あらすじ
第19話は寒州倉に潜む脅威を中心に展開します。蘇無名と老費は太陰会に関わる手がかりを見つけ、国家の安全を脅かす可能性があると認識し、徹底的な調査に乗り出すことを決意します。二人は現地で七日間滞在するための家を借りる計画を立て、老費が家探しを担当します。しかし、家探しは一筋縄ではいかず、家主の正体や曹双利と宋阿糜の関係、不自然なほど安い家賃から凶宅の可能性が浮上するなど、複雑な状況に巻き込まれていきます。
蘇無名と盧凌風は新しく借りた家の庭で枯れ井戸を発見し、中には太陰会の印が付いた死体が隠されていました。これは事件の核心に近づいていることを示唆しています。捜査を進めるうちに一行は鍛冶屋に辿り着き、そこで太陰会に関する更なる情報が明らかになります。桜桃と宋阿糜の出会いは事件の謎をさらに深め、宋阿糜が夫を殺害しようとする陰謀を蘇無名は巧みに阻止します。これらの出来事は、事態が見た目よりもはるかに複雑であり、真相を深く掘り下げる必要があることを示しています。
ネタバレ
二人の男が酒を酌み交わした後、老費は蘇無名に彼らの話を尋ねた。蘇無名は、寒州倉、西北の重要な食料貯蔵所の話をしていたと答えた。老費はその重要性を理解し、懸念を抱く。蘇無名は、秘密結社「太陰会」が関わっている可能性を指摘し、国家の安全への脅威を危惧した。二人は国を守るため調査に乗り出す。
雲鼎での調査継続を提案する老費に対し、蘇無名は盧凌風が今の手がかりを諦めないだろうと予測。盧凌風も寺院の住職に決意を伝えたと話す。先の騒動を考慮し、一行は七日間現地に滞在することに決め、老費に宿探しを任せる。
宿探しに張り切る曹双利の交渉で屋敷が見つかるが、家主が隆発だと判明。曹双利は宋阿糜が妹だと明かし、老費は困惑する。蘇無名は二人の関係に疑問を抱き、隆発に何かあったのではと推察。老費も同意し、馬参軍の介入を提案する。
役人の調査を恐れる曹双利は、焦って交渉し直そうとする。蘇無名はその隙に家賃を値切り、渋る曹双利も最終的に受け入れる。
老費は屋敷を気に入るが、蘇無名は安い家賃から凶宅の可能性を疑う。裴喜君 は怯えるが、蘇無名は今夜悪夢を見たら当たっていると冗談を言う。
夜、蘇無名と盧凌風は裏庭を調べ、蓋をされた枯れ井戸を発見。盧凌風が井戸に降りると、死体が引き上げられた。老費は死因が暴力で、太陰会の印があると確認。蘇無名は本格的な捜査を開始し、老費は興奮気味に「名探偵」を自称する。
手がかりを追って一行は鍛冶屋へ。盧凌風は老費に鶏を買いに行かせ、周囲を警戒すると、役人が人を捕らえているのを目撃する。心配する曹双利は、宋阿糜の居場所を明かす。
裴喜君 は廖刺史として捜査に乗り出し、役人たちは従わざるを得ない。老費は鍛冶屋との交渉術を披露するが、「太陰会 会主」を名乗ると、鍛冶屋の木林郎は怯まず、自分たちは地元の役人ではないと返す。木林郎は太陰会に刀を作ったことは認めるが、加入は拒否した。盧凌風は外の役人が馬蒙と関係があるかもしれないと考え、木林郎に注意を促す。
桜桃は宋阿糜と出会い、蘇無名は複雑な表情を見せる。宋阿糜は死者の死因を桜桃の「邪気」のせいにし、駆けつけた曹双利で更に奇妙な空気に。役人に対して冷淡な宋阿糜は、死者は隆発ではないと主張し、その食い違いが蘇無名の関心を引く。
宋阿糜は一行を事堂に連れて行き、退去を要求し夫殺しを宣言する。実は、夫を殺そうとしたところを捕らえられ、夫は不埒なことを企んでいた。窮地に陥った時、蘇無名は宋阿糜の夫に扮して現れ、事態を収拾する。
一連の出来事で、事件は見た目より複雑だと一行は認識し、更なる真相究明が必要となる。
第19話の感想
第19話は、静かに燃えるサスペンスと、コミカルなやり取りが絶妙に絡み合い、唐朝詭事録の魅力が詰まったエピソードでした。冒頭から寒州倉の重要性と太陰会の暗躍が示唆され、国家規模の陰謀が予感される緊迫感の中、物語は進んでいきます。
特に印象的なのは、宿探しをめぐるドタバタ劇。曹双利の軽率な言動と、蘇無名の冷静な判断、老費の慌てぶり、そして裴喜君 の不安げな様子など、それぞれのキャラクターの個性が際立ち、笑いを誘います。凶宅疑惑や枯れ井戸の死体発見など、ホラー要素も効果的に散りばめられ、飽きさせない展開となっています。
蘇無名は今回も知略を巡らせ、巧みに事態を収拾していきます。宋阿糜との対峙シーンでは、彼女の真意を探りつつ、大胆な行動で危機を回避する姿が圧巻でした。一方で、盧凌風は冷静に状況を分析し、著実に捜査を進めていく姿が頼もしい。二人の対照的な活躍も見どころの一つです。
つづく