
息子を失った真相を知りたい曹恵。蘇無名は鍾伯が鍵を握ると告げる。鍾伯は当初はしらを切るも、蘇無名の追及に耐えきれず真実を語る。牛大名に嵌められた春山を救うため、独孤羊は誤って人を殺めてしまう。そして、その遺体を家に持ち帰ったことが悲劇の連鎖を招いた。
曹恵は悲しみに打ちひしがれ、息子の自殺の可能性を考える。鍾伯の証言はそれを裏付ける。そして、独孤羊が最後に残した謎、「最初に私を見つけた者が真犯人」という言葉。独孤羊は自ら命を絶った。鍾伯は彼の遺誌に従うしかなかったのだ。
蘇無名はついに事件を解決するが、過労で倒れ、血を吐く。夢の中で独孤羊の魂と出会い、語り合う。目を覚ますと、心配する桜桃に謝罪する蘇無名。老費は冗談めかして償いを求める。蘇無名は盧凌風のもとへ行こうとするが、老費には本当の目的が見透かされている。
一方、独孤遐叔と盧凌風は独孤羊の遺品を整理していた。そこには金と妻への手紙があった。手紙には家族への深い後悔が綴られていた。春条は受け止めきれないながらも、仵作の役目を自ら引き受ける。曹恵は己の誤解に気づき、深く仮省する。独孤羊の自己犠牲の精神は皆の心を打つ。
春条は印章を辞退し、独孤家に残すべきだと主張。そして、独孤羊が「夢で教えてくれた」という餅を遐叔に勧め、故人を偲ぶ。
第12話の感想
「唐朝詭事録<とうちょうきじろく>シーズン2-To the West-」第12話は、重厚な人間ドラマと緻密な謎解きが融合した、非常に感動的なエピソードでした。特に独孤羊の悲劇的な結末は、胸を締め付けられるものがありました。彼は愛する妹を守るため、そして誤って犯してしまった罪の責任を一身に背負い、自ら命を絶つという究極の選択をします。その自己犠牲の精神は、視聴者の心に深く刻まれることでしょう。
事件の真相は複雑に絡み合い、誰が真の悪なのか、簡単には判断できません。牛大名の悪辣な行いはもちろんのこと、春山の保身のための嘘、そして鍾伯の復讐心など、それぞれの思惑が悲劇を招いたとも言えます。盧凌風の鋭い推理と蘇無名の洞察力によって、真実は白日の下に晒されますが、残された人々の心には深い傷跡が残ります。
特に印象的だったのは、春条の成長です。夫の死という悲劇を乗り越え、仵作の役目を引き受ける彼女の姿は、力強く、そして美しく描かれていました。独孤羊の遺誌を継ぎ、前を向いて生きていこうとする彼女の決意は、視聴者に希望を与えてくれます。
つづく