あらすじ

第36話では、一行6人は敦煌に到著後、多宝たほうという名の子供に出会います。彼は敦煌の歴史文化に精通しているだけでなく、熱心に皆を案内し、一同の称賛を集めました。しかし、多宝たほうが去った後、一行は彼に酷価した壁画を発見します。老費ろうひ多宝たほうの出生に何か秘密があるのではないかと推測します。

一方、李赤りせき盧凌風ろりょうふうの間には微妙な敵対心が漂っていましたが、老費ろうひの紹介により、その場の雰囲気は和らぎます。一行は曹翁そうおうの温かいもてなしを受け、彼の誕生日を祝います。

夜になり、覆面の男が侵入する事件が発生しますが、最終的に桜桃おうとうによって取り押さえられます。その男の正体は、なんと李赤りせきでした。彼は曹翁そうおうの財産を狙って犯行を企てていましたが、計画は失敗に終わります。

ネタバレ

六人が敦煌に到著し、その壮大な景色に圧倒されている最中、多宝たほうという少年が現れ、敦煌の魅力を滔々と語り始めました。蘇無名そむめいは彼の賢さに感心し、褒美を与えようとしますが、多宝たほうは固辞し、代わりに一行を案内します。多宝たほうの純粋で熱心な姿に、一行は皆好感を抱きます。

案内を終えた後、多宝たほうは報酬を受け取り、蘇無名そむめいは唐の子供たちの優秀さを称賛します。しかし、多宝たほうが去った後、一行は壁画に描かれた人物が多宝たほうにそっくりなことに気づき、費老ひろうは壁画の人物が貧しい身なりではないことから、多宝たほうの出自に疑問を抱きます。

李赤りせき盧凌風ろりょうふうに対してなぜか敵意を抱いており、盧凌風ろりょうふうもそれに気づき、気まずい空気が流れます。費老ひろうは機転を利かせ、盧凌風ろりょうふう一行が狄仁傑てきじんけつの弟子であることを紹介し、一行は丁重にもてなされます。それを見た李赤りせきは、不気味な笑みを浮かべます。

街では曹翁そうおうが施しを行い、人々から称賛されています。蘇無名そむめい曹翁そうおうの人相を見て、彼の慈悲深さを確信します。曹翁そうおうは一行を自宅に招き、盛大な宴を催します。宴の席には豪華な料理が並び、費老ひろうは舌鼓を打ちます。丁瑁ていぼうに連れられて何可可かかかも現れ、狄仁傑てきじんけつの弟子たちに感謝の言葉を述べ、和やかな雰囲気が漂います。

その日が曹翁そうおうの誕生日だと知った蘇無名そむめいは、祝いの言葉を贈ります。曹翁そうおうは笑顔で返し、翌日にこの地を去る予定であること、そして一族に伝わる還暦の儀式について語ります。費老ひろう曹翁そうおうの話を聞き、感動のあまり涙を浮かべます。

夜更け、覆面の男が屋敷に侵入しますが、侵入先が費老ひろうだと分かると逃げ出します。桜桃おうとうが機敏に仮応し、暗器を投げて男の足を負傷させます。

蘇無名そむめいは、男の本当の狙いは曹翁そうおうだったと推測します。曹翁そうおうは、前日に男に襲われたことを思い出し、黒幕の存在に気づきます。真相を確かめるため、娘婿に会おうとしますが、会ってもらえません。曹翁そうおうは翌日改めて尋ねることにします。

捕らえられた覆面の男は、なんと李赤りせきでした。李赤りせきは妻と共謀し、曹翁そうおうの莫大な財産を狙っていたことを白状します。彼は、その秘密を娘婿が漏らしたことに驚き、丁瑁ていぼうの陰謀だと気づきます。丁瑁ていぼうはわざと遺言の情報を与え、李赤りせき曹翁そうおうを襲わせ、財産を横取りしようと企んでいたのです。

偶然その場に居合わせた盧凌風ろりょうふう李赤りせきを止めます。真相を知った曹翁そうおうは激怒します。丁瑁ていぼうは慌てて駆けつけ、全ての罪を被ろうとしますが、多宝たほうが殺されたと告げます。

この知らせに曹翁そうおうは愕然とします。純粋で敦煌を愛していた多宝たほうの死は、曹翁そうおうに深い悲しみと絶望をもたらします。

第36話の感想

第36話は、敦煌の壮大な景色と多宝たほうの純粋さで幕を開け、一見平和な雰囲気に包まれていました。しかし、その裏では陰謀が渦巻いており、物語は急展開を迎えます。

多宝たほうの案内ぶりは、まるで敦煌の精霊が語りかけているかのようで、視聴者を物語の世界に引き込みます。彼の聡明さと純粋さは、後の悲劇をより際立たせる効果を生んでいます。

李赤りせき盧凌風ろりょうふうへの敵意、そして覆面での襲撃は、何が起きるのかとハラハラさせられました。まさか李赤りせきが犯人だったとは、驚きを隠せません。彼の動機は財産への欲ですが、丁瑁ていぼうの策略に嵌められたという側面もあり、単純な悪役ではない複雑さが描かれています。

曹翁そうおうの還暦の儀式という伝統的なイベントと、それにまつわる陰謀の対比も印象的です。家族の絆を大切にする曹翁そうおうの姿は、事件の悲劇性をより深く感じさせます。

つづく