あらすじ
第十五話は、龍太が県尉になりすましているところから始まります。彼は藍挙子を犯人と疑い、連れ去って尋問しようとします。その過程で、盧凌風が龍太の正体を暴き、激しい乱闘が始まります。最終的に盧凌風が勝利しますが、龍太は自らの悲惨な過去と、県尉になりすましていた理由を語り、周囲の理解と同情を得ます。
同時に、物語は未解決の米砣の死の謎、神像の珠の盗難、遺体の消失といった複雑な事件の進展、そして地下祠堂と秘密通路の探索にも触れています。蘇無名らは、宿屋の背後に大きな陰謀が隠されていることに気づき始め、特に火攻めによる災厄を企む者の存在を突き止めます。迫りくる危機に、一同は対策を講じることを決意します。
ネタバレ
龍太は藍挙子を殺人犯と疑い、連行しようとする。恐怖に怯える藍挙子は、自分はただの書生で殺人はしていないと訴える。拷問道具のない場所で私刑を仄めかす龍太に対し、必死に弁解する藍挙子だったが、結局縛られてしまう。龍太は藍挙子を県衙に連行し、法の裁きを受けさせる事を誓う。
その時、姜威が龍太の行動に感謝を示し、盧凌風も賛同する。得意げな龍太は、蘇無名からも褒められ、この地の統治を宣言する。しかし、盧凌風によって龍太が県尉を詐称していることが暴かれ、龍太は驚愕する。
蘇無名は重税に苦しむ民の現状を語り、自給自足の重要性を説く。意見の対立から二人の間に緊張が走り、ついに武力衝突へと発展する。桜桃も仲間を助けるため、姜威と共に戦闘に加わる。数では龍太側が有利だったが、盧凌風は一人で全員を圧倒する。
戦いが終わり、蘇無名は龍太を尋問する。龍太は自分の過去を語り始める。かつては葡萄酒造りで有名な一族だったが、奸臣の策略によって一家は破滅、妻も自害したという。様々な技能を持つ龍太だが、殺生はせず、高官の財宝を奪って兄弟と共に流浪していたと明かす。その話を聞き、一同は龍太への認識を新たにする。
龍太は県尉を詐称した理由を説明する。真の県尉は清廉潔白で民からの信頼も厚く、私財を投げ打って民を救った人物だった。米砣殺害の真犯人は未だ不明で、皆が犯人逮捕を望んでいる。盧凌風は県尉就任後、同様の悲劇を防ぐと約束し、人々の尊敬を集める。
夜になり、蘇無名は夜市で手がかりを探ろうとするが、怪しい行動をとる老費に疑念を抱く。
裴喜君 は祠堂で神像の珠がなくなっていることに気付く。一同が捜索すると、貴重な珠と暗器が見つかる。盧凌風は屋根を調べ、足跡を発見。屋根から近くの宿屋へ繋がっていることから、犯人は優れた軽功の持ち主だと推測する。
姜威も犯人の軽功の高さを指摘する。裴喜君 は宿屋の主人と従業員がいなくなっていること、そして扉の赤い布と屋根の足跡の関連性を指摘する。蘇無名は主人は殺害されておらず、逃亡した可能性があると推測する。
甕を開けて遺体を調べようとするが、遺体は消え、縄だけがそのまま残されていた。桜桃は甕の底に穴があるのを発見し、事件はさらに複雑化する。藍挙子は当時の状況を思い出すが、自分の記憶に疑念を抱き始める。
女店主の隠れている場所について、盧凌風は祠堂の下から音が聞こえてきたことから、秘密の通路があると推測する。蘇無名は宿屋には別の目的があると気付く。姜威は自分の身分を明かし、龍太への感謝を伝える。龍太は信仰の衰退を見過ごすことができず、行動を起こしたと話す。蘇無名はこの地に金鉱が隠されていると推測し、裴喜君 はここがかつて仏堂だったことを思い出す。
蘇無名はここが六朝時代の古都であることを理解し、一同は地下の祠堂を探す。隠し通路を見つけると、床が油まみれになっているのを発見、火攻めを企てている者がいると分かる。一同は一刻も早くこの危機に対処しなければならない。
第15話の感想
第15話は、緊迫感あふれる展開と登場人物たちの複雑な背景が巧みに絡み合い、非常に引き込まれるエピソードでした。龍太の登場は、一見すると単純な悪役のようにも見えましたが、過去の悲劇や正義感ゆえの行動であることが明らかになるにつれ、彼の苦悩や葛藤が深く胸に響きました。また、盧凌風の圧倒的な強さと冷静な判断力は、物語に安定感を与え、頼もしさを感じさせます。
特に印象的だったのは、蘇無名と龍太の対立です。互いの正義がぶつかり合うシーンは、緊張感に満ち溢れており、それぞれの信念の強さが伝わってきました。一見正仮対の立場にいるように見える二人ですが、根底には民衆の苦しみを救いたいという共通の想いがあることが感じられ、その対比がより物語を深くしています。
そして、事件の真相も少しずつ明らかになり始め、祠堂の地下通路や油まみれの床など、不穏な要素が次々と登場します。誰が何のためにこのようなことをしているのか、謎が深まるにつれ、次回への期待も高まります。全体を通して、テンポの良い展開と緻密な伏線、そして登場人物たちの魅力が融合した、見応えのあるエピソードでした。
つづく