あらすじ

第十六話は、複雑な対立と和解を中心に展開します。姜威たちは戦いに勝利した後、女店主一味に包囲されます。しかし、女店主は姜威が亡き弟に似た雰囲気を持っていることから情が移り、とどめを刺すことができませんでした。そして、宝探しを始めた背景には、一族が滅ぼされたという悲惨な過去があったことを明かします。蘇無名そむめいは彼女の冤罪を晴らす手助けを申し出て、その言葉は幾人かの心に響きました。

その時、女店主の師匠、以前一行と衝突した老人が突然現れ、攻撃を命じます。しかし、すぐにその老人は偽物であり、女店主の弟を殺した犯人の一人であることが発覚します。最後は、老人は弟子に裏切られ命を落とし、女店主は悲しみのあまり、復讐を果たした後、崖から身を投げます。

同時に、藍挙子らんきょし盧凌風ろりょうふうの暗殺を企てますが、龍太りゅうたが身を挺して盧凌風ろりょうふうを守り、東宮の陰謀が明らかになります。物語の終盤、姜威は盧凌風ろりょうふうたちに舎利を託し、龍太りゅうたはすでに逃亡しており、老費ろうひの助けがあったことが暗示されます。そして、一行は千重度へ向かう道中、新たな試練に遭遇します。船頭の態度が、今後の旅の不確実性を増幅させています。

ネタバレ

姜威は蘇無名そむめいの策略に感服していました。戦闘後、一行は女店主の一団に包囲されるという予期せぬ事態に遭遇します。女店主は姜威に情を寄せ、彼を傷つけたくない一心で説得を試みますが、姜威の正体が明らかになり、彼女は深く悲しみます。姜威さえいなければ皆殺しにできたはずなのに、彼の存在が彼女の残酷な一面を表に出すことを阻み、苦悩させます。

女店主は、本来は全員を殺すつもりだったが、姜威がそれを思い止まらせたのだと告白します。彼の亡き弟に価た風貌と気質に心を動かされたのです。一行が宝探しに来たことを明かし、彼女は自身の不幸な身の上を語ります。家族を殺され、生活のため、そして復讐のために宝を探しているのだと。

蘇無名そむめいは彼女の話を聞き、彼女や他の犠牲者たちの冤罪を晴らし、堂々と生きていけるように手助けすると申し出ます。この言葉は一部の旧部たちの心を動かし、過去の恨みを水に流そうかという思いが芽生え始めます。

その時、以前一行と衝突した女店主に師匠である老人が現れ、配下に攻撃を命じます。状況は一変し、死闘が始まります。

姜威は職人の行方を尋ね、13人が殺されたことを知り、復讐を誓います。龍波りゅうはは老人の製圧を試みますが、突如現れた怪物に兄弟二人とも殺されてしまいます。その怪物の強さは圧倒的で、誰も太刀打ちできません。蘇無名そむめいは古書に記されていた松柏の気が異獣を退けるとの情報から、その方法で怪物を退治することに成功します。

一方、龍波りゅうはと姜威は女店主との激闘の最中、老人が偽物であり、女店主に弟の死に関わっていることを突き止めます。老人は弟子に裏切られ命を落とし、宝珠も奪われます。老人を父のように慕っていた女店主は、彼の死を目の当たりにし、絶望の淵に突き落とされます。裏切り者を殺した後、彼女は崖から身を投げます。姜威は彼女に同情を禁じ得ません。

事態が収束した後、藍挙子らんきょし盧凌風ろりょうふうの暗殺を企てますが、龍波りゅうはが身を挺して彼を守ります。藍挙子らんきょしからは東宮関係者が盧凌風ろりょうふうの排除を企てていることを示唆する密書が見つかります。姜威は盧凌風ろりょうふう一行に感謝し、馬を贈ります。三日の後、一行は出発の時を迎え、姜威は舎利を然るべき場所へ届けるよう託します。

翌日、姜威は龍波りゅうはを取り調べようとしますが、彼は既に脱獄していました。費鶏師ひけいしが縄で縛られているにも関わらず笑みを浮かべているのを見た蘇無名そむめいは、龍波りゅうはの脱獄に彼が関わっていると察します。

旅の途中、劉鬱弟りゅういくていは瀉血療法で病気を治そうとしますが、老費ろうひ一行に遭遇し、治療を拒否されます。一行は旅を続けます。数日後、千重渡に到著した盧凌風ろりょうふうは川を渡ろうとしますが、船頭は船がないと言います。船頭の怪しい目つきは、今後の旅の困難と不穏さを予感させます。

第16話の感想

「唐朝詭事録<とうちょうきじろく>シーズン2-To the West-」第16話は、怒涛の展開で息つく暇もないほどでした。女店主の悲劇的な過去と姜威との繋がりは、物語に深みを与え、彼女の最期は哀れを誘います。復讐のために生きる彼女の苦悩、そして姜威の存在によって揺らぐ彼女の心情は、見ている側も胸が締め付けられるようでした。

特に印象的だったのは、怪物の登場シーンです。突如として現れる巨大な怪物は、圧倒的な存在感で視聴者を恐怖に陥れます。蘇無名そむめいが機転を利かせて古書の情報から松柏の気を使って退治する場面は、まさに手に汗握る展開でした。

また、藍挙子らんきょしの暗殺未遂や龍波りゅうはの自己犠牲、そして老人の正体など、次々と明かされる真実は、物語をさらに複雑に、そして面白くしています。東宮の陰謀が匂わされるなど、今後の展開にも期待が高まります。

龍波りゅうはの脱獄劇も、老費ろうひの協力が暗示されており、彼らの今後の動向が気になるところです。そして、千重渡での船頭の不穏な雰囲気は、新たな困難の始まりを予感させ、旅の行く末に何が待ち受けているのか、不安と期待が入り混じります。

つづく