あらすじ

第18話では、突発的な事件の数々と複雑に絡み合う人間関係が描かれます。

劉郁弟が自分を天帝と思い込み、盧凌風ろりょうふうが素早く彼女を抑え込む場面から物語は始まります。その後、一行は凶暴な獣に襲われますが、蘇無名そむめいは肉を投げ与えて獣の注意を逸らし、皆の命を一時的に守ります。街も近いと分かり安堵する一行でしたが、船頭は謝念祖しゃねんその存在に警戒心を抱き、なかなか船を進めようとしません。これに老費ろうひは不満を漏らしますが、盧凌風ろりょうふうは船頭の態度に疑問を抱きます。老費ろうひは役人として真実を徹底的に究明すべきだと主張します。一方、劉郁弟は謝念祖しゃねんそに目的地まで同行を申し出て、謝念祖しゃねんそもそれを受け入れます。

上陸を試みる一行の前に、老津卒とその部下が立ちはだかります。しかし、謝念祖しゃねんその活躍により彼らは制圧され、老津卒と燕国公との因縁、そして復讐計画の可能性が明らかになります。

事態はさらに複雑化していきます。蘇無名そむめいは反乱を起こした兵士に関する情報を入手し、背後に大きな組織が動いていることを察知します。謎の組織「太陰会」の存在も、事件の謎を深めます。

それと時を同じくして、寺の中では廖信と馬蒙ばもうが接触し、盧凌風ろりょうふうはそこで不穏な空気を察知します。目にした光景は、さらなる陰謀の存在を暗示しており、物語は権力と忠誠の争いへと発展していく様相を呈していきます。

ネタバレ

劉鬱弟りゅういくていは己を天帝と思い込み、皆を排除しようと企むも、盧凌風ろりょうふうに即座に製圧される。謝念祖しゃねんその処断を待つ間、突如巨大な怪獣が出現し船を揺るがす。蘇無名そむめいは「食人五不像(しょくじんごぶしょう)」だと推測する。恐怖冷めやらぬ中、再び怪獣が現れ、船は激しく揺れ、人々は川に落ちかける。蘇無名そむめいは船の肉で怪獣を誘い出し、一時的な安寧を得る。

地図を確認すると、街までは四十裏ほど。船頭が謝念祖しゃねんその身分を恐れ、乗船前の身元確認を求めたことが、トラブルの原因ではないかと推測する。老費ろうひ謝念祖しゃねんそのせいで苦労が絶えないと不満を漏らす。一行は先の見えない不安に駆られる。

盧凌風ろりょうふうは船頭が高値で馬を買い、その後すぐに手放したことに疑問を持つ。蘇無名そむめい謝念祖しゃねんそが西域赴任を急ぎ、事件を早く解決したいためだと説明するが、老費ろうひは事件の真相を徹底的に究明すべきだと仮論する。謝念祖しゃねんそ老費ろうひの言葉に考え込み、怪しい人物たちへの対策を練り始める。

劉鬱弟りゅういくてい謝念祖しゃねんそを背負って先に行くことを申し出る。この程度の距離は容易であり、命を救われた恩返しだと語る。謝念祖しゃねんそ劉鬱弟りゅういくていの誠意を感じ、協力の力も信じ、申し出を受け入れる。老津卒の不審な目つきから、蘇無名そむめいは彼が長年勢力を蓄え、何か企んでいると推測する。

一行が戻ると、老津卒とその手下たちが上陸を阻む。裴知節はいちせつ蘇無名そむめい盧凌風ろりょうふうの身を案じ、桜桃おうとうを援護に向かわせる。その時、謝念祖しゃねんそが援軍を率いて到著し、老津卒の手下たちを製圧する。謝念祖しゃねんそ盧凌風ろりょうふうに犯人尋問を任せ、劉鬱弟りゅういくていと共に西域へ向かう。

尋問中、犯人は口を割らない。盧凌風ろりょうふうは息子の命を盾に強硬手段に出る。老津卒は怒りながらも抵抗できず、燕国公との因縁を告白する。かつて死刑判決を受けた自分を燕国公が救ったが、燕国公は朝廷に殺された。老津卒は燕国公の仇を討つことを誓ったのだ。蘇無名そむめい喜君きくん はいきくんの地形把握能力に感嘆し、盧凌風ろりょうふうは川に出た怪獣は親子で飼っていた可能性があると推測し、復讐計画の謎は深まる。

蘇無名そむめいは急報を受け、この地に仮乱兵が潜伏していることを知り、事態の複雑さを痛感する。親子は天が復讐してくれると豪語する。盧凌風ろりょうふうはその背後に巨大な組織の存在を予感する。

一行が玉鼎に近づくにつれ、桜桃おうとうは太陰会と陰山の繋がりを指摘する。蘇無名そむめいは太陰会が謀仮を企む秘密組織であることを知っている。尋問中、盧凌風ろりょうふうは捕らえられた者が犀の角を持っていたことから、太陰会の残党が既にこの地に潜入しているのではと疑う。

一方、廖信と馬蒙ばもうは寺で礼拝し、無量大師むりょうだいしに茶を勧められる。無量大師むりょうだいしは廖信が舌舎利を移そうとしていることを仄めかし、その様子を盧凌風ろりょうふうが目撃する。

元和げんわは師匠に閉関を告げ、田畴でんちゅうは来るべき変化への対応を迫られる。真実は徐々に明らかになり、権力と忠誠を巡る争いが静かに幕を開ける。

廖信は田畴でんちゅうが語る怪しい犯人には無関心で、老費ろうひは目の前の食事に夢中だ。蘇無名そむめいは食事中に兵の移動に関する話を聞き、不審に思う。馬蒙ばもうが店に入ってくると、取引の様子は異様だ。盧凌風ろりょうふうは機転を利かせて馬蒙ばもうの確認を拒否し、蘇無名そむめい老費ろうひは緊迫した状況を巧みに回避する。蘇無名そむめい盧凌風ろりょうふうの成長を褒めるも、怪しい人影に気づき、再び緊張感が漂う。

第18話の感想

第18話は、西域への旅路における新たな危機と陰謀の幕開けを描いた、緊迫感あふれるエピソードでした。怪獣の出現、船頭の裏切り、老津卒の復讐劇、そして太陰会の暗躍と、次々と起こる事件に息つく暇もありません。

特に印象的だったのは、劉鬱弟りゅういくていの意外な行動です。天帝を名乗る狂気の沙汰から一転、謝念祖しゃねんそへの忠誠を誓い、自らの命を顧みず行動する姿は、彼の内面の変化を強く感じさせました。また、盧凌風ろりょうふうの成長も注目すべき点です。機転を利かせた行動や、鋭い洞察力で事件の真相に迫る姿は、頼もしさを増しています。

一方で、老費ろうひの不平不満や廖信の不穏な動きなど、今後の展開を不安視させる要素も散りばめられています。特に、太陰会の存在は大きな脅威となるでしょう。西域への道は、想像以上に険しいものとなりそうです。今後の展開が非常に気になります。

つづく